2015年9月30日水曜日

カラビナの抜け殻

昔からゲージュツにはあまり興味がなく、美術館の「作品」より手に取れる「意匠」が好きで、富山の薬のパッケージとかに反応していた。
ただ一時期「梱包」に影響され、クリスト&ジャンヌクロードのヴァレーカーテンや包まれた島、ポンヌフとか、ピンクフロイドのアートワークを手がけるヒプノシス一派のストームとかジョージハーディが大好きだった。自然をどうにかしてやろうか的なエゴではなく、利用したアート作品やインスタレーションがビビッとくる。
それとは別にガの繭とかセミの脱け殻のようなものにもかなり引かれていて、確かにそこにあるテイだけど、中身は空っぽというヤツ。更なる飛躍を予感させつつも、まさに形骸化した物体としての無意味な存在。パッケージも商品を選択する段階では極めて重要な要素だろうが、実際に商品を購入した後は、中身の機能を享受するべく、破って捨てられてしまう的な存在。
自分では手短に、セロテープを使って手にぐるぐる巻いた後、綺麗に切り取って修復し「抜け殻」のようにするのが好きで、一時期ハマっていた。工具や日用品でやったり、自動車やバイクなんかも...アイデアは色々あったが、セロテープを買う金もなく、その気持ちはいつの間にかしぼんでいた。
ところが、だ、先日スコッチシートでステッカーを作る仕事の過程でピンセットで「カス」を剥がしていて、この発色が良いカスをただ捨ててゴミになるだけってのは悲しいなぁと思った瞬間、あのマユや梱包が蘇ってきた。
そこで、手元にあったカラビナでやってみようと。
何となく感覚は残っていたので、思い出しつつ作って良いフォルムが出来るようにカスをベタベタ貼付けてみた。



そして最終的には「脱皮」させ、
カラビナの抜け殻を作った。
Husk of Carabiner
これはなかなか面白い。
フィルムを延ばし引っぱり
貼付けてるので形状を記憶していて
グチャグチャにしても元に戻る。
このニセモノ感がたまらない。

Husk of Carabiner

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