2020年12月17日木曜日

[グレー範囲]

機器にはマニュアルがあり、メーカーが機器の使用範囲を設けている。
機器の認可された規格、認めている使用範囲や条件、適合性の証明等が記載され、他の機器との整合性や手入れ方法や破棄基準も表記されている。
また当たり前の「こうしたら危険です」という警告がある。

しかしその条件や適合以外の使用については明記していない。

実際には誰が何処でどのように使うかは[当人次第]であって、メーカーでは責任持たないけど、使う人が考えてね!っていう、当たり前のスタンスだ。


もちろんメーカーは承認された
[緑色の範囲]で作業するよう言っている。
そして危険だよって[橙色の範囲]
警告もある。

必ずしも制限範囲内に収まるとは限らず、
実際の現場ではその環境の条件や状態を
併せて加味する必要がある。
しかしより緑色に近づけた方がイイよ。
ってことだと思う。[グレーの範囲]

機器をいきなり現場です使うんじゃなく
緑や橙の範囲に収まらない条件や状態を
知っておくことが超重要。
通常の作業では、タスクや条件を整え、
[グレー範囲]で作業をこなすことになる。

私は、機器にはそれぞれ条件があるので、適切に適合性を持って…とか言ってるけど、シツコクこの【緑色の範囲】のことを言ってるが、度々「そうは言ってもこんな条件を満たす現場は無い!」って言われる事が多い。

その通りであって、私は何も作業全体をこの【緑色の範囲】に入れて行いなさい!って言ってる訳じゃ無いんだ。【緑色の範囲】を知って、出来るだけその範囲に収まるようにした方が良いし、その範囲に向うように組み立てたほうがイイよ。って言ってる。

実際の現場では、急ぐあまりにいい加減な、自分の都合の良い方向に向かってしまうことが多い。危険回避に向うべきタスクを、急いでるからとか面倒臭いとか儲からないって、ヤバい方向に向いちゃうのはイケナイと思っている。
それに前回大丈夫だったからといって、慣れや慢心でヤバい方向に向うのを諌めてるだけ。アルパインクライマーじゃないんだから、より危険なコトを成し遂げたって、俺は凄い人間だって悦に入るのがナンセンスだと思ってる。
たまたま偶然巧くいったタスクが「俺は凄い」に成っちゃったら、危険回避もへったくれも無く、より危険なコトをやろうとするその考えがオカシイよって言ってる。

こんな凄いことが出来るって自慢する特殊伐採の人は、周りから「あの人は凄い」なんて言われることに酔いしれて「俺はプロだ、専門家だ」って思っちゃうのが、そりゃ確かに凄いと思うが、凄く危ないコトをカッコ良くできることが、実はカッコ悪い。
周りから持ち上げられるならまだしも、何時しか自分でそう思っちゃたら、ドンドン危険な方向に行って、何時しか【橙色の範囲】に入り込んじゃう、入り込んじゃってる自分に気がつかないと、そりゃもう仕事やタスクじゃなくて、エクストリームスポーツに近いんじゃないか?

エベレストに単独無酸素で登頂するのは、それは凄いことだけど、仕事やタスクは毎日出来ることじゃないと、いつか破綻するんじゃないか?
疲れてスリ減って憔悴し切っていつかクレパスに落ちる、っていうか落ちる方向に向かっては仕事やタスクって言えないんじゃないかって思ってる。

日本の法規では、作業全体をこの【緑色の範囲】に入れて法規に準拠しなさい!っていう、絶対に守りなさい!すべからず国民はコレに従うように!って言うことが当たり前で、国民もコレに従わなければならないって思っちゃってるからオカシクなるんだと思う。どうしても辻褄が合わなくなる所が出てくるし、修正◯条みたいに法規自体が複雑怪奇になって、実際には何をどうしたら良いか判らなくなる、と思うな。

そして【緑色の範囲】で作業しようとしても、環境に条件に合わなかったり、他との適合性がない状態でも、企業側は「安全第一」っていうテイで、朝礼でラジオ体操して訓示を聞いたりしても、現場ではそんな【緑色の範囲】じゃなにも出来ないよから、作業員が無理してドンドン【橙色の範囲】に近づいて行っちゃうんじゃないか?

ツリーワーカーの使う機器は、ほとんどが外国製で、ヨーロッパ製は販売のためにCE規格を取る必要があり、CEに準拠するにはEN等の試験や検証を行う必要がある。
そしてその機器のマニュアルには「この規格に準拠してるよ、使い方を制限してるよ、こうするとイイよ」って言う機器の認めている範囲が明確になってる。
しかしそれは機器の認めている【緑色の範囲】と、危ないよっていう【橙色の範囲】を提示して、それ以外は知らない、ってことだと思う。

そして日本のようにオカミの言うことが全てだって思ってる人は少なく、自分の意志が明確なインディビディアルな人が殆どなので、実作業では【グレー範囲】で作業している。 しかし出来る限りグットプラクティスととなる【緑色の範囲】に近づこうとしている。 だから基準も「認めている緑色の範囲」と「注意喚起する橙色の範囲」だけで、それ以外の【グレー範囲】は各企業や各個人に考えさるセーフティだ。

このグレーゾーンって、ENなんかの調べ物をしてたら、グレーの範囲が凄く大きくて、困っちゃうことが有る。でも、そのグレーは自分ならどう動く?ってことを考えなきゃならない。ってことに気がつく。
何でもかんでも法規にして従え!っていうんじゃなく、
優良な行動規範の指針で自分で考えろ!っていう方が、セーフティなんじゃないか?

日本のようにこれが安全だって【緑色の範囲】だけ提示して、企業や各個人に考えさる【グレー範囲】のバッファを持たせないのが「安全」だと思う。
ホワイトカラーが机の上でステークホルダーと一緒に考えた「安全」だと思う。

労働基準とか作業の中身を知らずに「安全」だけの法規を作って、従えって言ったって、そりゃダメだな。

幾らイイ大学を出たって、18歳までしか勉強しないで、そのあと学ばないから、失敗から何も学べず、成功以外は無いことにして知らんぷりして、そういう人間が偉い役職に就いたら最悪だね。ブルーカラーをバカにしてると思う。
失敗から学べない人は、絶対に成長できない。
失敗を隠したり無いことにして、次々って進んで行ったらいつの間にか【橙色の範囲】に入り込んでたりするから、自然相手の仕事で、肩書きだけで、人間の社会だけで、何とかしようったってそうは問屋が卸さないよ、自然は必ずしっぺ返ししてくるよ。

でもそのしっぺ返しは、作業員に及ぶんだよ。
だから作業員は、グレーを自分で適切に緑色の範囲に近づけないとダメだよ。
国や行政がいう緑色の範囲には従わないって自分で決めた方が良い。
従うって決めたって、いつもグレーでやってるから、結局従わない方がセーフティだよ。 そのくらいは学んだ方が良いよ。賢明になった方が良いよ。
クニやシャチョーやカントクが言うことはテキトーに訊いて、そういう風に見えるように動いて、実際の行動は厳しく自分で決めないと。
良い仕事をする人はみんな賢明だよ。

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