2021年1月18日月曜日

潜在的なピーク力

the aim should be to reduce potential peak forces to below 6kN.
目的は、潜在的なピーク力を6kN未満に減らすことです。

このピーク力の認識が無い人間が多い。

重さは60kgでも1m落ちたら6kNだからね。


クライマーの機器は大体
22kN以上の強度がある。
CE取ってるPPEなら
全て22kN以上に
なっているはずだ。
この22kNがくせ者で、
強ければ良いって
モノじゃない。

22kNの強度が人体にそのまま負荷されたら、どんなに鍛えている猛者でも何らかの障害が必ず起こる。

これは人を守るために強度表示ではなく、機器が損傷しないためのひとつの基準になってるけど、元々はUIAAとかがアルパインスポーツで怪我をしないための強度である。
それがベースになっておおかたの作業機器も22kNになっている。
オープンスリングとかが大概22kNだよね。
アルパインスポーツで使うロープは、落ちた時にエネルギーを吸収してくれるロープだ。日本語で言うと文字通り「命綱」って感じのダイナミックロープを指す。
ダイナミックロープは、伸び率が20〜30%程あって、ロープが伸びることによってその落下エネルギーを吸収してくれる。バネの様なもの。

ダイナミックロープは、落ちた時のためで、普段は荷重していない前提になる。

ツリーワーカーが使うロープは、セミスタティックやローストレッチと呼ばれる、日本語で言うと「索」って感じの作業線、伸び率が6%以下が基準になっている。
やってみた人は判るだろうけど、ダイナミックロープで作業を行おうとすれば、身体がグワングワン動いて、手元も定まらず作業にならない。

ローストレッチ系ロープが伸び率6%程度の理由は、最初っからロープに荷重してるし、普段から荷重していろことが前提になる。
伸び縮みしては作業にならない。

見方を変えれば、ダイナミックロープが30%伸びるとしたら、径も30%細くなる訳で、断面径が細くなるってことは、11mmロープでも細く伸びたら8mmくらいになるってこと。ってことはクライミングシステムのヒッチコードや、許容範囲が10.5〜12.5mmのクライミングデバイスでも効かなくなるってこと。伸びた時にググッと下がるんじゃ危なくってしょうがない。
ロープが伸びるってことは、径が細くなるってことだからね。

一方ローストレッチ系ロープなら、6%細くなっても、10.3mm程度。これならヒッチコードもデバイスも使える範囲じゃないか。だから作業線として使うロープは、径の変化があまり無いローストレッチ系ロープになる。

もし仮にローストレッチ系ロープで落ちたら、そのエネルギーが直接身体に衝撃となって伝わる可能性が大きい。
だから落ちないシステムにする必要がある。
落ちたら怪我をする可能性がある。

ヤンチャな特殊伐採の人間は、アルパインクライミング出身の人だったりするが、落ちてもロープが救ってくれるって幻想を抱いてるから、イケイケなんじゃないか?
だから枝の上に立ってロープがたるんでいても、気にしないのかもしれない。
特殊伐採ならこのロープでしょ!ってな感じで、通販ショップでローストレッチ系ロープを買って、落ちてもロープがあるから大丈夫って思ってるんじゃ無いの?
「鉄面皮、鉄面皮」って唱えれば、火もまた涼し、じゃないよ。

我々のロープは命綱じゃないし、落ちたらオシマイだから、落ちないようにする必要がある。そのために機器の適合性や面倒臭いパラメータを考えなきゃならない。
そして潜在的なピーク力を6kNに抑える必要がある。

この6kNだけど、どうやってこの数値になったんだ?って疑問があり、シツコク色々調べてみてもなかなか見つからない。まさか人体実験か?って思ってると、アメリカは60年で一部の公文書が公開される。その中で落下傘部隊で戦地に降下する人が意識を失うことや、何らかの障害が発生することが多くあったらしい。
そして戦後連合国が、捕虜を使って落下傘降下の実験をやっていた。

意識がある訓練されたソルジャーはなんてこと無いらしいが、無意識の一般人が突然落とされちゃうと、脊損や骨折が起こることがある。
その限界数値が5.5〜6kNってことらしい。
恐ッ、人体実験じゃん!
先人たちがカラダを張って示した数値が6kNなんじゃん!

これがまさに潜在的なピーク力で、
人は6kN以上の力がかかると、何らかの障害が起きる可能性がある。
だから突然のエネルギーは6kN以下に抑えなくては、働けなくなる可能性がある。

これがベースになって、その昔アンカーの強度は、2倍にして12kNだった。
最近は15kNになり、現在は18kN。
昔の建物のこれまでに設置されているアンカーは、12や15kNのことが多く、そういうアンカーはシェアリングアンカーにするべきらしい。EN795の迷宮。
国によって、5.5kNを限界としてる国もあり、その2倍で11kN、作為的に更にその2倍で機器強度限界が22kNが誕生した。

マキシムアレストフォース(MAF)は6kNに抑えなければならないよ。
鉄面皮じゃないよ、クワバラクワバラ。

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