2011年12月27日火曜日

ビッグショット考

私がビッグショットを好んで使わない理由は、あまり必要を感じないから。
ビッグショットの要件は「手投げでとどかない領域へのアプローチ」で
最初にレクチャーを受けたとき「ヒジが地面に着くくらい引け」
そうすれば40m位は上がると...
しかし私が使う場合ゴムの強さに負け、せいぜい30m位までしか上がらない。
あと5cm引けばもっと上がるといわれるのだが、
無理矢理引くとプルプルしてコントロールがつかない。
屈強な消防士とかは、ポールでコントロールするのではなく、
引いたゴムの方を移動させてコントロールする。
そんな腕力はないし出来ないし、ヘッドに当たってしまうことだってある。

5m程度まではロープを直接投げた方が良いし、
22m位まで手投げでいけるし、そこから上はビッグショットになる。
現実的に22m以上のアンカーは少ないし、
あっても現場までデカイ図体を運ぶのが億劫だから繋いで登ってしまう。
レッドウッドとかに行く場合は別だろうが、
そうした場合はきっと屈強な仲間がいるので自分でショットすることはない。
故にビッグショットはそれほど積極的に使わないし、
その分手投げのトレーニングを積む方が性に合っている。

しかし、先日知り合いからパニックスナップなるものを頂いた。
ビッグショットのトリガーに使えるというもので
会社で使わないものを整理してたら出てきたらしい!(なんかスゲェ会社)
その方はビッグショットを持っていないから私にくれるというのだ。
私は講座以外でほとんどビッグショットを使わないし
トリガーシステムにもあまり興味がなかったのだけど、
こういうキラキラしたものを戴くとムクムクと好奇心がわいてくる。

一部巷で話題になっているので、いろいろ調べてみると、
皆さんいろいろとトライアルされていて、試行錯誤している。
自分で必要な条件といえば、ヒジが着くまで引けること、なので
それを補うのはやはり倍力を組んだモノになる。
ツルベで倍力を組んだものがあったが、アンカーがフィックスされている。
ただでさえゴチャつき重くなるのは好みではないし、
結ぶのも解くのも簡単なノットの方が性に合っている。
そして出来れば3倍力を組みたいなぁと...

いろいろ考察していたのだが、ビッグショットのゴムは思ったより強く
なかなか満足いくノットが見つからなかった。
ダブルやトリプルのコンストリクター(テンションが分散されてダメ)
プルージックやシュワビッシュの巻き数を増やしたり、
ヒッチ系をいくつか試したが引く時に一瞬荷重が抜けるからズリやすい。
やはりチョーク系のノットじゃないとといくつか試したが
引かれる方向と荷重の関係が今ひとつ案配が良くない。

「いいアイデアが
生まれないときは、
部品を握って一緒に寝る」
という私の先生の教え通り、
ロープの切れ端を絶えず
持って歩きしばらく
何も考えずいじっていると…
いいアイデアが生まれた!



エスキモーブーリンをリトレースしてリングを二重にする、
いわゆるエスキモーブーリンのヨセミテ的なアレンジ状態で、
末端をさらにリトレースしてワンバイト作り末端同士を結着すると、
アンカーもできるし、ラチェットプルージックも同時にできる!
倍力もツルベじゃなく3倍にできる!
アンカーとプルに交互荷重するので解けにくい!理想的なノットになった。
ダブルエスキモーブーリンウィズアバイトリトレースループ
いろいろ探った範囲では見あたらない、オリジナルのノットになった。
シノニムを作ってしまう可能性もあるが....

さらにパニックスナップにはハンドルがないので、
ソコにもダブルエスキモーブーリンループでハンドルをつけ
ダブルエステロン5/8の末端をちょいと使い、握りやすいようハンドルにした。

パニックスナップのスイベルにフィギュアエイトで固定、
延びてくるロープをビッグショットのポールエンドの
(例のブーリンのワンバイトにマイロンを噛ませ)アンカーに通し、
引き側強めの4on3のプルージック、
(4on3やon2にするとマインドプーリーじゃなくてもマイロンで代用できる)
戻ってパニックスナップのスイベルに通す(本当はもう一つマイロンがよい)
末端を引くと理屈上の3倍力になる。
軽いことやシンプルにすることも目的なので、敢えてプーリーは使わない。
それでもヒジくらいまでは余裕で引けようになった。


パニックスナップのハンドルを引いたとき
ビッグショットのハンドル(布の握り)だと
上手く外れないことがある。
なので、ビッグショットのハンドルに
マイロンを掛けた。
実値テストで30本くらい飛ばし
アベレージで40mは軽く上がる。
そして一番感じたメリットは
上空で風の影響を受けにくい。
初速で直進性がイイから
上でもブレにくいのかなぁ。
クニャっとなることがない。


話は違うが、以前、パンタンは楽だけど、正直メリットを感じなかった。
ハンドアセンダーをフットループ代わりに使う方が良いと思っていた。
スプリットテイルシステムは出来るけど、さほどメリットを感じなかった。
でも、ちゃんと登行や移動や使い方が判るとパンタンが必要条件に変わった。
ただ楽なだけじゃないんだ!っと。
少なくとも自分は「楽」という理由だけで触手を動かさぬよう心がけている。
それがセーフティでスピーディでローコストなら言うことはない。
ビッグショットも本来の使い方が出来ないから有用性を感じなかっただけで、
今まで自分では不可能と思っていた40オーバーも夢じゃない。
またひとつ屁理屈捏ねたバカの壁を越えた感じ。
初めてビッグショットにメリットを感じました。
作業時間の短縮では使わない。アプローチ難なアンカーを狙うときに使う。
低いところでもコレに頼ってしまいそうな自分は戒めないと....


プルージックと
ロープの関係を変更し
倍力ロープを、
7mmに変えると
ますます調子よくなった。


いやぁ、本当にパニックスナップをありがとう!
貰わなかったら手をつけない領域だし、
貰ったからにはちゃんとやらないと失礼だし
でもちゃんと知るとまたひとつ他の可能性も見えてくる。
私の場合こんな感じになりました!

ビッグショットは大変危険な道具です。事故も起きます。
ココに紹介するのはあくまでも個人の範疇で、ノットの機能とか使用限界とか
At own your riskでお願いしますねぇ〜。

2011年12月16日金曜日

オオアカゲラ

オオアカゲラ

去年の冬からよく見かけるオオアカゲラが
まあいつも居るのかもしれないが、
今年はもう現れた。

お腹の黒縞と紅のグラデーションが美しい。
頭の深紅も素敵。
勝手なイメージだが頬が赤らんだ
酔っぱらったヤッコさん。



コゲラ・アカゲラ・オオアカゲラ・クマゲラ
よく見るキツツキ類の
トトトって探りを入れる音、
ガッガッって穿り突く音、
首のストロークの違いで
木を突くサイクルが微妙に違う。
何となく突く音の長さと質でその4種は
判断がつくようになってきた。
ヤマゲラやキバシリはあんまり突かないし
なかなか音では判断がつかない。

ヨーロッパトウヒ

今シーズン初スノーシューで出動した。
まだ、地表がスカスカなので歩きにくい。

ヨーロッパトウヒが倒れていた。
樹冠の実をそばで見る機会は
あまりないのでよく観察。
でもその影響で、
奥のトウヒも倒れたようだし、
少しづつ傷みが出てきている。


中学校のプールが閉鎖になり、屋根を撤去したことで風の通りが変わり、
校舎と西向きの防風林の隙間に流れ込む風が多くなったのだろう。
次々に木が架かり木になり、二次三次被害で倒れている。
中学校側からシラカバが倒れミズキに架かり、それがトウヒに架かり、
そのトウヒがまた別のトウヒに倒れ架かっている。
このままだと防風林に風穴が開いてしまいそうだ。

この防風林は適当に放置されていて、鳥が運んだ種や倒木更新が進み、
イイ感じで自然に近づいているものの、
人工物の影響で風の流れが変わったことが原因で倒壊するのはどうもイヤだ。
勝手な想像だし、勝手に手を入れるわけにはいかないが、
ほぼ毎日見ていると、遍歴が判りどうも気になる。
人工の林だし、手を入れ続けないと痛んでしまう。
せめて死んでしまった架かり木だけでも引き倒してあげたいが、
どうするべきなのか?

2011年12月15日木曜日

Happy Holidays!

ホリディシーズン真っ盛りで、去年もシャレが効いていましたが、
今年もPetzlがHappy Holidaysのネタを公開している。

サンタクロースが懸垂下降で下降器にヒゲを挟まれたみたいです。
しかしこういうシャレ、イイなぁ。



私もブレイクスにヒゲを吸い取られたことがあるので、
人ごとではない。


しかもHoliday_Tech_Noticeまで
載っている。
サンタは HOLIDAY Tech Tips
説明書を読まなかったのだろうか?
コビトが倍力を使って、
サンタを煙突に降ろしている。

2011年12月13日火曜日

スプライスの会

先日仲間が集まって情報交換しながらスプライスをやった。
スプライスはまだまだ未熟だけど、数をこなさないとすぐ忘れてしまうし、
そうそう機会も道具もないので良い機会。

いつも美味しいケーキを
焼いていただいたり、
今まで面識はなくとも
意外なところで繋がったり、
みんなでアーダコーダ言って
トライするのは実に楽しい。

おぼろげで中途半端な知識でみんなに迷惑をかけたコトは否めませんが、
あしからず。

そしていつもマテェな仕事で感心する方がオリジナルのパウチを作ってきた。
使ってみての不具合やブラッシュアップで道具を工夫するコトがオリジナル製作の原動力になっている。
デザインって企画して解析してスクラップ&ビルドでもの作りする姿勢にあるんだ!ということを改めて感じてしまうようなスバラシイ仕上がりとセンス。
ちょっと見て「コレならもっと安くできるぜ」ってマネしたバッタもんはロクなものがないし、第一その姿勢も出来上がりもカッコワルイ。プロダクトデザインに関わっている者からすると、そのカタチになった経緯やそこに至った道筋を無視している事が多くバカにしてると思う。チャイナなPetzlのニセモノと同じ感覚だから、安全に対する心構えも同じだろう。

パウチは手で投げて投げて使い倒して
穴が開くと、補強するべきところや
修正したくなるところが判ってくる。
フォルムはいろいろ使っているうちに
理想的なカタチが見えてくる。
痛みやすいところを二重にして
しかもダブルでステッチする箇所は
見かけにも気を使いデザインしている。
そしてオリジナルの焼き印!
格好良すぎるゼ!
もの作りは機能やコストもそうだけど、
欲しくなるモノじゃないと!

闇雲に登るだけじゃなく、機能低下してリスクも高まる冬の間は、
道具の手入れや、アイデアを出し合って工夫したり、
経験だけじゃ掴めないロジックを話し合ったり、スプライスしたり...
またみんなで集まりましょう!

ユキウサギの足跡

防風林はグズグズな地面なので暫く遠ざかっていた。

そろそろ落ち着いたかなっと
行ってみたが、
まだ浮いた笹に雪が載ってる
だけなのでまともに歩けない。
ユキウサギも埋まるようで、
指を思いっきり開いてかなり
大きなトラックになっていた。