2009年10月29日木曜日

実践特殊伐採

先日ティンバーワーカーの講習に行った後、とにかく経験を積むためにも早めに復習する機会があれば良いなっと思っていたら、その機会が巡ってきた。チームは先日の講習で一緒だった勝手知ったる仲間ということもあるが、実にスムーズに上手く行った。

国有林の斜面から伸びた民地に架かる樹木を枝払いや倒伐する。斜面でしかもそのまま倒すと民家にぶつかり危険。枝を払うにも吊り上げて移動して降ろさないとダメ。一日でアンカーに使ったクルミの下枝φ15cmx10mを4本、シラカバφ20cmx12mを2本倒伐、イヌエンジュφ25cmx10mを倒伐、サクラφ20cmx10mを倒伐、枝が複雑に伸びたナナカマドφ25cmx10mを倒伐。
今まで無理があったり、大丈夫だろうと根拠のない憶測で作業していた部分もあったが、理屈が判ると方法も見えてきた。それに気がつかなかった安全な手段を採ることができるようになったし、考えられるようになり、大げさに言えば森を見る見方がというかロジックが変わった。それでも道具の必要性をしみじみと感じたが、安全率を考慮して、あるものでできる方法を考えることが可能ということも理解できた。組み立てていくリギング技術にパーフェクトはなく、方法の違いが個性でもあることを実感した。Art of Rigging である。

2009年10月26日月曜日

道庁ツリーイング


毎年恒例になった北海道庁前庭のイベント「道民森づくりネットワークの集い」でツリーイングしてきた。天候もすこぶる良くスタッフ7名でセッティングも1時間で10本+ツリーモックというほぼ完璧な体制。準備に余裕を見ていたのでみんなで登って楽しむ余裕もあった。一番最初の年は確かスタッフ同数でロープ8本掛けるのに2時間たっぷりかかったことを考えるとシンジラレナイ進歩。各人が各々のスタンスと力量を理解し、適材適所でセッティング出来るようになったし、リスク管理やトラブルの可能性を事前に予見できるようになったおかげで、無駄な動きがなくなったたまものだと思う。今までの数々のイベントをやったが総合的にも一番のできだったと思う。これにアグラをかくことなく、馴れ合いにならず気を引き締めてこれからも続けて行けたらなぁと思う。みんな楽しかったね、ありがとう!

2009年10月22日木曜日

ノスリ

家の前の防風林の主な樹種はヤチダモで、いかにも人工林らしくオスばかりである。毎年秋に三度ほど分けて多量に葉が落ちる時期があり、近所の人は落ち葉の処理にいつも手を焼いている。今年は昨日大量のしかも一度にほとんどが落葉した。夜に車で帰ってくるとまさに雪のように積もっており、家の前のアスファルトは見えなくなっていた。これほど一度に多量に落ちたのは初めてかもしれない。
この時期になるとノスリの集団が集まってくる。渡りの途中なのか丘の上にねぐらを構えているようで、毎朝、出勤するように一斉に丘の上から飛び出してくる。そして川へ向かうヤツや防風林や畑で待機するヤツがいて、バラバラと散らばっていく。コイツは防風林の脇を歩いていると、不意に飛び出してきた。

アズキナシ

継続的に見ていたが一年目は肩すかしを食らい、一年おきにくらいで花を付けることを知り、今年の6月の頭に待望の花を多量に付けたアズキナシ。本当に美しくイイ匂いでうっとりとしていたが、紅葉もまた素敵ですねぇ。全体の色合いというか、幹の模様や枝の張り方、薄汚れたような紅葉の仕方ではあるが奥ゆかしさを感じ、ポイントで明るい緋色の実が散らばっている。

勝手な表現だけど、モミジは老舗旅館の女将のよな華やかさがあるだが、アズキナシは、漬け物用大根を井戸水で洗うおばあちゃんの手のような美しさを感じる。

ハリギリ

ハリギリも紅葉してきた。紅葉の仕方が判りやすいし、緑色が抜けて黄色になっていく感じが素敵。外側から色づいているのか、北側から色づいているのか、樹冠からなのか、春先の展葉時期は一斉のような気がしたが、よく判らない。でも葉が大きいので迫力があり、色の具合がキレイなグラデーションになりとても美しい。

ハリギリを見ていて、今初めて意識したが、紅葉は「色づく」と表現することが多いが、本当は「色抜ける」だよなぁ。

集団越冬?



近所のハルニレを見上げると、幹のくぼみが部分的になんだかケムったような霞がかかっており一瞬目をうたがった。なにかの幼虫が繭というかクモの糸のようなものを出し表面を覆っていた。何の虫か判らないがたぶん集団で越冬する準備をしているよう。

ロープアクセス

国際産業ロープアクセス協会Industrial Rope Access Trade Association (IRATA)という国際的なロープアクセスのスタンダードを作っている協会のページを見ていたら、Safety NoticesにペツルStopのボビンに亀裂が入る事例があったと報告されていた。
英語なのでよく判らないし、通常使用ではこんなことはないだろうが、イヤな感じ。

そこで、Petzl.comに行ってみてページを見ていたら、ヨーロッパのツリークライミングチャンピオンシップがYouTubeで紹介されていた。
2009 European Tree Climbing Championships

何か和気藹々としてひと味違った楽しい物だなぁ。日本でもこんなのが出来れば素敵だなぁ。

関係ないがPetzl I'D-sがニューバージョンになっていた。持ってないから何処が新しくなったのか判らないけど....

2009年10月19日月曜日

美登位T-1

降水確率80%以上の予報の中決行したT-1講座は、一度もカッパを着ることもなく、暖かく非常に気持ちが良い天候だった。みんな行いがよい人なのね。講習自体は野生生物の研究サークルの大学生5名と体験会に来てはまった主婦の方、社長命令で受講の大工2名。皆モチベーションも高くどんどん課題をクリアしていく。何をやるかさえも聞かされていない大工さんもドンドンこの楽しさに芽生え笑顔になっていく。それにしても大工さんの身体能力には舌を巻きました。初めから「めんどくせぇからフットループ使わなくていいっスか」ってスラスティングでワシワシ登っていき、最後には地下足袋の指でロープを挟み、ブレイクスを上げていく逆立ち登りまでやってのけた。大人で出来る人間を初めて見た。本当に楽しい2日間だった。
お手伝いくださったスタッフの皆さん本当にありがとうございました。

2009年10月16日金曜日

バードストライク

小鳥たちはどうしたって猛禽類から身を守るために林中を飛び回る。種類によっては樹冠や林床を移動する鳥も多いが、林の梢が立体的に組み合わさる空間を移動する仲間が多い。いわゆる鳥道というやつ。
防風林のように帯状になった森は、幅が決まっているので比較的鳥道が見つけやすい。給餌や繁殖行動で定期的に早朝など移動する鳥たちをじっくり観察するために、その「道」の真ん中に、マルチクロッチングで構えていると、どんどん向こうから鳥たちがやって来る。ツリーイング好きで鳥見好きにはたまらない遊びだが、鳥たちにしてみれば昨日までなかった障害物が目の前の空間にあり、慌てふためきそばに梢に留まりこちらの様子をうかがうことになる。そういう時、どうやら枝のない光の差す明るい方向へ向かって逃げる感じがする。
幸か不幸か家の庭は基本的に整備されていないワイルドな庭なので、虫卵を探しに来るカラ類にとっては外敵もあまりおらず格好のエサ場。そこで何らかの要因で明るい方向へ向かって飛んでしまうと、そこにガラスがあったりする。そうして年間何度か絶命する鳥達がいる。

シジュウカラ
朝、外に出ると、いきなり落ちていた。まだ暖かいが、頭を強打したのか嘴から血を流していた。残念だがもうどうしようもない。家の窓にはバードセーバーを付けていて、以前よりは少なくなったが、まだ命を落とす鳥たちがいる。

紅葉

紅葉の変化を樹種や環境でよく見てみるシリーズーなんっつて、ただ季節の移ろいを樹種単位で見ている。
なんとなく「色づいてきたねぇ」という見方しかしていなかったので、これは面白い。でもまだどうもキレイねってくらいでしか見れてないけど。
ハウチワカエデ
部分的に色づき、何とも和風でみずみずしく美しい。これは全体のどこからという感じでもなく、葉によって色づき方が違う。

シラカバ
何となく全体的にボワ〜っと黄色くなってきた。葉によってまだ緑の枝もあるし、黄色くなっている葉もある。

イタヤカエデ
これは木の先端、幹から遠いところから紅葉している。判りやすい。緑から黄色に変わってきた。

イタヤカエデ
数日後、緑→黄色そして赤色に変わってきた。速い。

ミズナラ
判りにくいが、幹に近いところから紅葉が始まった。枝の先の方は盛夏に比べると幾分黄色みを帯びてきたが、まだまだ緑色。

ミズキ
枝の先から紅葉が始まっている。しかも葉単位でも先の方から赤くなってきている。

アズキナシ
これもミズキ同様枝先からの紅葉。同じく葉も先の方から赤くなっている。

オオバボダイジュ
これはもうすでに落葉している。つや消しのベルベットのような質感の実と胞がかわいい。

オオバボダイジュ
本題から逸れるが、中学校のグランドのネットに実が引っかかっている。胞と一緒に実も飛んでいて、胞が風を受けて遠くへ運ばれる役目を果たしている。ようだが、ネットに阻まれている。

ヤマウルシ
もう真っ赤。鮮やかな赤。樹全体が赤。実は白っぽい煤けたベージュ。

ヤマグワ
コイツは枝単位で紅葉していくようだ。部分的にスカッと鮮やかなレモンイエロー。

ツリバナ
葉によって徐々に赤なっている。樹木単位では外側から紅葉してきているようだがよく判らない。緑色が抜けてきて赤になっていくぞっという感じで、緑色から煤けた赤に変わるグラデーションが葉単位で判る。

2009年10月14日水曜日

朝里岳

今朝は連日にも増し冷え込んでいたのでそろそろかなぁっと思っていたが、この平野から望む山々にもとうとうやってきた。家の近くからは見えない朝里岳も、平地をちょっと自転車で離れると見えてくる。山の加減もあるが離れると見えてくるモノもある。
先日の日曜の朝には夕張岳も白くなっていたが、お昼近くの帰り道にはもう消えていたのだが、この朝里岳の雪は消えそうもないなぁ。

ナショナルジオグラフィックマガジン

写真がとてもキレイで大好きな雑誌、ナショナルジオグラフィックマガジンの今月号の特集は「REDWOODSー巨木の森と生きる」。まさしくこの世界観がたまらない。まあ内容的には??の部分も多いが、とにかく写真に圧倒される。特別付録は、モチーフの手前にある2本の木にセットした3台のカメラを滑車で上げ下げして合成した圧巻のポスター。木登り好きにはたまらないものです。表紙がまたカッコイイ!雑誌の宣伝のようになりましたが、これは買いでっせ!

2009年10月13日火曜日

ハヤブサ

大概の日中は札幌市内に出て仕事をしている。数週間前から目の前の工場周辺にハヤブサがいて、渡りの途中だと思っていたがまだ居る。時々カラスを追いかけたり、カラ類を襲ったりキーキーキーと飛び回っている。なかなかイイ位置に来てくれないので写真は難しいが、札幌駅から2km程度の都会でハヤブサが狩りをしている。

防風林ハルニレ


天候が優れない中、以前にDRTを取得した友達が遊びに来た。そうやって「登りたいんですけど、いいっスか」って声を掛けてくれると本当に嬉しい。いくらでもバックアップしますよ。一緒に遊ぼうゼ!道具は持っていなくても、講習会から1年近く経過し、もう忘れてるだろうなと思いきや、ハンパなロープを買って、登れなくても自主トレをしていたらしく、ノットは完璧。でもワイルドツリーとなると勝手が違うし、スローラインはなかなか難しかったよう。
登りたくても自分ではなかなかギアが買えないし、登る木もない。せっかく「木登りがしたい」という気持ちでライセンスまで取ったのにもったいない!という人が多い。イベントや遊びで声を掛けてもたまたま都合が付かなかったりするのだが、私としてはツリーイング仲間が増えて、自分でも登れる木が増えて、一緒に樹上で話ができるのなら何時でも付き合うよ、っと言っている。でも疎遠になってくると声も掛けずらいし、相手も気安くできない雰囲気になるよう。
声を大きくしていうことでもないけど、みんな情熱を持ち続けて木に登ろうぜ!それともそういう気持ちじゃなくなってしまったのかなぁ?
講習会で覚えることなど本当に最初の一歩で、方法もひとつじゃないし、その後に広がる樹上の世界は不思議で新しい発見と可能性がいっぱいなのに、その先へ行ってみたくないのかなぁ?それとも伝え方がヘタなのかなぁ。いずれにしても情熱のギャップが感じられる今日この頃。

2009年10月6日火曜日

ティンバーワーカー

長野で行われたティンバーワーカースクールを受講してきた。リギング技術の知識と技術を習得し最後に実践するという、ハードでエキサイティングな3日間だった。
会場となったキャンプ場はカラマツが多く、でも北海道とは全然違う植生でめちゃめちゃ興味深い。朝早く起きて散歩に行ったが、カケスやゴジュウカラなどお馴染みの鳥も違うし、常緑の広葉樹があるし、サルは鳴いてるし、イノシシやクマもいるらしくただ単に興味の対象がいっぱいあることに感動した。

ある程度の経験があるということと天候の関係で、初日朝イチでクライミングスパーの登行をやった。今までカタログの中でしか見たことがないリギングギアを目の当たりにして、本当に自分にできることなのか、やって良いのかという疑念が頭を過ぎったが、ここまできてやらない手はない。自分が登っている樹木を頭から切る!しかもチェンソーで...という今までやったことのないキョーレツなカウンターパンチだった。
理屈を理解し体系化されたメソッドを確実にこなしていけば危険はないことを頭では理解しているが、しかし自分がコレをやるという事実に驚愕した。
後半はコレが今の自分の実力という事実を、痛烈に理解する羽目になったがとにかく自分の中で何かが変わりつつある実感がフツフツと湧いてきた。



2日目は朝から時折激しく降る雨。せっかく来たのだから雨の中でも行いたいと思ったが、道具か濡れると翌日の実践で都合が悪くなるためフィールドでのトレーニングは中止。前日の疲れが相当あり、休養にもなったし、個人的にはスプライシングももの凄く興味があるので良かった。チェンソーの理論とロープのスプライシングをやった。個人的にはホローブレイドのスプライスは経験済みなので、もうちょっと難しいダブルブレイドに挑戦。これでランヤードを作る。1本目はとりあえず先生のやった通りに後を追い、2本目で記憶と手の感覚をアテに自分でやってみるが...上手くいくはずもない。チョロチョロ聴きながらそれでも何とか完成させた。
更に自分のモノにするには何度も何度もトライするしかない。せっかく作ったランヤードだが、途中でぶった切り、練習台になってもらうしかない。


いよいよ実践の日。北海道ではなかなか無い牧歌的な山あいの山村っという感じのロケーション。でも意地悪くというか、リギングには適したというか、対象の大ケヤキは電線が四方を囲み狭いバス通りの県道に隣接し、大きく屋根に張り出した枝を降ろす場所も制限されている。チームでプランを組み安全で迅速なシステム...っていっても具体的に思い描くイメージすら思いつかない。もう午前中はボロボロで取り付く島もない感じだった。
午後からは出来ない乍らもプランを提示し、その都度具体的な修正を掛けて、目標とはほど遠いが何とか出来るようになった。それにしてもイメージ通り枝が動いたときは鳥肌モノだった。アドレナリンがビシッと吹き出す感じがした。


3日間の講習で自分の今の実力と問題点、これから向かっていきたい方向、そして繰り返しトレーニングすることで何とかなりそうな実感が感じられ、昨日までの自分とは明らかに違う何かを掴んだ感じを体感した。オモシレ〜!