2020年8月31日月曜日

ダイエットサプリ


このサプリを飲めば瘦せる!とか、
有名人が言う効果抜群なダイエットとか、
毎日3分でこんなに健康とか、
ああいうのどうなんだろうね。

私は2つ落とし穴が有ると思う。

まずは
「個と個を共通させる」短絡の考え。
そして
「簡単に結果に繋がる」って言う嘘臭さ。

1つ目は、個人はあくまでひとつの個体の個性で、2つとして同じ遺伝子はない。双子なら共通の部分も有るけど、全く一緒ではないね。
同じ環境で育ったクローン人間だったら一緒の結果になるかもしれないけど、
隣の人と同じサプリで同じ結果が得られる訳がない。

ましてそこに利益享受の構造があれば、モノを売るための「こんなに効果が有る」的な歌い文句が出てくる。ある一個人が効果的だったものに対し、全員がソウであるかのように宣伝している。またはその作為が見られる。

そして有名人を使ったキャッチーなコマーシャルや、私は運動もしないで毎日コレを飲むだけでこんなにヤセました的な、セリフに踊らされるように仕組まれた広告戦略に、コロッと騙される。この有名人もギャラが派生してるよね。

生活習慣の違いや向き合う姿勢なんて無視して、誰でも同じように瘦せられるっていう刷り込みをマルッと信じててしまう。そして、今度こそ成功するみたいに、次から次へと新たしいダイエットサプリを買って実践する。

何処かで見た事ある構図ですね。

2つ目は、日々の鍛錬や面倒臭い整合性や学ぶべき基本をすっ飛ばし、簡単に直ぐに結果が得られる。これを飲めば容易く結果に繋がる、って思わせるテクニック。

明日から肥満におさらば、腹の下の肉が一瞬で消える、面倒な体操も一切無し、好きなだけ食べていい、日頃の運動不足も一気に解消、これまでの怠惰な生活を好きなだけ続けても、何の苦労も無くたったこの1錠を飲むだけで理想的なボディに大変身!みたいな。

そう、ただちに結果が得られる。って思ってしまう短絡。
スイッチひとつでONからOFFへ簡単に移行できるステレオタイプ。
何ひとつ間違ったことは言わないで、明日からの未来に幻想を抱かせる巧妙な広告戦略。

何処かで見た事ある構図ですね。

じゃあどうして?こんなに世の中にダイエットサプリが溢れているんですかね?
直に結果が得られるなら、
もう既に皆さん新しいダイエットサプリは必要ないんじゃないの?
決定的にラクで効果的なモノがあれば、ソレだけでもう必要ないでしょ。

ダイエットサプリやアンチエイジングやお化粧道具に飛びつき群がって、明日は明るい未来だって思っちゃってるご夫人達を見て、私はこれは単に一時的に幻想を見たいだけなんだって思っちゃう。一時的な幻想を見たいだけならソレはそれで良し!
でも私は、アホか!って思っちゃう。

何処かで見た事ある構図ですね。

YouTubeなんか眺めてとか、
〇〇さんはこう言ったとか、
あそこのお店て強く勧められたとかで、
これを買えばオレも明日から一流よ!とか思っちゃう感じの幻想とどこが違うの?

一億総中流意識もイイけど、個性は隣の人と決定的に違うからね。

自分を磨く。ってのは、新しいサプリに飛びつくんじゃなく、
その服用に併せて、学ぶべき基本や面倒臭い整合性や日々の鍛錬があるからね。

新しい道具に飛びつくのもイイけど、今まで使ってた道具はどうなるんだろう?
その今までの道具だって、買う時にはサイコーって手に入れたんでないの?
でも思った結果が得られなかったから→次のモノへ飛びつくって、
ダイエットサプリと一緒やん。
そして180cmもタッパがあるような腰の高さ90cm位ある、肉喰ってる強靭な人がスルスル出来ることと、チンチクリンなチビの小デブがヤル事では決定的に違うでしょ。
そしてそもそもが安全を目指しているんじゃ無く、
効率や物珍しさだけで新製品に飛ぶつくのはダセ〜な。
機器は主に危険を取り除くことを目指して改良されている。
道具が幾ら危険を回避したものになっても、
使う人が危険を回避する意識が無かったら、どうなる?
皆意識高く危険回避を目指して新製品を手に入れるんだったら、
ちゃんと注意書き読んで、適正に使ってたら、
今頃事故は無くなってるよ。

ダイエットサプリに飛びつく人となぁんにも変わんない。

2020年8月29日土曜日

ロールクリップ

先日のプーリーの荷重の件で更に気になったのが、ロールクリップ。
ロールクリップP75は、カラビナとしてMBSが20kNだけど、
プーリーとしてWLLが2kNx2=4kN

ロールクリップはZもAも
トライアクトロックでは、
EN12278,EN12275,EN362を
取得している。

非常に楽チンに
プーリー効果を期待できるが、
PPEとしてはどうなんだろう?

手持ちのヒッチコードシステムで
ブリッジに構成してみたんで
ちょっと無理があるが、やっぱりヤだな。
ジグザグだと良いのかな?
リディレクト用では秀逸だけど、
自分のアンカーにするのは、、
やっぱNGだよね。
考えたら判る!

ディビエーションはキャプティブ使ってマイナーにならないような施策すればOKだ。
基本的に15°以内の偏差なら振られスイングも少ないから良いってことだろうな。

しかし、マニュアルにセコイアのブリッジに使っる使用例のイラストが描いてある。
が、文章には何も言及してないし、アンカーの規格採ってないし、最低でも12kNの強度を持つEN795の要件を満たすって言ってる割に、ロールクリップの最大使用荷重はWLL:2kNx2=4kNって、良いのかなぁ?

セコイヤのブリッジに使う場合は、
ブリッジ→ロープクリップZトライアクト+タンガ→ジグザグ
なんて構成だけど、回転させないようにタンガを使っても、ブリッジは一時的にすっかり荷重が抜けるタイミングがあるから、簡単にマイナーアクシスになりそうだ。
ジグザグに外さずにロープクリップAトライアクトでキャプティブ付けて、ブリッジ側で付け外しするなら良いけど、Zだもんな。
キャプティブで固めちゃったら、プーリーカラビナの意味ないし、ブリッジに使うなら現実的に無理があると思うけど、タンガでイイのか?
荷重するタイミングでいちいちチェックするのならタンガ要らないし、怖い。

マニュアルに書いていても、自分的には良いとは思わない。
好みの問題以外にも、これは良いのかな?

このマニュアルに出てるヤリ方で作業に使ってる人いるのかな?
マイナーアクシスになってヒヤッとした事無いのかな?
そりゃ〜一旦荷重したらあまい抜重しない登高/下降時なら良いけど、それならロープクリップの意味ないし、ブランチウォークとかの挙動だって理想的かな?
荷重の問題と、作業中の使用感の問題はどうなんだろう?
使っている人いたら是非話を聞いてみたい。

2020年8月26日水曜日

Devices Approval

Mechanical devices approval list
ISA TCCルール委員会が、現在承認されている大会のデバイスを明確にしました。
2020年8月10日現在で、変更される可能性がある。
これで色めき立つ人、居るんじゃないか。

*承認
●Petzl ID
●Petzl Rig
●Petzl Zigzag
●Taz l’ov2
●ISC D4
●ISC D5

*条件付き
●ロックエキゾチカアキンボ
  (承認ロープのみ)
●ロープレンチ
  (ヨーロッパでのCEバージョンのみ)


*レビュー待ち
●ロープランナープロ

*承認しない
●ロープランナー
●ユニセンダー
●ブルドックボーン

変更される可能性があります。
って言っても、承認しないって言ってるヤツは、承認される可能性は低いんだろうな。
まあ、運動会のためのルールなんで関係ないけど。

運動会はもうSRTだけなんだろうけど、もはや単純な下降器の承認のような気がする。
アーボリストがよく使う登ったり降りたりするヤツは、基本は下降器の承認受けてないから、当然ダメなんだろうけど、そんなんだったら、フルボディにすべきでしょ。
そして2系統にすべきでしょ!
事故が減ってるやり方を参考にしないでどうするの?

一般作業に使うようにしようゼって言ってるセーフティを蔑ろにして、速さを競うのはオカシイ。っていうか、お祭りだからね。皆で遊ぶイベントだからね。休み時間に半分冗談で見せヤッコする内輪ネタだからね。それに躍起になって1等賞を取ろうとしたり、世界大会に出場したって言う看板や肩書きだけを目指しても、事故は減らないし、それどころかそんなの手本にするヤカラが事故を招くんだろうな。
大会は、自然物を使っても同じルールの、遊びのシステムだからね。
ビュンビュンスルスルは手本にしちゃいけないんだよ。
日本は島国の田舎者だから、その辺りの機微はないんだろうな。
それに躍起になって1等賞を取ろうとするのは、ダサイよ。

F1が一般車のフラッグシップになるように、セーフティ面も一般作業と同様にしないで
1等賞を決めても、ダメだよ〜。ISAとかTCCとかもちゃんと考えた方が良いよ。
めっちゃ面倒臭くって、地味で、時間がかかって、セーフティな大会。
それじゃ面白くないから、速さを競うって言うテイで
トライ&エラーを見せ合う遊びだから。お祭だから。
みんな他の人のやり方を参考にして、話し合ったり、自分らの作業に活かすアイデアを見つけてアレンジしたりする、シンポジウムだからね。
こういうの知っちゃうと、アーボリストのSNSだからそんなモンだろうって思うけど、
ISAってどうなんだ?って疑問しか残らない。

それでもその大会で「承認」とか言っちゃうと、何も考えてない人は、この道具はダメっとかも持っちゃうかもしれない。ロクにマニュアルも読まず、賢明な使い方を知らず、メーカーで認められてない改変や、大会やYouTubehは、一流のヤリ方だなんて勘違いするヤツ多いからね。
他がメチャクチャなのに、CEだENだって、気にするヤツも多いしね。

大会の運営って、現場に則した感じにしちゃうと、時間がかかるし、地味だし、見ている方もつまんない。だからレギュレーションを決めるんだけど、その範囲の中で1等賞になっても、速く仕事ができる訳でもなく、より良い仕事になる訳でもない。ただセーフティだけが損なわれ、危険が増すだけだよ。残念!

https://www.itcc-isa.com/Portals/0/Docs/Mechanical-devices-approval-list.pdf

2020年8月25日火曜日

人の絵?

13.6.1 Anyone using any equipment must know how to do so appropriately and safely.
Climbers are responsible for deciding whether they have the requisite knowledge before they proceed. This knowledge could come from reading the user instructions or a climber might need to undertake training.
機器を使用する人は、適切かつセーフティに行う方法を知っている必要があります。クライマーは、機器を購入する前に必要な知識があるかどうかを決定する責任があります。この知識は、ユーザガイドを読んだり、クライマーがトレーニングを行う場合に必要です。


ENの表示義務の影響で、
最近のハードウェア機器は、最大荷重や、
救助者と要救助者の2人での使用に
対応といった表示が成されている。
具体的には何人用まで対応か?
って感じの「人の絵」が表示されている。

まあこの最大荷重◯kgまでってのが、
120・150・180・220kgだったり、
まちまちでどの基準に準拠するか?
で変わってくるし、
どうして良いか判らないって言う
ことはさておき、「人の絵」が描いてる
ものは判りやすくレスキューユースとか
パーソナルユースの判断がつきやすい。

まさに、いま、TAZにやられていて、この可能性を模索中ですが、
ユーザガイドの意図する部分が、今イチ理解不能だったり、色々使えてしまう機器は、どこまで使って良いか?が不明なグレーが多い。
アーボワークは、基本的に救助を想定して2人荷重をマストと考えると、これまで使用してきた機器でも疑わしい部分が多くなってしまう。

プーリーなんて、もうどうして良いか判らないゼ!
プーリーのそれぞれの側に載る荷重と、合計の耐荷重と、運用荷重。プーリーで倍力効果を使う場合は少なからず動荷重だし、それぞれの側に懸る荷重は均一ではないだろうし、一度テストをしてみたいな。

オムニブロックのように一方18kNで合計36kN、
ピントならMBS50kN、
これはもう大丈夫って考えられる。
しかし、Petzlなんかは、
レスキューP50A=MBSが36kNで、WLLで4kNx2=8kN
マインダーP60A=MBSが36kNで、WLLで4kNx2=8kN
ミニP59A=MBSが23kNで、WLLで2.5kNx2=5kN
フィックス P05W=MBSが23kNで、WLLで2.5kNx2=5kN
パートナーP52A=MBSが15kNで、WLLで2.5kNx2=5kN
モバイルP03A=MBSが15kNで、WLLで2.5kNx2=5kN
ロールクリップP75=MBSが20kNだけど、WLLで2kNx2=4kN

MBSとレスキューユースの関係って判らない?
金色と赤色の違い?や、ベアリング入りの差?って色々考えてたけど、
パートナーは金色でベアリング入りでオンサイトレスキューに使えるのに
マインダーは赤色でベアリング入りでレスキューに使えるって言う表記は無い。
上記のどこに線を引いたら良いか判らない。
一概に耐荷重(MBS)と最大荷重(WLL)の関係決まる訳でもない。
まあ、目的と安全率の関係が違うからなんだろうけど…

判らねぇな?

要救の荷重自体が、ENやNFPAでも違ってるし、この辺統一できてないのが問題かな?

MAFが6kNって事を考えて各々が使うしか無いのか?

2020年8月23日日曜日

ベアールのビロバ

結果から言って、あんなに苦労したビロバのアイだけど、結構巧く出来た。
外皮と内芯の割合がTachyonに近かったんで、そのデータと照らし合わせ、コアのカットポイントをズラした。
そしてビロバは外皮が2倍体で16ストなんで、シースカットも8本にした。

スプライフは、メーカーのオフィシャルスプライサーが行わないと販売できない。
というか販売目的じゃ無いとオフィシャルスプライサーに成れない。
だけど使用限界を了承して、個人的使用なら問題ない。


Beal BILOBA 11.5mm

EN1891 typeA
破壊荷重3000daN(kg)
伸び 50→150kg: 3.8%
シース割合44%
(ポリエステル)2倍体で16st
コア割合56%
(ポリアミド)16st

ビロバは、コアがポリアミド、詳しくは表記も無いが脂肪族骨格を持つパラ系アラミド?だと思う。まあナイロンと殆ど一緒だけど、ナイロンより耐熱性・耐摩耗性・非親水性に優れ、優秀じゃないか?

このコアの編み方がまた独特で、あまり他では見たことない。S撚りは通常の感じだが、Z撚りがSを相殺するシンメトリーではなくて、直線的に撚り編まれていて、断面は少し四角っぽく見える。この編み方は断面にすき間が少なく、強く撚らなくても中心が空き難い感じ。その性もありコアだけで触ってみると随分ゴツゴツした肌触り。
これがメカニカルデバイスに最適っていう理由か?

外皮は2倍体なので、1つのセクションが四角っぽく見える。昔はこのタイプを殆ど見なかったが、最近は2倍体や4倍体の1セクションが四角っぽくなるヤツが多くなってきた。 いずれにしても、コイツのテーパーの読みを失敗すると、編みが崩れてパラパラになる。
今回も引き抜くセクションを予想してやったが、巧くいかずパラパラになった。
このテーパーのデータは、まだまだ考察の余地がある。
まあその辺は経験則って言うか、あまり引っ張ったり緩めたりせず、慎重にまとめながら扱ったから問題なし。尤も所詮テーパーだから。

でもこの外皮はポリエステルだけど、なんていうか、それほど撚っていないにも関わらず、1つ1つのストランドもファイバーがまとまっていて、編みが崩れてもボソボソに絡んだりせず非常にやりやすい。

このロープを貰ったとき、勇んでアイスプライスをやってみたが、3回ほど失敗して6mほど短くなって、それで結局スプライスなしで使っていた。
作業ではアイが無いとターミネーションを結ぶことになり、目の前にゴツい結び目が来るのがどうしても許せず、あまり使っていなかった。
貰ったのが2019/2だからそれから2年ほど経過し、クライミングというよりはテンションラインやディビエーションラインでそれなりに使っているが、使用感も残らず、汚れは目立つがイイ感じ。

クライミングより合力で荷重が載りやすいハードユースの使用後のヤツだから、どうかな?って思ったけど、スプライフなら上手くいくかな?っと思って、再度挑戦した。

通常は一度でも使用したロープは、パーマネントエロンゲーションが発生するから、それに使う前に暫く水に着けてトリートメント落としてるから。更にテンションラインでハードユースしてるから、アイスプライスなんて巧くいくはずが無い。
これはもう断言できる。
全くその当りを考えず、一度もアイスプライス加工をやった事の無い人に限って、使い古したコタコタなロープで、失敗しても良いようにってアイスプライスしようとするよね。
出来ね〜って!
新品でも難しいって言ってるのに、トリートメントが残ってなくて、パーマネントエロンゲーションが掛かってしまったロープは、100%無理だって!

それでもこのビロバで前回の失敗を反映しながら、既存のデータを幾度か変えながら、長さとクロスオーバーの数値を鑑みて、やってみました。

なかなかキシキシして面白い。

入込む時は編みが粗いので
カクッカクッて入って行く。

アイのサイズ的にも
イイ感じじゃな〜い。

スプライフは、AYORだからね。
そしてオフィシャルスプライサーが加工したものでも強度が落ちるからね。
自分で作ったモノなら7.5kN以上は有るかな?
レスキューユースとかは、やっぱりダメだろうな?
でもMFA6kNはクリアしてるだろうから大丈夫って言う理屈を知っててやってるからね。
使用する度に、幾つかのチェックポイントを毎回検査するからね。
そこにリスクが存在して、ソレを制御下に置くから使えるのだよ。

これからビロバはヘビーユースだな!

2020年8月22日土曜日

個人に合わせる

adapt work to the individual(s) concerned, especially regarding the choice of work equipment, personal protective equipment (PPE) and work methods
作業機器、PPEおよび作業方法の選択に関して、個人に作業を適合させる


講習では、いろんなタイプのハーネスを
用意してる。全部履き心地が違うんで
いろんなハーネスを履いてみてください。
って言う。
ハーネスって最も基本のPPEだけど、
履き比べてみると判るけど、
ヒトの身体は千差万別なんで、
カラダにフィットする感じも、
ぶら下がったとき、何処に何が有るか?
どう使い勝手が良いか?って凄ぇ重要。

みんな使ってるからって理由で
無理矢理自分の身体を合わせるのは
ナンセンスだねぇ。
昔、レクリエーションのSRT講習受けたとき、そこの団体はアッセンダーはCMIのじゃ無いとダメっ!って組織だった。
CMIがどうのってことじゃないけど、私に充てがわれた機器は、ハンドルの所のバリが酷く鋭利に尖っていて、押し上げるたびにそこに手の甲が当り、とても痛かった。
痛いだけならまだしも、そのうちグローブが破け、皮膚が切れて、血が出た。
そして手を上げてるから、ダラダラと血が垂れて、肘まで伝って垂れて、自分の血でヌルヌルで掴み難く、グローブもロープもウェアも血だらけになった。

まだ何にも知らないし、そういうモノか?って思ったけど、自分だけ血だらけで、他のヒトは大丈夫だと、オレの使い方が悪いんだなって思ってしまった。
翌日機器を変えてもらったら、バリに手が当たらず、もう痛くなくって血もでない。
そんなプロダクトを生産している企業ってどうよ?

そのうち自分で機器を手に入れるようになった時には、師匠に相談し「CMIじゃなきゃダメ?」って聞いたら『そんなワケないだろ』って言われて、師匠のアセンダーを色々試させてもらった。
手が切れちゃうのは問題外だけど、デバイスひとつでも自分に合ったモノが有ると思う。その違いひとつで作業が容易になったり、リスクを避けられる時だってある。
変に窮屈だったり、痛かったり、遠かったり、掴み難かったりでは、効率良く無理しない作業はできないと思う。

講習ではそういうコトも含めてのOJTなので、
出来るだけいろんなパターンやタイプを試してもらいたい。
だいたいどうして?この道具以外認め無い!的な講習が有る方がオカシイ。
多分メーカーと繋がってて、チャリンチャリンシステムが存在してるんだろう。
って思ってたけど、後で知ったんだけど、エグいリベートをかすめてたらしい。
逆にメーカーと繋がりが持てないギアは、認めないって方針だったようだ。

私が始めてワークハーネスを買おうと思った時は、今はもう絶滅危惧樹のマルチアンカーとか、バットウイングとか、シットハーネスなんでほんの数種しかなかった。
今では考えられない程いろんなメーカーが次々に新しいハーネスを作って販売してるね。機能も特性も、それぞれ特徴を持ってるから選び放題。
講習で全部試してみるってことは出来ないけど、指向性の違うタイプを幾つか用意しているから、皆に履き比べてもらっている。
ハーネスに限らず、直ぐに新製品に飛びつくんじゃなく、色々試してから、自分のスタイルや作業方法の合わせた道具を手に入れた方がいいゼ!って言ってる。
いちいち道具は高いし、ババ引くのも何だから、買う前に試してみてよ!って、そのために初心者向けの講習をやってるんだから。

ハーネスや道具を持参する人も居るが、中にはとてもアンバイ悪そうにしてる人も居る。雇用主がコレ持ってけ!って渡されたんで、仕方なく使ってる人や、頑に俺はコレで良いんだ!って人も居る。「どうぞ履き比べて」って言って素直に色々試してみる人は、必ずコッチの方がイイってのが有る。
比較でしか無いけど、それだけ違いが有るんだよ。PPEに無理ヤリ身体を合わせるのは、長時間ソレを身につけるんだから、結果良い仕事ができないってことだよ。

それから一部のハーネスは、ワンサイズオンリーだったりして、ソレもデカい外人向けに作ってるヤツだったりすると、EN358の側面アタッチメントポイントが、お腹の方まで前に来て、ウエストも緩く、そうするとブリッジが長くなっちゃうんで、システムもより高い位置になって、手をグッと延ばさないと操作できないみたいな人、居るよね〜。

女性のハーレー乗りとかで、FLHとかをアップロングハンドルにして、ハンドルにぶら下がってるような、バンザイしてるような、FBIに連れられる宇宙人的な人を見るけど、ハーレーに乗ってるって言うより、載せられてるって感じで、アレ、カッコいいんか?
そんな感じで、ロープにぶら下がってる人居るよね〜。

PPEは、個人に作業を適合させる。ことがとても重要よ。

変に改造しちゃったり、要件を満たさない改変はダメだけどね。

2020年8月20日木曜日

アンカーの適正の違い?

前記のポジショニングアンカーの追加で、
●Personal fall protection anchor
●Positioning anchors
may fulfil the same criteria as fall protection anchors but do not necessarily have to (i.e. they may not be fully load bearing).
ポジショニングアンカーは、フォールプロテクションアンカーと同じ基準を満たしますが、必ずしもそうである必要はありません(完全に耐荷重性があるとは限りません)
これもそう言う事だ。


ポジショニング三角を作るために
メインは耐荷重アンカーで
ポジションアンカーは耐荷重が必要ない。
一時的に身体を支えたり、
作業姿勢の安定のために作るアンカーは、
そこにぶら下がる事を考えなくても、
小指ほどの枝だってイイんだよ。

小指ほどのポジショニングアンカーでも、
ポジショニング三角は作れるよ。
逆にその枝のシナリを利用して、
効率良くノコを動かせたりするよ。

シナリを利用した、
シナジー効果なんっつって。


ここでは掛かる荷重の事だが、荷重はメインでしっかり受け持っていて、仮に合力で重力方向から5°偏差したら、偏差エネルギーは1%に満たなくてもポジショニング三角は作れるんで安定するよ。

ちなみに15°くらい偏差しても2%程だよ。体重と機器合わせて100kgとしても、メインアンカーにかかる負荷の上昇は2kg程度だよ。高々2kgの負荷でも三角の面積は何乗にもなるから、かなり安定するんだよ。
荷重が載らないそのくらいの偏差をポジショニング三角で作ることによって、
もう目一杯安定するよ。

そして複数支点を取る事で荷重の分散も出来るよ。
細く頼りない枝でも身体を安定させる事はできる。
ハシゴでグラグラしながら、ストロークも取れない状況で作業する事はないよ。

先日、陽当たりが悪くなったということで
庭木の細っそいヤツに登る必要があった。
まあ幹が太ももくらいで、
登る枝は手首かそれ以下。
クライミングシステム+小さいデバイスの
ランヤード2系統とチョークスリング。
一つとして耐荷重アンカーは無いけど
形の整ったケヤキだったんで、
4方向に荷重を分散させた。

今時分は水を勢いよく上げてるようで
手首くらいのヤツも、セオリー通り
受け/追いで伐らないと、
形成層から樹皮が剥けてしまう。
面倒臭くてもポジションを安定させ
繊細なノコ入れで丁寧に作業する。
こんな時もポジション三角よ!
ポジショニングアンカーってイメージじゃなくても、ワークポジションングランヤード以外に、長さ違いのオープンスリングを何本か持っていれば、ソレだけで円運動の複合のポジショニング三角が作ることが出来る。
オープンスリングは殆ど22kN以上あるから、ガースで決めても11kNだよ。15˚の偏差で 2%程の荷重しか載らないなら十分ですね。枝の方が心配だな。

何かランヤードを架ける時、イメージとして耐荷重アンカーじゃなきゃならん!しかも切削保護とか言ってワイヤーランヤード使ってる人も居るけど、訳判らん。

ワイヤーランヤードはモノ凄く太い大径木で振り回すのが大変な時とか、最悪のシナリオのスパークライミングなんかの時は役に立つけど、普段は邪魔だよ。重いし。
危険回避のワイヤーランヤード使って、使い難いから使わないで、おかしなポジションで作業する方がよっぽど危険だよ。
ポジショニングアンカーは、一時的で少しの偏差なら耐荷重じゃなくても良いし、作業安定性や作業効率を考えて、意識すべきはポジショニング三角だと思うよ。

2020年8月19日水曜日

ポジショニング三角

9.4.1 Using two high anchors set a reasonable distance apart can offer improved positioning by triangulation from both anchors, helping climber stability and reducing possible lateral stress on each anchor.
2つの高いアンカーを適度な距離を置いて使用すると、両方のアンカーで構成される三角のポジションが改善され、クライマーの安定性が向上し、各アンカーに発生する可能性のある横方向のストレスが軽減されます。


私は以前から「ポジショニング三角」って
言葉を使っていて、
リギングトライアングルはもちろんだけど、
それとは別にポジションの時に
三角を大きく使えば作業姿勢は安定する。
例えば独立2系統のダブルクロッチでは、
2つのアンカーポイントと
ターミネーションの3点の面積が
大きくなればなるほど安定する。
ブランチウォークなら、 アンカーとターミネーションと 当てている足で作る三角。
そして足は2本あるから、交互に面積を
調整して足を交差させながら動くと、
安定するしキマるぜって言っていた。

積極的に「ポジショニング三角」という
用語を使っていた。


triangulate positionいわゆるポジショニング三角で、
それが、TG-1では文書化されて出ていた。
何か嬉すぃ!

2系統がマストになる前から、2系統の方が安定するから作業に向いてると思っていたし、身体が安定したら両手を使えるんで、無理な姿勢で作業する事も無いし、片手しか動かない状況でノコは上手く扱えないんで疲れるし危ない。

片足をハシゴに、片足を木の股に、そして片手で近くの枝を掴んで、残りのもう一方の片手でギコギコ鋸を引く。もしくはそういう状況でトップハンドルを片手で扱うのは、効率的にも疲労的にも危険的にも、ダメでしょ。逆に言うと
なんで?みんな無理して難しく疲れて危険な作業を好むのか判らなかった。

良く考えてみてください。その枝を掴んでる片手の意味は?
片手で掴んでいるだけで安定するの?
足が滑ったら片手で身体を支えられるの?
ノコ引くのだってストローク取れないから効率悪いよね?
その時エンジンがかかってたらどうなるの?
そうならないための、2系統やワークポジショニングランラードなんで、そこで無理して難しい作業姿勢で効率悪く危険なタスクは、意味ないよね。

そんなポジショニング三角を採るのが面倒くさいのかもしれないけど、そんなの当たり前に簡単だよ。そのために「力・重力・方向」を理解するのサ。

「ポジショニング三角」大事だよ。

2020年8月16日日曜日

シェアードアンカー

use an anchor which is independent of the primary system anchor or, if there is not one that is suitable, be installed over a shared anchor
プライマリシステムアンカーから独立したアンカーを使用するか、適切なアンカーがない場合は、共有アンカーの上に構築する

この共有アンカーってのは、ツリーケアでは馴染みが無いと思う。


産業用ロープアケセスでは、
シェアードアンカーは
半ば常識になってるんだけど、
一方のシステムがが崩壊しても、
アンカーを共有することで、
もう一方が効いてくれる。
幾ら2系統にしても、
一方のアンカーが崩壊した場合、
とたんに1系統になってしまう。
だからアンカーも共有した方が
イイんでないかい?ってヤツ。
同じように、ターミネーションも
1カ所ならダメだよね。
アタッチメントポイントも
分ける必要がある。

プライマリ&バックアップシステムで、何とかシェアードアンカーに出来ないかと、今検討してるんだけど、

意外に簡単だった。

通常のプルスルーでセットして、プライマリ&バックアップシステムでSRTで登って、サーシャリーで自確取って、MRTに変更するとき、予め鉄ビナ側とマイロン側それぞれに、鉄ビナをかけておく。
後は通常のMRTセットで作業を行い、そのまま降りる。

2本のアンカーデバイスの、鉄ビナ側とマイロン側が相互にシェアする形状。
これなら片側のアンカーデバイスがぶっ壊れても、もう一方に荷重が移る。

この場合、スチールアンカーだと、いろいろ都合が悪く、スリングになった。
ダイニーマとか細くてイイと思ったが、どうも屋外の紫外線ばりばりの樹上では、
感じが悪いし、逆に細いと狭いアンカーでは、カラビナがテコになりやすく、
結局ロックエンパイアのオープンスリングランヤード。
コイツは厚みもあり、マイロンや鉄ビナにも負けない固さがある。
それに35kNという強度で、2人荷重のレスキューにも心配ない。

オープンスリングなんで、バラけて小枝や出っ張りに引っ掛かったり、
片効きになってしまわないように、例の保護カバーで覆って
もうこれ専用って感じにした。入れる時難儀するけどね。
この保護カバー、やっぱりスグレモノ。大したモンだ。



降りてきて、やっぱりゴチャゴチャで
判り難く、
ちょっと地上に再構築。

アンカースリングの鉄ビナ側をリンク
アンカースリングのマイロン側をリンク
それぞれのコネクタ側をそれぞれリンク
することで、シェアードアンカーにした。

これなら、回収も地上で出来るし、
何なら1本先に抜いて
残りの1本だけでバルコーンで
回収できる。

これが良いかな?

2020年8月12日水曜日

可能性は無限

先日来、新しい作業様式を模索しているが、どうもプルスルーのバタフライノットが、ヒッチコードのシステムに干渉しやすく、いかがなものか?って、スチールアンカーもリングセーバーにするとどうなるだろう?とか、
そしてワーキングラインはMRSで、バックアップラインがSRSでってことになると、ロープのセンターでバタフライノットのは都合が悪い。
まあ。両方MRSでバックアップ付けても問題ないんだけど、ターミネーションで弛みやすく、弛んでたら落下距離も延びるし、その場合にはアブソーバの抑止距離も伸びちゃうし、 それに高さの4倍のロープ長や(取り扱いが鬱陶しい)ターミネーションのマイナーアクシス問題も残ったまま。
なんだかなぁっていろいろ模索している。

そして最近は、プルスルーを独立した2本のロープでカマセないかと、色々やって、まあこれがイイかなって感じまでなってきた。

リングセーバーを使ってプルスルー

リングセーバーのリングに両方のロープを
通しちゃったら、、、
マイロンを使わず小さいリングに直接
通すのも、あまり良くない。
大きいリングに
ターミネーションを通すのも
これまた都合が悪い。
上に行ってから、SRS>MRSの
チェンジが巧くいかない。面倒臭い。

見通しの良い真っ直ぐの枝なら
問題が起こらないが、
狭い股ならもうトラブル続出。

結局リングセーバーに、
鉄ビナとマイロンを付けるって
何か無駄だな。

もういっそのこと、リングセーバーじゃなく、高強度のオープンスリングや、片側ソウンアイのスリングの方が、よっぽど良いかも?
今後の課題だ。
プルスルーのセンターは、両方のロープのターミネーションをカラビナで繫いで、OKだった。高さがあってコントロールラインが届かず、フライで対応。


そして登ってから、例のごとく
3rdアンカーに荷重を移し
MRSにチェンジ。
これはもう巧くできるようになった。

荷重のやりくりが慣れないと
複雑に感じるかもしれないけど、
懸架状態でも、問題なくできる。

バックアップがフォールアレスターなら
作業中はロックしておいた方が良い。
気がつくとズルズル下がってしまう。

そして、今回のテーマは、こうしてチェンジしたシステムで、何かしらやった後、樹上でアンカーを上げたい時どうするかだ。
ベネットフィットとかで、3rdアンカーが取れれば一番だけど、敢えて今回はこの位置でスローラインを投げて、地上でやった動作を、ぶら下がったまんまでできるかどうか?


結果から言うと、できた。かな?
ただし荷重を移動する際に
身体の向きや重力方向のズレで、
回転する。

そしたらもうターミネーションが
どっちからどこに向いて力がかかってるか
判らなくなる。
いわゆるハウスキーピングが重要になる。

アクセスやってる時もこの身体の向きで
システムがねじれることがよくあるが
ダブルブリッジなんで、ヘンなテコが
生じやすく、荷重移動しようにも
そっちに載ってくれないことがしばしば。

考えて順序や手法を組み立てないと
二度手間三度手間が増えて、疲れるゼ。
荷重移動の難しさを承知して、何度も繰り返しミスって、組み立てないと、無理な体勢になってシステムがコンフリクト起すと、もう動けなくなっちゃうことがありそう。如何に整理してハウスキープするかがポイントになる。
ってか知らないで無理矢理にやると、レスキューになってしまう。
最初はさらに高いとこに、ラインを1本かけておく方が良い。
自分のターミネーションがグチャグチャになって、そっちに荷重を移せるようなシステムを用意しつつプラクティスした方が良い。
私もその危険性が承知できたので、予めスローラインだけ1本かけてそれで助かった。


確かに面倒臭いコトになるけど、
一応、アンカーの掛け替えも、移動も、
絶えず2系統3系統でできたので、
オペレーション全体が2系統で統一され
万が一の落下転倒墜落が起きても
大丈夫な状態で、完遂で来ましたよ。

この日は
私が何をやってるか判ってくれている
頼りになる友だちがいたから
安心していろんなコトができた。

対象の木も、ワイルドツリーで、
初めて登るクロポプラだから
どんなことが起こるか判らない。
予測できないパラメータを予想しながら
敢えて難しい木で、できたから、
もう大丈夫。

背丈ほどある笹で覆われ
刈り払いから始めて、地上は蒸し暑く、
面倒くさく、しんどかった。

でも樹上は川のそばってこともあって
気持ちイイ風が吹いていました。
今のところ考えられるファクターは、ひとつづつ潰していってるので、だんだん完成に近づいてる感じ。そう甘くないだろうけど、一歩一歩だね。
次は、どんなヤバいシナリオを作ろっかな!

ライフスパン/耐用年数

寿命/ライフスパン[lifespan]製造業者によって指定された許容範囲内で機器のアイテムをセーフティに使用できる期間。

耐用年数[life expectancy]一般的にロープは、良好な保存状態の新品でも5年で劣化が始まるって言われてる。


最近は末端だけでなくロープのコアに
製造年のテープが入ってるから
ごまかして使ってても、直ぐバレるよ。

もちろん使用したら、
それはそれは、どんどん劣化するよ。
そしてほとんどの場合、
落下係数 [ 1.2 ] を超える
衝撃が加わった時点で、破棄ですからね。
幾ら新品でも破棄だからね。

みんな大好きトッピングカットで、
グランドワーカーがポータラップで、
適切に落下エネルギーを相殺する
タスク操作しないで、
ガツンっと止めてしまったら、
もう破棄基準だからね。
落下係数 [ 2 ] だからね。

そして作業に使った部分だけ、切って、残りを使うのもダメだからね。

一度か荷重がかかったロープは、
その全体に渡って衝撃が蓄積して、ファイバー自体が傷んでるからね。

落下係数2で衝撃を加えたロープの
作業に使ってない部分で、ある信用機関がテストしたら、
使った部分とほぼ同様の強度低下を起しているっていう実験結果が出てるからね。
使った部分でも、使ってない部分でも、
1本マルッと全部破棄だからね。

ログデータも点けてないロープを、借りて使うのは、危険だからね。
ロープの貸し借りは、信頼できる人たちだけやった方が良いよ。

以前にロープをセールで売ってる所があって、相談されたんだけど、
まぁ安いからイイと思うけど、
一応製造年月は確かめてからにした方がイイよって助言したら、
やっぱりプロダクトが3年前だった。
今はロープの中見たら、何年生か直ぐ判るからね。
安く売られてるロープは何かあるからね。
賞味期限切れそうなヤツを安く叩き売ってるお店あるからね。

有名でも、いい加減な販売店は、日頃の感謝で〇〇セールみたいな売り方で、
3年前のロープを売ってたからね。それは感謝じゃなく在庫処分っていうんだよ。
感謝しながら、新古を売りつけるって、どういうこと?
揉み手して、いらっしゃいと言いつつも、後向いたら舌出してるっていう商売。
有名な所だし、そうやって騙された人いっぱい居るんだろうな。
戴けないね。
そういう事情を、ちゃんとした販売店の人に聞いてみたら、
「通常考えられない」って言ってたよ。

使用頻度も高いんで、もう毎年のようにロープを買い替える所もあれば、
知る限り、10年以上ずぅっっと使ってる会社もある。
まあ、事故に繋がってないならイイかも知れないけど、
そんな何時ぶっ壊れるかもしれない爆弾抱えて仕事はしたくないね。
安物買いの銭失いにはなりたくないね。

自分の仕事の量って、伝票見りゃ判るし、
そろそろ破棄基準だなって思ったら、
未練がましく「明日にしよう」とか思わず、
間髪入れすその場で、ナイフで切った方が良いよ。

残しておくと、喉元過ぎて、熱さ忘れて、また使っちゃうから。
最悪なのは、新品同様の見た目でもそういうヤバいPPEを
売ろうとする輩ね。
アマゾンとかメルカリとか、中古は絶対にダメよ。
敢えてそこを隠して騙して売りつけるとこともあるからね。

以前に、ロープがペチョって潰れてへっ込んでいて、
明らかにコアが何本か破断してるな!って感じのロープを持ってる人が居て、
「コレもうダメだから捨てた方が良いよ」って言ったら
「買ったばっかりなのにな、おかしいな?」って言っていた。
買ったばっかりだったら、ソレはもう過荷重かけ過ぎて断線したと思うんだけど
次回会ったとき、そのロープをまだ使っていて、
問題の箇所に、ここは使うな!的にビニールテープが巻かれていて、
ゾッとしました。
そういうヤツに限ってロープ借りたら1本2,500円とか損料取ろうとするからね。

そしてライフスパンや耐用年数は、指針であっても、数字じゃないですから!
耐用年数以内でもダメなものはダメですから。

もう一生この人から道具を借りるのはヤメようと、心に誓ったのでした。

2020年8月11日火曜日

アキンボでトラブル

先日新しいTG-1にはどうも疑わしい点が多くて、仲間内でレスキューの検証をやってた時、SRTでデバイスを使って登ってる人を救助するプラクティス中にトラブルが起きた。
SRTでアキンボを使う時、チェストアタッチを使って本体を引き上げなければならないのは判っていたんだけど、

面倒臭いんでビクティム役が
一時的にハンドアセンダーで登って、
アキンボ末端を引き上げて登った時、
予想不可の事態が起きた。

登る時に一番小さくなった瞬間、
その時はアセンダーの荷重してるんで
アキンボが抜重フリー状態を、
勢い良く引き上げたら、
アッパーとロワーのコントロールを繫ぐ
グレーのジョイント部分が、
アセンダーのカラビナ部分に
スポッとハマった。

気ずかずにアキンボに荷重すると
上下のボーラードが開いて
カラビナにロックした状態。
しかもちゃんとロックするだけ開いていないからズルズル落ちる。そうすると更にアセッションに荷重かかかり、アキンボは降りようとするんでガチガチに噛んじゃった。
アレっ外れね〜な、ってガチャガチャやっているうちにドンドン食い込む。

一旦荷重を抜こうとアセッションに立ち上がりアキンボの荷重を抜こうとしても、噛んだカラビナとアキンボは外せなかった。
噛んだ状態で、カラビナとアキンボ両方に荷重が載り、もうニッチもサッチもいかない。
両方の荷重を一旦抜かないと解除も出来ない。

まあレスキュープラクティス中だったんで、直ぐさま別系統を登ってスナッチ救助して事無きを得たし、ハンドアセンダーは使っちゃいけないの判っていたが、好事魔多し、簡単に考えるとトラブルの神様は直ぐに近寄ってくる。

もちろんマニュアルにも書いてある通り、ハンドアセンダーを使っちゃいけない事は判っていたが、それはアセンダーとアッパーコントロールがぶつかり荷重が抜けた状態になることのリスクだと思っていた。
まさかこんなに上手くスポッとハマるとは思ってもってもみなかった。

やってみなくちゃ判らない。

これはダメな例だから注意してね。
ダメな失敗を隠してしまう人多い(誰にカッコつけてるんだろうか?)けど、でもこういうトラブルや失敗を紹介する事に意義があると思う。
世の中にはダメな情報は一杯あるから、簡単に信じちゃいけない。
判っていて、マニュアルのやっちゃイケナイことを検証するのは大切だね。
そのダメな理由が明確になる。

イイカッコしいか?ただの道具自慢か?イヤラシイ見せびらかしか?素晴らしい動画は沢山あるが、こういうダメな例ほど皆で共有するべきだと思うよ。

その後も何度か繰り返したが、トラブル大好物な私がそのトラブルを再現しょうと何度やっても、その状態にできなかった。
でもそのスポハマり状態が起きた人は、何度繰り返しても同じトラブル現象が起きる。
そればかりか、ハンドアセンダーの握りの部分にも、アキンボはハマる。
失敗する事を前提に、トラブってみるのは最高に楽しい。良い検証になる。

デバイスは同じでも、なんか登り方のクセなのか?個人によって起きるトラブルの種類は全部異なるんだなぁ。 だから一様に
誰かが危ないって言ったコトも、ある人には大丈夫で、
誰かが大丈夫って言ったコトも、ある人にとってはとてつもなく危ない状態が起きる。

もしこういう現状が起きた人は、機器の問題じゃなく、まず自分の登り方を疑った方が良いよ。勝手に機器を改変するのは、アホだよ。

判らないもんだなぁ。
レスキューおもしれ〜な!

2020年8月3日月曜日

アンカーとアンカレッジ

[Anchorage]アンカーを構築する、躯体や構造の基礎。樹木では、枝や股がアンカーポイントになる。例えば、枝の場合、その枝のモーメントアームが伸びる根元であり、その木が自立する根や根張りがアンカレジになる。
[anchor device]アンカーまたはアンカーポイントへの接続を可能にする構成要素または構成要素のアセンブリ。
[Temporary anchor]取り外し可能な仮設のアンカー。樹上作業で、多くはフリクションマネジメントの機器を取付けたアンカー。
[Artificial anchors]高所樹上作業では、主に地上に構築するボトムアンカーのこと。任意の点にアンカーを構築する場合、車両(ビークルアンカー)や、器機(AHDなど)で構築するするアンカー。

信頼できるアンカー[reliable anchor]樹木の場合は、地面に接する根張りの位置。
信頼性の高いアンカー。loadbearing anchorとか耐荷重アンカーなんて言い方。
俗に言うボムプルーフアンカー。爆弾落としたこと無いけど。

例えば、スローラインを投げて、枝に掛かって、フリクションマネジメントで、リングセーバーでロープを設置したとする。



そのリングセーバーは、
アンカーデバイス。テンポラリーアンカー。

そして、大小のリングが、
アンカーポイント。

リングセーバーが架かってる枝の、
上の頂点が、フォルスクロッチアンカー。

枝が幹に付いてる枝分かれした部分が、
アンカレジ。

でもその枝は、幹が立ってる地面に
支えられてるんで、
システム全体のアンカレジは、
根張りの部分、ってことになる。

そんなに厳密に、解釈することは無いかもしれないが、
英文を見てると、そのアンカーやアンカレジがよく出てくる。
アンカレジって言ったら、アメリカのアラスカ州の州都って認識だったけど、
よく出てくる文の、ソノ違いは一体なんだろう?って気になって仕方がないので、
色々調べてると、
どうやら、一番根源で支えている部分ってことらしい。

産業用ロープアクセスの世界で、アンカーは18kNで(場合によっては15kNとか、12kNとかいろいろ出てくるんだけど、
アンカレジは、ソレを支える強度か無くてはいけない。
いわゆる、アイボルトが、何処に刺さっているかで、そのボルトは躯体に接続されているか?とか、コンクリートにケミカルで固定されているか?とか、
ソレはそれはシツコク出てくる。
どうやら、昔に建てた建物は、そんな基準が無かったから、テキトーにアンカーボルトを打ってたんだろうけど、そういう建物に確保する場合は、18kNの根拠があるものはOKだけど、無いものはシェアードアンカーにする必要がある。
躯体やケミカルアンカーは、固定式のアンカーで、ワシらが使ってる移動可能なモバイルアンカーはEN795-Bで、テンポラリーアンカーになる。
いわゆるEN795の迷宮

正しくは判らないけど、調べるといろんなコトに気がつく。
そういうのが面白いんだけどね。

プルスルーでロープをセットして、SRTで登ってシステムチェンンジする時、3rdに荷重を移した後、出来れば共通のアンカレジでも、アンカーは別にした方がイイね。
プルスルーによるアンカーセットでは、それが可能だ!
システムや登るデバイス好きな人と多いけど、何より大切なんはアンカーよ。

2系統っていうのは、幾らアンカーデバイスやターミネーションやシステムを2系統にしても、アンカーが2系統じゃないといけない。だから共通アンカレジでも、アンカー自体を2系統にした方が良いと思う。


産業用ロープアクセスの人は、アンカーデバイスを2系統に分けるし、その2系統は可能な限り別のアンカレジを使う。同じ所に架けても意味ないからね。
樹木でロープアクセスとかやっている人たちが居て、同じ股にアンカーデバイス2本架けてることが良く見かける。
コレはアンカーデバイスが2系統でも、アンカーポイントが一緒なのでアンカレジは1系統。これに凄く違和感を感じるんだなぁ。
木に登ってない人が、ロープアクセスってものだけをやろうとするからかも知れないが、プルスルーで股まで登るんなら、そこで2系統に分けられるでしょ!って思う。
股は2つに分かれてるんだから、1つずつに分けてアンカーデバイスを架けた方がシックリすると思うね。目的も構成も考えず、そういう様式や手段だけを繰り返しトレーニングする人って、、残念。

2020年8月2日日曜日

カラビナのアンカー

先日、アンカーの設置のためにカラビナでアンカーを設置するって話があり、
最初は意味が判らなかったのですが、色々調べてみると、そういうのがwebにあるある
私は決定的に理解できませんが、そういうのでイイって言う人が、いるいる!

スローラインを架けて、
それにカラビナ結着したロープをガツンと
止めるだけのヤツ。
確かに設置は簡単でトラブルも無いけど、
これで良いって思う輩が信じられない。
確かに出来りゃ何でもイイかも知れないが
こういうヤツはドンドン命を張った仕事を
やれば良い。とやかく言う必要もない。

ただ自分や自分の仲間がやってたら
何の目的でそうしてるのか?
どうしてそういう状態なのか?
根拠はどこにあるのか?
もう色々聞きたいことがある。

幸い自分の仲間にはそういう暴挙を
行うヤツは居ないんで確かめようが無いけど。
ツリーワークに使用するキャノピー(トップ)アンカーは、フリクションマネジメントが当たり前と考えていたので、目からウロコでした。
そして、SRTで登ってプライマリ/セカンダリ確保して、フリクションマネジメントして、チョチョチョイっとMRTに変えられる。
だからSRTが流行るのか?キャプテンフックが流行るのか?
コイツをキャプテンフックでやってるヤツ、居そうだな?

そういう人は合成繊維ロープやハーネスやチェンソーなんか使わないで、
荒縄と斧で仕事をして欲しい。
出来るんなら何でも良いと考えるなら、荒縄や斧でやってるのと変わらない発想だろ。
合成繊維ロープやハーネスやチェンソーの使い方くらい知っていて欲しい。
そんくらいの器材要因は製品マニュアルやユーザガイドにも出てるよ。
そんな事スッ飛ばしで、しかも人的要因も経験則しか無いヤツに、
合成繊維ロープやハーネスやチェンソーなんて使って欲しくないね。
コッチが危ない仕事をしてるって思われるんで、根本的に考え方が違うんで、
そういうのは全く別な「特殊伐採」だからね。
本当に「特殊」だな。

どういう訳か木に登って仕事をしてるってだけで、一緒にされるのは腹立たしい。
そんな人たちは、同業じゃないから。
ハッピ着て地下足袋で水被ってはしごに上る火消しと、
消防士は違うくらいのことは判るよね。
文化的や歴史的背景は一緒だったとしても、ソレが現実的じゃないことくらい知ってよ。
そのプロセスや考え方が違うんだよ。

一般的にはそれで良いかもしれないが、その道でカネを稼いでるなら
マニュアルやガイドくらい読んで理屈は判って欲しい。

耐荷重アンカーなのか?
チョークってどうよ?
カラビナのテコってどうよ?
動荷重って何よ?
最低でもそのくらいの意識は持って欲しい。

そして大きく違うのが、その用途だよ。


この写真も突っ込み所満載だけど、
例えば、チェンジオーバーの時など
一時的なアンカーで確保する場合には
こういうアンカーを使うこともある。

絶対に振動含めて動荷重にならない。
一度荷重したら、解除まで外さない。
荷重/抜重を繰り返さない。
そういう状況では使う場合もあるよ。

どこかのウエブで見て、
これでイイんだとか、
誰々さんがやってたとか、
そんなのは、勝手にやって欲しい。
ただ基本を理解した上で
状況に合わせてだからね。
確かに自分の根拠を自分に置いた作業かもしれないけど、こういう写真だけ見て、状況を考えずに、直ちにクライミングシステムに採用するってのは、どうよ?
以前ツリーマジナーズとかのページでも、こういうのがあったな。ロック式のXSREとか使ってたな。文章を読むと、犬の散歩に最適です。とか書いてあった。

クライミングシステムは、耐荷重アンカーだからね。
クライミングシステムは、荷重/抜重を繰り返すからね。
クライミングシステムは、動荷重になる可能性があるからね。

こういう写真だけ見て、直ちに流用したり、根拠を誰かに預けてはダメだからね。
DMMがイイって言ってる!的なことじゃないからね。
火消しと消防士は違う人だからね。
犬の散歩だからね。残念。