2019年2月3日日曜日

TEXORAラウンドスリング



最近チマタを騒がせている
っと言っても私の回りだけだが
TEXORAのラウンドスリング
ドラスティックな色使い、
Breakload:100kN、
ラトビア製。
何処を取ってもウサンクサイ。


触った感じ、ウネウネの軟らかさ。
いわゆる吊り荷用の玉掛けスリング、
幅5cmくらいの緑色のゆるゆるのヤツ。
アレは幅が広くてバスケットでカラビナに
掛けるとメジャーアクシスになる?
って、疑問も出てくるし、
あんなにユルユルじゃない。
そしてオープンスリングのように
重ねて縫い合わせた縫合部が無い。


おそらく縫合部だろう箇所も
意外と軟らかく、なんか2本のモコッとした
チューブ的な盛り上がりがあるだけ。
そのセンター辺りをステッチしているだけ。
もうこういうヤツは、どうなっているの?
柔らかいし、しなやかさはなんで?
何で強度高いの?
疑問ダラ〜ケで、納得がいかない。
CE取ってるし、EN354とEN795Bで
ランヤードやアンカーの規格も通っている。
でもにわかに信じがたい。


だから、バラしてみましょう!

早速この縫合部分をタテ(輪の方向に)
縫っているステッチを1カ所切って
**この1カ所がこの製品のキモであることを
 のちに知ることになる***
まあ、簡単にほぐれる。スルスル抜ける。
益々怪しさ満載で簡単にステッチは抜けた。


そうすると、インフォシートが外れ
このドラスティックな外皮がスルスルと
ムケてきて、コアが現れる。
コアはやはり編まれていない。
それどころか撚られてもいない。
このまま剥いていくと、
ストランド(本当は撚って無いので違う)
ファイバーをまとめたヤーンでもない。
便宜上「束」というしかないモノが
24本単位で束になっている。


何処かにつなぎ目があるはず...と
触ってみてもほとんど感触が無い。
それでも何となくココかなぁ?ってトコを
剥き回してみると...
ありました!1カ所。テープでテキトーに
止めてある箇所。
そしてここをよ〜く見ると、
片側2本束で、もう一方が3本束?
なんだコレ?どういうこと?


判らないから、更に剥き回してみると、
微妙に、2本の束だけが弛んでくる。
元に戻そうにも、戻らない。
仕方がないから、更に剥き回してると...

スポッて2本の束が抜けてしまった。
アチャ〜やっちまったか?と思いきや

待てよ、ここが末端だとすると...


更に剥き回してみると、
グルッと周回してしまった。
ということは、このテープ部分が
もう一方の末端なのか?

ということで、テープを剥がしてみると、
そうでした。
何のことは無い、もう一方の末端を
適当な所で(3本の束に)止めてあっただけ。


そこで初めて、この2本の束を単純に
グルグルグルと12周してるだけ?
だからさっき剥き始めた時24束だったの?
2本の束を12回巻いて外皮に入れてるダケ。

だから遠慮なく、2本の束を掴み
外皮をグルグル廻し続けてると、

ヌケました。バラバラ。
最初のステッチ以外
撚っても、編んでも、結んでも、いない。
ロープは撚ると、撚っただけ強度が低下する。
力のかかる方向と、繊維の方向が、一緒の方が良い。
ファイバーアングルってヤツで、
この角度が力のかかる方向と同一な時に一番強度が上がる。
理論上の繊維1本の強度X本数ということになる。
でも、実際はバラバラの繊維だと、扱い難くてしょうがないので、
撚る。

でもキンクしやすいので、何本かのストランドを編むことになる。
相対方向に半数を編むことで扱いやすく強度も高いロープになり、
これがホローブレイドのロープになる。
同じ太さならダブルブレイドよりも高強度になる。
ファイバーアングルがより力の方向に近いまま、
繊維の束をそのまま外皮に入れてまとめただけなんで、
編んでも撚っても無いので強度が高くなる。
編みや撚りの方法で扱いやすくしようとするのと全く逆転の発想で、
編まない撚らない結ばない縫い付けないで、まとめるだけ。
だから縫製も要らないし、巨大な編み機も要らない。
加工に手間がかからないんでコストもかからない。
しかも強度は一流になる。

恐らくは、2本の束を緩すぎずキツすぎず、12回巻き付けることで、繊維同士の摩擦や、ハイストレングスタイオフのように強度を分散し、オイラー定理では12回巻いてるとほとんど力がかからないことになるんで、丁度良いサイズで片側の末端をテープで止めるだけ。もう一方は外皮の中にしまうだけ。ってのが高強度の秘密のようだ。



長さが細かく設定されていて、
バラしたのが、50cmのスリングで
1周で100cmになる。
ちなみにこの2本の束を延ばして
ザックリ測ってみると、
14mほどあった。
2mは天使の分け前ってヤツ。
大体そんなもんだろう。


この軟らかさと、しなやかさと、
適当な堅さと幅の細さが決め手。
ドラスティックな色使いはダテじゃない。
これならバスケットでカラビナも入る。
マニュアルには、EN795Bで
チョーク、バスケット、数回巻き
が紹介されている。
まあ、100kNあればガースで半分としても
G-USEの規格さえ通る。


ちなみに、
ポータラップの台付けだと難しいかな?
根元をガースにするんで、ジャストな
サイズで設定するのがムリかもね。
チョークポイントからの遊びが長過ぎる。
まあポータラップの台付けは地面に立って
結ぶのでカウヒッチだって簡単さ。


しかし樹上でタイトなポジションで使うなら
コイツは良いかも?
ガースやさらにプルージック的に巻いたら
ティンバーヒッチよりは信頼が置ける。
長さ調節も数回巻きでクリアになる。


長めのスリングなら、ラウンドスリングでも
カウヒッチのように決めることができるゼ。
これは色々有用ですね。

玉掛けスリングも強いから良いけど、ビナが掛からず使い難い。
プロダクトって、アイデアですね。
ラトビアすげぇよ。
ロープアクセスやツリーケアでも
使い所を考えて、条件を満たしていれば
凄い武器になる予感。

TEXORA Round Sling Lanyard
編んでも、撚ってもいないので、
これ逆行程でリメイクできる。
エビデンスが無いけどね!

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