2012年6月29日金曜日

お手入れのデザイン

先日から宮の森の住宅地で、作業を行っている。

元々施主の父親が住んでいた家で、あまり手入れされていない庭。
枝先が電線にかかり、道路にもはみ出し、電話線は枝の中を通っている。
いろいろ面倒で困っているという話しだった。
そこで見に行くと、倒すとなるとフェンスや電線の関係で
けっこう大変な作業になりそう。
でも、ちゃんと手を入れればキレイになりそうだし、第一倒す必要もない。
せっかく長い年月をかけて大きくなった生き物は大切にしたい。(私感)
通りから家屋が丸見えになるし、日陰が無くなるので、
育っているバラなども枯れるかも知れない。(セールストーク)
などとお話しをして、
「一度やってみるので、もし気に入らなかったら、倒します」
というところで話がまとまった。

デザインはより良い形で
目的を達成するための表現なので、
それ程経験はなかったが、
出来る限りやってみようと思い、
いろいろの先人の知恵者から
聞きかじった方法を我流でアレンジして
高さ8mほどの4本に登っては切り、
降りて離れて眺めを
40回ほど繰り返した。
延べにすると相当登っている。

トピアリーみたいな人工的な形状が思いっきり嫌いなので、
それだけはイヤだと主張していたので、
出来るだけ自然に近くストレスフリーな状態を目指し、
(これも人間の都合なので何とも言えないが)
慢心にならず訴えかけてくる感覚を受け入れるようにしていると、
どうも、切りやすい枝と切りにくい枝があると感じ、
切りにくい枝を無理して落とすと、樹形が崩れ気味になる。
何日か繰り返していると、確信に近い思いになり、
まず枝を揺すり「これか?こっちか?」などと話しかけたりしていた。
端から見てるとかなり変な感じだったと思う。

盆栽とか枯山水とか、素晴らしい芸術や文化だとは思うが、
好みで言うと人工的すぎてキライ。
自分の感覚的には、日本一の橋やトンネルやダムと一緒で
ねじ伏せているというか、ペット化しているのがイヤ。
自然に対しての畏怖や敬意は感じられず誰かの都合しかないと思う。
文化としてはイイが、想定外がしばしば顔を出す。
どんだけ中途半端な想定なんだっ!って話しが大きくなってしまった。

ある程度出来つつのおりに、
日中留守にしている施主と話しをした。
日々の変化を楽しみに見ていたと、
スッキリ散髪した感じが好感が持てる。
庭らしい感じになってきたし、
これはもう立派なデザインですね。
嬉しい言葉を頂いた。
そうすると、施主さんもこの根元に好きな花を植えたいのだとか、
こっちを整理したいとか、手を入れたくなって来たようで、
イメージやアイデアが活性化されたようで嬉しかった。

社会的に邪魔な木や生活に支障をきたす木を一方的に排除する仕事は
マイナスをゼロにする仕事なので、話し合いにすらなることが少ない。
倒さずに、お互い納得のいく形でプラスにしていける方がいい。
信頼されて感謝される方が気持ちいいに決まっている。
樹木にとっては???だけど、これは今後の課題というか
見続けて手を入れ続けないといけないだろう。

作業は数値に置き換えられるけど、
気持ちというか感情のサムシングエルスを
より良い形でお手伝いできるのはクリエイティブな仕事だ。
作業としては、無駄を排除して、目標を見据えることが近道で、
でも周りが見えにくくなることが多い気がする。
この無駄を排除すること自体が、余計なアイデアを考えないことだから、
クリエイティブな意識から遠ざかっている気がする。
見習うことはとても近道で参考になるけど、創造性を失う恐れがある。
どんなちんけなアイデアでも自分で試してみたり、
作ってみる方が性に合っている。
そう、俺は面倒臭いヤツ、その面倒臭いのを売りにしている。
何かすっかり自慢げになってしまったが、
今回はちょっと嬉しかった。ひとつ何か抜けた感じで鼻を鳴らしている。


蛇足: 漏れたり溢したり、
どうも納得いかなかったガスとオイル。
最近一番気に入っているのが、
秀岳荘のワゴンセールで見つけた
エナジードリンク用のボトルをオイルに、
トランギヤのストーブ用プラボトルを
混合ガス用に使っている。
チョロチョロ出るのは鬱陶しいが、
溢さずに給油できる。

2 件のコメント:

村田 さんのコメント...

ご無沙汰してます、村田です
暑い日が続いているので体調に気を付けて
作業してくださいね。

自分は草刈三昧な毎日で、日に2リットルの水分補給してます。

satoc さんのコメント...

熱かったっすねぇ。木陰を無くさないよう剪定してました。今回は自分なりにいろいろ勉強になって興奮してます。図々しいですが村田さんの知恵もまた授けてください。