2021年4月5日月曜日

RIGあるある



これ、どういう状態か判りますか?

まあ、判る人には判るだろうし、
こういう経験がある人も多いと思うけど、

デバイスがセルフロッキングになった事で、
下降途中で、別の作業のため停止して、
勝手にロックしてくれるって思って、
レバーから手を離しただけの状態。

ロープの流れが適正じゃなくても、
手を離せば勝手にロックしてくれると、
意識が先行して、レバーが戻っているか?
ロープに干渉してないか?などなど
今までやってた確認をしなくなった。

機器の安全性が強化された事によって
新たに起きるトラブルだと思う。
気をつけなきゃならないポイントだ。


何気なくロックされると思って確認せず手を離しただけでは、ロープの流れが裏に回っていて、レバーがロックポジションに戻る途中でロープに干渉して止まってしまう。これじゃロック状態にはならない。
以前まではいちいちロックに動かしていたので、眼でも確認していたし、ロープの流れを適正に修正するのが当たり前だった。でも手を離したら自動でロップ位置に戻る新しい機構になったので、その確認までイージーに考えてしまっては、正当なロックにならない。

前世代のRIGは、ディセントとロックの間にビレイのポジションが有って、下降時に停止した場合、レバーを自分で戻してカチッとロックしなきゃいけなかった。
リグフォーレスキューの時などその手間がとても面倒臭く、忘れがちになってしまう。
そしてビレイも手前のメクレに掛けて目で見てロープの流れを確認していた。

今のRIGは、そのビレイポジションが無くなって、レバーから手を離したらバネでビョーン自動的にロック状態になる。それにVスレッドが点いたことで、ロープの流れを90˚ズラさなくても良い、ロープのキンクを少なくできる。
これはかなり画期的なことで、いちいちカチッとロックする手間が省けるんだ〜!

前はロープの流れをメクレに掛けて、視認しながら降りてたので、その面倒な手間は省けるけど、ロープの流れを確認しなくて言い訳じゃない!

デバイスが素晴らしくなった、のだけど、自分のセーフティ対策を省ける訳じゃない。

機器がとても画期的にセーフティになったとしても、操作手順の手間が少し省けたからといって、安全になった訳じゃない。

最近は樹冠ではランヤードとフリップラインで移動することが多いけど、登り降りはSRTのP&Bシステムで作業することが多い。
しかし作業が終わりP&Bシステムのアクセスラインで降りている途中で、引っ掛かった小枝を外したり、ちょっとしたタスクはそのままSRTで行なったりする。
降りる時って、厳しい状況を脱して気が抜けてることが多し、あぁこれで終わりあとは降りるだけって、安易に考えてる事が多い。
そういう時にもランラードを掛けて…ってヤレばいいのに、メインの作業が終わった安堵感や達成感でいい加減になっちゃう。
そして表題写真のように、ハッと気づくとロープが逆に廻って途中でレバー止めてるし! ってことになる。
まして複雑な樹間を移動したりして、要らない股を通したりしてるから、上手くロープが流れていなくて、RIGの反対側に廻ったりしてる。

止まって何かする時は、カチッとロックしなくていいけど、今まで通り視認してロープの流れを正しておかないと、手を離しただけじゃロックしてないかもしれないよ。

メーカーの革新で手間が少し省けた画期的な商品でも、
それをラクになったって安易に簡単に考えちゃうのは、とてもセーフティじゃない。

これが「あっちょっとミスした」と考えるか?「ヤバい!」と考えるかに寄って、今後のミスの確率が変わってくると思う。
いくら速さや効率が大事でも、たとえ機器を適正に使っていたとしても、少しの手間や確認で全てを失う前に、自分の頭が及んでないことを承知した方が良い。
レバーを操作してるのは自分の頭ん中の指示だからね。

そんな事って、沢山あるね。
だから基本が大事なんだよ。
クラッチだマエストロだシリウスだジャイアントだレボ3だって、新製品に飛びついてもイイけど、基本の操作や視認やチェックを疎かにできる訳じゃない。
タンデムプルージックビレイが、ちゃんと出来ていなければ、その理屈を知っていなければ、のっぴきならない状態でその機器が無いと出来ないって、言ってられない人は沢山いると思うけど。

成功は一歩間違うと全部ダメになったりするけど、失敗の経験は役立つね。

自戒。

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