2020年11月11日水曜日

道具が危ないんじゃないよ1

最近ある作業でロープジャックを使えば良い!ってことになって、始めて現物を見た。 私は要らないと言ったが、そこの親方は道具信仰が強い方でして、
アンカーがいい加減なのにテンションかけ過ぎたらヤバいって。張ったロープに合力がかかると簡単にアンカーが動いてしまうとか、第一張る必要はないとか、色々説明したが、まるで聞いてくれないで、ロープジャックがあれば大丈夫!って喜んでいた。
そして同調圧力で有無を言わせなかった。

ロープジャックの話は聞いていたが
ツメ付きの道具でテンションかけるって
これがどういうことか簡単に想像できたし
一生使わないだろうなって思ってたけど
現物を目の前にすると、引くね。
引っ張る道具を見て、気持ちが引くね。

簡単に倍力出来るとか、リフト出来るとか、
なあんにも考えてない輩が想像だけで、
思いつきそうな考えそうだね。

最終的には作業で使う必要が
なかったんで使わなかった。よかった。
使ったらシステム自体がぶっ壊れる
可能性もあった。危うくセーフ。


家に帰ってからメーカーの情報見たら、、、
CMI Rope Jack
スタティックラインのプリテンション、軽微な吊り上げ、ケーブル配線などに有効なメカニカルアドバンテージ。
メーカーとしては納得できる説明だ。
実際の使用に関しては、
#ロープの損傷を避けるために過度の負荷を制限する。
#一人が片手で使用できるように設計されています。
#衝撃荷重をかけない。
#衝撃が加わる前に取り外す。
#重い荷物用ではない。
#人間の運搬に使用しない。
#1人が300〜80ポンド(136〜36kg)の力を生成できる。

知ってました?
別に道具が悪いんじゃなく、使い手の問題だね。

簡単にリフトリギング出来る道具じゃないよ。プリテンションだよ。片手で引ける範囲だよ。それに、あの可動範囲。狭っ!15cmも引け無いんじゃないか?プリテンションなのにピボットでちまちま繰り返すのか?
偏心カムのセンダー使ってAZTEKなら一度に100cmくらい引けるよ。

そりゃそうだ。

あんな爪付きの道具で、ギリギリ引っ張ったら簡単に外皮を食い破る。
ちょっと計算してみたら、ペツルのアッセンションで破断荷重は4~6.5kNだから、マックス6.5kNってことで、ザックリ650kgとして、5倍力なので1/5の力をかけるとして130kg、枝の反動とかピーク力を考えて安全率を10:1で考えると、13kg。
13kgの力以内で操作しなければいけない。
だいたい手で持てるくらいの軽いリギングには有効だけど、それなら手でやるよ。
それくらいのプリテンションなら、手で引くだけで十分だよ。
道具を使えばより強い力をかけられるんじゃなく、力制限が有るんだよ。

衝撃荷重をかけない。とあるが、もしロープジャックで引っ張りながら追伐ってる途中でツル外れたら、絶対に衝撃荷重がかかるよね。
ヘタクソな伐り方で追ってたら、いつ外れるか判らないからね。
追いを入れる時には、ロープジャックは外してないとダメだしね。

両手で力一杯、または2人がかりで、引っ張れるだけ引っ張ってる時に、バキッて外れたらもうオシマイだね。簡単にピーク力を上回る。

それに力一杯引けるだけ引っ張ってたら、キャンセルも出来ない。
ロープジャックは外す時、再度引く必要があるからね。
引かないと、下のトゥースクランプは外れないからね。
もし、引いてる途中で、ヘタクソが伐り間違ってツル外れちゃって、重量物の荷重が載った状態になってしまったら、もう外れないよね。
外皮喰い破らなくても、道具外れないよね。
どうするんだろ?
まあそのまま降ろしちゃうんだろうけど、衝撃荷重がかかったロープは、破棄だからね。

やっぱりアメリカもんは、怖いな。マニュアル通りちゃんと使えてれば問題ないが、道具好きな野郎が無理ヤリ使って、ロープもハードウェアも傷めるんだろうな。傷めたロープも切れなかったら、再び使っちゃうんだろうな。
ロープジャック持ってる人は、気をつけた方が良いよ。
万能器具じゃないから、使い方知らないで、何とかやってみて色々つなげたら使えた!ってモンじゃないからね。やれば出来るって使い方してたら、CEとか作業規格とか有ったモンんじゃない。ロープ強度とかもはやそういうレベルじゃないから、ハシゴ登って片手でチェンソー振るう奴らとなぁんにも変わんないから。
コレは元々CMIのハンドアセンダーを流用したものだろう?

CMIって、アメリカらしいメーカーだけど、規格適合もないから、注意が必要だね。
実は最初にSRTの講習を受けた時、そこの団体はどういう訳か重くてデカいCMIのアセンダーを強く勧めていた。
そしてハンドルのエッジもまともに処理していないのでにぎる所にバリが出ていて、手にその部分が当たって手が切れる。SRT登高の時には3カ所切れて、グローブの中は血だらけになりヌルヌルで、タラ〜っと垂れてきて、肘まで血だらけになりながら登った。
絶対このCMIじゃなきゃダメなのか?って聞いたら、コレ以外は認めないと言っていた。
実際血だらけになってるのは自分だけだったので、ちゃんと登れば、手が切れて血なんて出ない、俺がヘタクソなだけだと思っていた。
もうすっかりマインドコントロールされて、俺がダメだ!って思い込んでいた。
しかし講習後に冷静に考えてみると、私はもうこんな血だらけで登るのはイヤだったので、そんな訳無いよな〜って思って、師匠に相談したら、CMIじゃなきゃダメって訳無い、ロープ登高器は沢山あるから自分で良いものを選ぶと良い。CMIじゃなきゃダメなことは他に理由がある!って言われて、ハッと気づいたが、

知らないって恐ろしい。

どういう利害関係が渦巻いていたか判らないが、こんな前時代的なプロダクト勧める理由がある訳が無い。

仮にレスキューセンダーのような偏心カムの同様のモノが有れば良いと思うが、トゥースタイプって言うか、爪付きの道具は使用範囲を厳密に考えないとダメだからね。

ハンドアセンダーも一人荷重だし、倍力引く時に使っちゃいけないんだよ。
ロープアクセスでは、ハンドアセンダーは1系統と見なされないんだよ。
ロープジャックはトゥースタイプで倍力を利用するって、訳わかんネェや。

またロープジャック売ってる販売店でも、リギング時に強めにテンションをかける・スピードラインのラインを張る、とか書いてあって、もう売ってる方が判ってないとしか思えない。判っててそういう唱い文句で販売しているなら最悪だけどね。
強めにテンションをかけたらダメだし、
スピードラインは即座にテンション抜けるシステムじゃないとダメなのよ。
あんなツメ付き道具でキリキリ引っ張ってたら外せネェじゃん!
だからハンドホールドの3とか5倍力なのよ。
手を離せば荷重抜けるからね。

使用範囲限界が狭いんだから、使い所も限られるし、第一基本のZ3とかS5とかC9の倍力さえ使えれば必要ないし、それに4万も出すなら汎用性の高いプーリーや偏心カムのセンダーのほうがよほど安くって使える。もっと効率のいいMA用のシステム作れるよ。
利用者が勝手にヤルのは制御できないけど、
売るモノを正しく紹介して、正しい情報を提供する。
売れるモンなら何でも売るってヤツはどうかしてるぜ。
そしてそういう道具の正しい使い方とか条件とか、
基本を伝えることが講習だと思う。
そんなのはマニュアル読めば判るんだけどね。
伝える方も、真剣に頭使わないと。
眼先の利益考えてたら、後でケツの毛毟られるよ。
現状に合わせるのもいいけど、知ってるコトを隠すのはダメでしょ。

道具があれば何でも出来るって思われちゃうよ。そういう奴らがGRCSだ!ローププーラーだ!って、ある物使ってリフトやろうとするんだろうな、多分。
ちょっと考えたら判りそうなもんだけど、私はモノを見なくても予想できたし、絶対にヤだ!って思ってたけど、何が良いと思うんだろうね?メリットを少しも感じないんだけど、現物を目の当たりにするとハンパない怖さだった。ガクガクブルブル。
道具は、使用条件に則って使っていれば何の問題も無い。
しかし使う人の条件が適切で無ければ凶器にも成る。
マニュアルには、当たり前に「こう使っちゃダメ〜」って書いてあるよ〜。

0 件のコメント: