2021年1月19日火曜日

ベクター・フォース・グラビティ

絶えず変化する社会に右往左往して、その都度自分のレギュレーションを変えるのはなかなか大変だけど、変わらないベクター・フォース・グラビティを基本に捉えれば、そんなに無理でもない。ちょくちょく刷新するEN基準は厄介だけど基本が一緒ならデータを数値を変えるだけだからスムーズに変更出来る。

ベクター・フォース・グラビティの
基本があれば、大体対応できる。
システムの変更やトラブルにも対処できる。

変わらないモノが何かを見つけておけば、
自分の面倒臭がらずバカの壁を
取っ払ってデータを変更する。

マスは変わらないよ。
装備入れて質量は100kgでも
90˚曲れば質量は変わらないけど、
角度(ベクター)が付くとアンカーに
かかる力は140kg超えるよ。
180˚なら200kgだよ。
質量(マス)と力(フォース)は別物だよ。
1m落ちたら約1,000kgの力になるよ。約10倍だよ。質量は100kgでも1トンの力だよ。重力加速度(グラビティ)の力が生じるよ。

例えば、10mの樹上で手で持つのが難しいなって10kg位の枝があったとする。
そいつをただ伐って自由落下で落とすとする。
10kgなんで10m落とすと1トンくらいのエネルギーになる。
どこにも引っ掛からずぶつからず、地上が安定した平地で、シャーガツンって落としても問題無ければ落とせば良い。
しかし、直ぐそばに屋根があったり、地上のスペースが狭かったり、地上には壊しちゃいけない何かがあったり、他の樹木にかかりそうだっ
たり、の場合は吊って降ろす。
登ってる木の上の方に、下の障害物を避けるために都合の良い適切な耐荷重アンカーが採れるのであれば、吊ればよい。
でも、地面には衝突させたくない。
下の障害物を避けるためには力の方向を変える必要がある。
. 枝の成りが不均等で回転しそう。
などの変数パラメータが沢山ある。

まずは、何処に降ろしたいか?片付けるためにどうするか?によって作法が変わる。
そこで、別な高い所に耐荷重アンカーが採れるか?リディレクトなのか?リフトなのか?ロードトランスファーなのか?の方法選択や、バット/チップ/クレイドル/タグ/コントロール/ガイディングなどの手法選択を考える。
そしてどこに結ぶか?結ぶためにどこまで行けて、そこにエスケープポイントがあるか?作業姿勢が採れるか?リギングトライアングルに入らないか?などが検討され、始めて作業が実施される。

良好な耐荷重アンカーが設置できて、落下係数0.3くらいで、クレイドルのリギングチップで伐れるとしたら、対象が30kgだとしても、約0.4kN弱なんでロープにかかるピーク力は大丈夫。クレイドルできなくて落下係数0.5くらいでも0.45kNなら大丈夫。
アンカーにかかる付加も最大0.9kNと換算して大丈夫。

ポジションが採れない結びに行けない、ならもうバットタイしかない。
重量のバランスが判らないけど、梢側が5mくらいの長さとして最大5mの落下と考えて、1.5kNのエネルギー。アンカーには3kN。

リギングロープがシリウスの12mmでMBS3,500daNなら、35kNってことは、安全率10:1で考えて3.5kNでしょ。

そもそも上に耐荷重アンカーが設置できない。
もうバットヒッチングになってしまう。
カウヒッチからハーフヒッチまでが1mとすると、さっきの1.5kNの1m落下で、いきなり15kNになってしまう。
もうシリウスの12mmじゃ安全率考えると無理!
でもヤっちゃうよね。
安全率を5:1で見積もると17.5kNだからギリギリセーフ。
って安全率変えちゃそもそも理屈に合わなくなる。
ロープメーカーだってMBS35kNって唱ってるけど、35kNでぶっ壊れないようにオーバースペックに作ってる。表示を35kNにしているだけ。
けど、そうやって安全率やオーバースペックに頼って助かってるんだろうな。

理屈的には静荷重強度で3,500kgまで持ち上げられるとしても、1回でもダイナミックで落としてガツンとアンカーに負荷がかかれば、そのロープはオシャカになる。

IRATAでは、ハードマティリアルは5:1の安全率、テキスタイルエレメントは10:1の安全率って指針されてる。なんか他もコレに右習えだったりするけど、そもそもMBSだから、静荷重強度だから。
以前に読んだリギング資料では落下係数が0.3以下でスタティックリギングと考え、それ以上はダイナミックリギングになる。そしてその安全率は25:1で換算するべきだって。 全然ダメじゃん。
シリウス12mm使ったリギングで、落下係数0.3以上のダイナミックリギングなら、最大1.4kNになってしまう。
ってことは耐荷重アンカーが無い、ダイナミックリギングで使えないじゃん!
トッピングカットで30kgの対象を落としたら、ガツンと止めたら、もうオシャカ。

1回でもダイナミックにガツンと負荷をかければ、そのロープはオシャカになる。
たとえそれが90mロープで、使った場所が10mだとしても、ロープ全体に負荷がかかるんで90m全部オシャカなんだよ。

そしてcycle to failure
何回も繰り返しガツンとしてたら、どんどん寿命が縮む。静荷重で1,000回使える物も、100回でダメになる、ヘタすると10回かもしれない。

だからそこでポータラップのアンロード操作が必要なんですね。
ポータラップで適切に抜重してあげる操作が求められる。
適切にアンロード操作が出来れば、ダイナミックリギングにも使える。
だから、ベクター・フォース・グラビティでパラメータを予測して的確に操作する。

ポータラッパーは、その辺のパラメータを予測して、確実に動きを制御し、エネルギーを相殺して、どんなに激しいダンスでも巧くリードしてやらないと!

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