2010年12月29日水曜日

リギングシミュレーター

段取りを決めるとき「あの先」とか「その股」とか、なかなか意思疎通が
出来ないことが多い。チームスキルのばらつきがあると尚更巧く伝わらない。
実際登ってもそこまで行けなくて予想以上にモーメントアームが長くなったり、
クライマーの都合でベクトルが変わったりする。
セーフティマージンに助けられ、結果オーライ的にこなしているものの、
やっぱり共有できるテクニックはきちんと理解できるに越したことはない。

現場でいろいろ出来る機会も限られているし、
だいいち実際の結果と、違う段取りの場合の差をうまく説明できない。
自分のイメージを上手く伝えられないから絵に描いたりするが、
それでもなかなか巧く伝わらないことが多い。
何とかならないものかなぁっと以前から考えていて、
ミニチュアモデルを作ってみるコトにした。
カットモデルとかスケールモデルって何か魅力的で、
ほとんど趣味の世界なんだけど、理屈を理解するにはもってこいだ。

それで、実際にいろいろ試してみると、
物量の重さの違いで上手くいかないこともあるが、
ほとんど同じ挙動をするのでなかなか良い。
これだと同じシチュエーションでいろいろ出来るので、
段取りする方法の違いで結果が変わってくることを見せながら説明できる。




リギングの説明をするときに、実際の資器材を使って出来る範囲も限られているし
「ちょっと持ってて」ってポータラップやブロックを首から提げたりして、
重いから持っているだけで疲れてしまうし、
うまく挙動しないから曖昧になったりする部分がクリアになりそう。

自分でもパラパラと外国語のテキストを見て、何となく挿絵で判断して
解ったつもりになっていることも多かった。
そういう人多いんじゃないかなぁ。
カタカナで引っ掛かっているぐらいだから、英語となるとちょっとね。
でも、コレは説明になっていないだろう!って挿絵も多いから困ったもんだ。


ニヤニヤしながら枝を下ろしたり
コッチに持ってく場合は、
ここに確保しないとね、とか、
自分で課題を設定して、
その場合はこの方法が
良いんじゃないか?なんて
遊んでます。

2010年12月27日月曜日

支笏湖で

おそらく今年最後になる特殊伐採に行き、
国有林から民地にはみ出した枝を除去した。
それほど難易度は高くないが、
いろいろ難しいコトが絡む。
私がこの界隈で最も好きな温泉宿だったので
あわよくば帰りに湯をもらえるかな?
なんて思っていた。
宿には客が居てチェックアウト時間まで
ガタガタやるのは勘弁ということで、まあ
準備にも時間がかかるので仕様がないと。
10時半を過ぎて、さあ開始と思ったら、
今度は従業員の仮眠時間だから
チェンソーの音はちょっとと言われた。

[After] 屋根にかかる部分のミズナラの枝を6本ほど落とした。

以前こういう枝が落ちて屋根を壊してしまったようで、
そういうことがないように枝払いとなったのだが、
勝手に落ちてきた枝で屋根に穴が開いたワケで、
宿としてはちっともありがたいことではないのである。
こっちは生活に支障が起きるかも知れない枝を払うわけだし、
通常の作業では出来ない特殊作業で、互いにメリットがあると思っていた。
しかしやっかいでうるさい作業員としか見てくれないものだ。
こういう作業は現場に話しが通っていなかったり、様々な都合があり、
お互いに気持ちよく協力的に...なんて都合良くいかない場合もある。
何とかならないものかなぁ。

それでも段取りをサクサクこなし、もう1本の大物を午後からかたづけた。


こちらは17m程の枝を
3回に分けて吊り降ろした。
といっても私はグラウンドで
ポータラッパー。


濡れるとただでも滑るイタヤ。
枝に雪が降り積もりツルツルな
状態で、確保にも難儀したし、
粘りがないので思った以上に
ちぎれるのが早い。


物量はあったものの
スタティックでクリア。
さすが〜!


今年も一年ありがとうございました。

2010年12月20日月曜日

冬が輝いてる


週末は家でこそこそ
工作をしていた。
土曜日はキンッと冷え、
外の寒暖計も縮こまっていた。
日が出ると氷の表面が溶け始め
なんとも美しい一瞬の
キラキラが始まる。



いろんな色のキラキラに息をのむ。


木々の隙間から光が差し込み
雪面にウェーブを描く。
枝先のシジュウカラに
朝日が当たり気持ちよさそう。



* * * * * 

ふと、一休みして窓の外を見ると、ここん所毎日来ているクマゲラ。
しかし家の窓から観察できるなんて。一日中ガスガスやっている。
3羽一緒にいたのは一度きりだが
今年の秋に大風で倒れたポプラ。
中がすっかり空洞になっていて、その中に入っていた。


そして、制作していたのはコレ。
バッタもんじゃなく
スケールサイズのミニチュア。
現場でなかなか伝わりにくい
メソッドを共有するために
机上でシミュレーション
できないだろうかと目論んでた
なかなかイイ感じ。

2010年12月13日月曜日

クマゲラサンバ

今年は何かと忙しく、なかなか手をつけられなかったというか先延ばしにしていた
単車の冬ごもりと雪遊び関係の入れ替えのため家の前でゴチャゴチャやっていた。
日中に家にいることも暫くだったので、
裏メニューとして今日はクマゲラを観るぞ〜!と密かに思っていた。


まあ観られればいいなぁ程度の気持ちで、ガタガタとやかましく作業をしていると、
クルックルックルックルッと聞こえてきた。

家人は今シーズン数回観ているし、家のしいたけのボダ木も突いているようだし、
期待大で望んでいたけど、
拍子抜けの感じで目の前のポプラに現れた。
その距離10m強、カメラ、カメラと取りに行くも、お構いなしにガスガスやっている。




宅配便のトラックが通るたびに、サッと居なくなるが、またすぐにやってくる。
犬の散歩や部活に向かう子供が通るたびに、ポプラをクルッと一周し飛び去る気配もない。
そしてメス2羽オス1羽、全部で3羽が同時に現れ、飛びまくっていた。
去年現れていた番が繁殖に成功し、子供を連れて現れたのが、
どういう関係なのか解らないが、メス2羽はいつも一緒に行動していた。




時折吹雪き天気は良くないが、
結局朝8時から夕方3時まで
ずうっと行ったり来たり、
奥のヨーロッパトウヒと
この辺りを行ったり来たり。
よほど旨いものを見つけたのか、
居なくなった時を見計らって
食痕を見に行くと
身体がすっぽりと入るほどの
大穴を空けていた。


時間があったのでビデオも撮ってみた。

これでいいのかな?Youtubeは始めてだから...

2010年12月9日木曜日

庭木の特伐3

いよいよ佳境となったオオドロの特伐。
手を入れ始めてから5回目でやっとここまで、
残念ながら今日は不参加、多分根元から倒しておしまいになっているはず。
長かったなぁ。

最初の状態から→透かしの小枝払い

降ろすためのスペース確保の大枝除去→出来たスペースに小枝を降ろす

アンカーを確保しつつ→最後の幹のリギング

段取り八分。
作業の工程をしっかり認識できていなかったので、
(確認するも何も経験不足からかちゃんと立体的にイメージできなく)
その日の作業を確認しつつ進めていたが、
フォールスクロッチの選定や、思った方向に回らなかったり、
他の木に掛かってしまったり、重量の読みが甘くヘッドヘビーだったり、
反省至極!ではあったが、厳しい条件の中いろんな知識を駆使し
技術を確かめながら実践しゆっくりだけど確実にトライできた。

10人いたら10通り以上のやり方があり、
その人の個性が活かせる方法と配置、
クライマーとグランドの連携だったり、
上に行ってみてからの修正を上手く伝えることだったり、
いずれにしても根拠のある出来ることとを
基本に忠実に粛々と行うのだけれど、
巧くいくと「やった〜」ってガッツポーズになる。
もの凄くクリエイティブな部分とガチガチの物理の融合。
まさに、Art of Rigging だ。

かっちょいいブロック

ブロックって質実剛健というか、無骨で粗野というか
素敵なフォルムのモノがなかった。
ステンレスプレートのものはこのエッジで大丈夫なのか?
と疑いたくなるアバウトな仕上げのものもある。
まあ、目的を果たせばいいわけで、
しかしもうちょっと見た目の工夫があっても良いのになぁっと思うわけで、
かっこばかりじゃなく、ダイナミックも平気よっていう、
IMPACT BLOCK! なんと色っぽい形と色!
プロダクトデザインってこうでなくっちゃ!

以前から気になっていたのだが、
DMMのWebページを見ると更に物欲が....
あのtreemagineersが関わっているニュープロダクトのようで
ロードテストをやっているビデオが紹介されていた。
ゴリゴリダイナミックで落としまくっている。

大きい方のセンターブッシュは穴になっているようで、
何かと怪しい使い方ができるようだ。
DMMのリギングハブも真ん中にカラビナをテコにして使う
(これは気持ちとしてイヤな使い方だけど)
あんな使い方で、フローティングアンカーにするのかな?
二次三次的にフローティングアンカーを固定できれば便利だろうけど
そうなるとフローティングじゃなく3D任意アンカーか?

ダイナミックで使えるほど高強度を唄い文句にしているけど
作業が粗くなったり、台付きとかも変わってくるだろうなぁ。
いずれにしてもかっこいいプロダクトは素敵です。

2010年12月3日金曜日

クマゲラ?ホダ木?

先週から度々クマゲラの声を聴いている。声はすれども姿は見えず。
昨年もこの時期から現れ始めたので、今年も期待していた。

家の庭というか車庫の裏に数年前から
しいたけのホダ木がある。
毎年春と秋に少しだけオガって、
少しだけ旬の味を楽しんでいる。
もう数年経っているし、感染しきってるので
今年はもう生らないかなぁっと思っていた。
数日前に見た時には何の変化もなかったのだが
昨日なんと大穴が空いていた。
こんなガスガス大きな穴を空けるヤツは
ひょっとして
庭にクマゲラが来ていたかもしれない。
そう思うと楽しくなる。



昨年までは朝8時30分頃決まって家の前の防風林を渡っていて
「クマゲラ見たかったら、朝うちに来るといいゼ」ってほど
毎日見ていたが、ことしはパトロールのルートが変わったか、
家人が昨日夕方3時頃に2羽飛び去るのを見たらしい。
夕方暗くなく直前に来ているようだ。

まあ何にしても家の窓からクマゲラ観察できたらイイよなぁ。
またホダ木突きに来てくれないかなぁ。

2010年11月29日月曜日

オジロワシ


今日朝起きると、一面雪景色だった。
朝のパトロールではノスリが2羽。
行く道すがらでチョウゲンボウらしき小猛禽。
畑で畝からチュウヒが飛び出した。
橋の所でオジロワシ。
猛禽が多く見られる嬉しい季節になった。

写真は土曜日に見たオジロワシの若鳥。
道路にキタキツネの死骸があり、
アチャーって思っていたら、
オジロワシがいた。
コイツを狙っていたのかなかなか離れない。
交通量が多いところなので気をつけてね。

庭木の特伐2

冬が近づくと作業の時間も短縮され、午後4時にはもう真っ暗になる。
なかなかまとまって手をつけられなかった庭木の特伐。
前回までに2度参加したが、
最後のカットまで行かなかったフェンス側のドロは
高さ4mほどで止めていただいていた。

Midway and After
奥のドロは、オジジとコマさんで、ほぼボウズまで手が入っているが、
最後まで仕上がっていなかったので、半日参加の私が担当。
高さ14m位の所からトッピングカットで降ろす。
広葉樹でも直立しているし、回したアンカーが不安なので、
下からスパーで登り、3回に分けて落としていった。
ドロノキは水分が多く柔らかいので、けっこう揺れる。
しかし最後のカットの時は直径が50cm程だったので
けっこう重く、衝撃もかなりのモノだった。
Keep it simple! Be Safety!

Midway
一方最後に残った一番やっかいなオオドロは
透かしで枝を払い、屋根に架かった枝を処理し、
降ろす箇所を広げるために手前の大枝を最初に片付けるべく
作業を進めているが、なかなか一筋縄ではいかない。

これはまだ暫く時間がかかりそうだ。

川沿で特殊伐採

先日来何度か特殊伐採のお手伝いをしている現場からちょっと離れて、
工期が迫った箇所を先に行うことになった。
国有林から民地に張り出した巨大なニセアカシヤを2本と
隣のミズナラ2本とエゾイタヤ。
いずれも民地から駈け上がりになった傾斜地。
ニセアカシアの方は樹高が27mほど、斜面を入れると30mを越え
前は開けた空き地だけどそのまま倒すと手前の電線に架かる恐れがある。

傾斜地なので土地も不安定だし、
更に撓るし裂けやすく、
しかも落とすときに粘るので
方向も定まりにくくやりにくい。
枝が跳ねないように細かく刻んで、
ゆっくり降ろすが
土地・高さ・樹種の特性などの条件で
簡単そうに見えてもやっかいモノだった。

さすがコマさん!基本に忠実な方が仕事が早い。

私はというともう一方の
ミズナラ2本とイタヤの方を担当した。
簡単とはいえ、倒す順番と
民家の屋根に架かる枝が多いので
手間がかかった。
手前のミズナラを先に片付けないと、
枝掛かりと樹冠を覆ったヤマブドウの蔓のため
リスクが増すが、とりあえず、
手で確保しながらリギングぜずにボウズにして
最後は根元から倒した。

Before

Midway and After

倒し用の大型チャンソーは使い慣れていないせいで、
動かなくしてしまった。コマさんすいません。

最後は3本とも無事すんなり倒せました。

2010年11月22日月曜日

T-2三笠

今年最後となるT-2講座。
単純に道具の使い方や方法を伝えるだけでなく、
T-2では目的に近づくうえで障害となるファクターの回避方法や
高い木にいかに早く、いかに楽に近づくかを学ぶ。
それはT-1で蓄積した安全に対するロジックがベースになる。
目的は登りやすい木に登る方法ではなく、
登れなかった木にいかにアプローチするかなので、
頭を柔らかくシンプルに組み立てることで、
今まで出来なかったことが工夫できるようになる。


今回の講座ではSRTのキモとなる
アンカーの取り方を工夫し
いくつか代表的なものを紹介した。
それぞれ目的別の善し悪しがあるし、
各自が持っている道具でベターな
アンカーの取り方となると千差万別。
一つの方法だけ覚えても
それだけでは対処できない場合が多いし、
対象が人工物ではないので、
これがベストという方法はない。

SRTから切り返しでDRTに



荷重と抜重が繰り返されるアンカー数種、
荷重されたら開放するまで
抜重されないアンカー数種、
メインを抜重するための一時的なアンカー、
ボトムロアリングのシステム数種、
フィックスドアンカーのとりかた数種、
エマージェンシーアンカーのとりかた、
幾通りもある目的に合わせた
使用資器材やノットの選び方を実践する。
もちろん一般的な方法はあるが、
体系的に完成されることがないシステム。
そこが木登りの魅力でもある。

手前のミズナラ、奥のエゾマツ、
それぞれ違ったアプローチで。


方法だけ理解しても、使いどころが不明瞭な場合、
目的を果たせないことが多いので、
その場に応じた考え方に合わせた方法を選定してその幅を理解する。
講座の方向性もしっかり理解していただけたし、
「もっと早く知りたかった。本当に勉強になる」と言っていただけた。
伝える側の冥利に尽きる講座だった。

2010年11月19日金曜日

キレンジャク

今年は秋の移ろいをよく観ることなく、すっかり冬の様相。
その時期いなかったこともあるが、それでも紅葉がおかしかったようだ。
庭のブルーベリーも綺麗に紅葉することなく散ってしまった。
あの緑から深紅のグラデーションが美しくて好きなんだけどなぁ。


冬が近づきレンジャクをよく観る
今日はキレンジャクが2羽。
風が強く冠羽がひしゃげてると
シメみたいだなぁ。
ナナカマドの実を啄んでいた。

近所で街路樹として並んでいるナナカマドは
(ウラジロとかタカネとか実は詳しく判らないが)
一本づつ交互に植えられているようで、
葉の大きさや色合いが微妙に違う。
実の付き方も違うので、交互に並んで実がついていたり、なかったり。
それを啄むレンジャクも好みがあるのだろうか?

2010年11月15日月曜日

美登位でワークショップ

木に登ることが目的ではなく
自らのフィールドワークや調査研究のため
木に登って「作業」する人のための
研究会というかワークショップを土日で行った。
目指すはしがみついてるセミやぶら下がる幼虫じゃなく
枝を自由に動き回ったり隣の木に乗り移るエゾリス。
より安全で確実な樹冠での移動メソッドをデモ・体験していただいた。
強風雨まじりの生憎に天候だったが、
目的が明確なだけにみんな熱く真剣にでも楽しく木に向き合った。


単に木に登る方法だけでなく、
樹冠での作業性や安全性を
考慮して自由に動くためには
なるべく楽なアイデアが必要だ。
それに重要なのは
早く確実に行動できないと
体力ばかり使ってしまい作業性も
能率も落ちてしまう。

気合いと根性で行けるところには限界がある。

幹近くだけでなく
梢の先まで移動したり、
樹洞を観察したり、
巣箱を架けたりするためには
登る方法だけでは
使い物にならないことが多い。
両手がフリーになり、しかも
安定した体勢を取る必要がある。

使い方ひとつで魔法のように、行けないところが行けるところになる。

そんなに体力が無くても
ある程度の安全対策と
メソッドを理解できると、
梢の先まで行けるようになる。
幹に張り付いているだけでは
役に立たないことが多い。
作業ができずに疲れると
登っている意味がない。

登りたいだけなら別だが、下で作業できて段取りできるなら
下でヤル方が安全だし効率も良い。
またいろんな道具をたくさん持っていくのもどうかと思う。
調査地は落ち葉の公園や車が横付けできる場所ではなく、基本藪こぎやラッセル。
たとえばビッグショットじゃなくスローラインの腕を磨くこと、
一度投げたら下のラインワークで確実にアンカーを取る技術を身につけること。

目的が梢の先や生物の営巣樹木の場合
レクリエーションベースで考えるととんでもないことかもしれない。
その部分だけ切り取って金儲けしてるなんて思われている節もあるが
レクリエーションだって元々樹上でどう動くかを基本に取捨選択して
メリットが大きい部分を取り入れたモノ。
逆に考えると、アーボリアルな世界を知ってるからこそ取捨選択できるのだ。

アイデア次第で「できない」は無くなる。
できないのは「知らない」ことが多いこともあるが、
それは頭が硬く、視野や了見の狭さが災いしている気がする。

知るためにインターネット等で情報収集することは簡単だが
実際間違った方法や認識違いしてしまうようなものも数多くある。
また、職人技が多く、師匠がやる技術を全て理解しても、
そのバックグランドにある基礎までは理解でき無いことが多い。
それはその師匠個人が経験して積み上げた知識が多いからだと思う。
弟子入りしてもそこを理解するために長いこと時間がかかり、
だからこそ基礎をしっかりたたき込まれるのだと思う。
それでもやっぱり個性の領域なので、
その師匠にとっては「正解」でも、自分には正解でない場合も多く
それを正解と思って行動していると辛い目や痛い目に合うと思う。

今回最大のポイントのランヤード。
長さ・太さ・材質・確保具の形状・末端の取り方・架ける方向やコストまで
こればっかりは人それぞれ自分に合ったものがある。
使いドコによって複数持つとなるとエライ数になる。
カタログに出ているものも一般的なもので自分のモノにならない。
誰かに勧められたもので「こういうものだ」と思っていたら
絶対に自分のモノにはならない。
いろいろ実際使ってみて、検証してみて、可能性を理解してもらうために
相当数用意しなければならないが、
そうなるとこういう機会じゃないと無理なんじゃないかな?
また、興味を持った人には後日自宅でスプライスも行うことになった。

世界のアーボリストが培った
元々古来の技術から発展して、
様々な安全性を求めた形として
蓄積されたノウハウが
より汎用性が高いロープを
使った木登り技術だと思う。
そしてその基本を理解すると
自分のアイデアも活かす領域も
広がり視野も広がる思う。


目的の梢に到達するアプローチは
10人いたら10通りのやり方があるし、新しい発見もあった。
リムウォークはもの凄くクリエイティブだ。
ベーシックな部分を共有することで、
縦割り一子相伝のような技術ではなく、
お互いがアイデアを出し合いリスペクトし合える技術交流というか
みんなでいろいろやってみようゼ!という会は実に有意義だった。

机上や脳内だけでなく身体を動かすことで
本や写真や動画では伝わらない立体的な視点を経験できる。
可能性がグンっと広がり、
みんな自分の研究に対してのメリットを見いだしていただけた。
逆にこれきっかけでレクリエーションに興味を示してくれる方や
林業や造園としての必要性を感じてくれた方もいた。
決定的な動きの差がメリットと危機感を煽ることになった。

アイデアは横にある。
大切なことはガムバって前を見ているときには見つからずに
じつはすぐ手の届く横にあることが多い。

そして文字通り視野が広がることで、
調査の方法やデータの取り方にも幅が広がり
新しいアイデアが生まれ、
もっとよい研究の可能性が広がってくれるとありがたい。


それから、
実際の調査の時にも
呼んでくださいね。
生き物たちの話しも
もっと伺いたかったです。

2010年11月12日金曜日

庭木の伐採

大きく育ってしまった木の枝処理があり行ってきた。
庭に大きく育ってしまったドロノキが3本とトドマツ1本。

トドマツは伐倒するが、
ドロノキはエゾリスが来るから
下の方は残してほしいとのこと。
陽をたくさん浴びて
見事な樹形なので、
上だけ落としみっともなくなって
しまうのは忍びない。
が、しかたがない。

胸高直径80cm程のこの大木は電線や電話線に阻まれなかなか困難。
引き込み線等の段取りをしてから後で着手。

とりあえず、手の付けやすいドロとトドから手を付ける。
隣地にはみ出している枝を払い、フェンスに当てないようリギングする。
スタティックリギングを目指し、バランスを考え吊るが、
対象でない下の幼木シラカバに阻まれなかなか難しい。
グランドの関係で今日はここまで。

Before and After

トドマツは伐倒ということで、軽く考えていた。
やっと最近手に入れたスパーの威力が発揮されると息巻いて、
下から登りながら枝処理して...と思うが
実は上部でヤマブドウの蔓がグチャグチャになっており
枝払いしても、つるリフティングされていて落ちない。
それどころか中ぶらりんの状態で何本も下がってしまい大変危険。

しょうがないので、込み入った枝の中に無理矢理身体をねじ込み、
上の方で枝先までリムウォークしてツルきり。
屋根より上の高さで隣のオオドロノキと繋がっていたり、
下の木に絡んでいて、一筋縄ではいかなかった。
結局、切った枝5本くらいが一塊でグンっグンっと段階的に落ちるので
逆に落下が抑えられ安全に降ろせた。

ツル切りに手間取ったため、トッピングカットまで行かなくあえなく日没。
下に溜まったツル絡みのボサ処理やそれに絡むロープの取り回しなど
課題も見えてきた。

Before and After

作業後、施主と野鳥談義になり、
この辺りでも昨年来なかったレンジャクが今年は多いとのこと。
枝落としの最中も樹冠にレンジャク・ツグミ・カラ類・エナガなどが
やってきてイイ声で鳴いて和ませてくれた。
周りも住宅で囲まれた土地柄、中継地的なオアシスになっているのかも。
彼らが移動の途中で一休みできるポイントとして何とか残したい。

それから、ヤニでギトギトになったスパー。
金属部分はぬるま湯で洗いメンテするが、
ベロクロの部分はどうやったらベタベタが取れるのか
テレピン油で落とすがいまいち。考えなくては...