2009年12月17日木曜日

ズミの最期

いつも歩いている防風林に枝払いが入った。
確かに脇の通路に張り出している枝は多かったが、
それほど邪魔になる訳ではないし人も車もそんなに通る場所ではない。
道の境界線からはみ出している枝は全て切られている。



そして
しばらく前から観察していた
ズミの木が倒されていた。

ズミは境界線からはみ出して
育っている訳ではなかったが、
小枝が非常に多くわんさかと
絡んでいたので、
枝を払うのは面倒なので
倒してしまった。
といったところだろう。残念だ。


植えられたものでもなく、林縁に1本だけ成長していたことを考えると、
おそらく鳥散布でここ来て、光の方向へ旺盛に伸びた元気の良いヤツだった。
春には薄ピンクの美しい花をいっぱい咲かせ、良い匂いを辺りに振りまき、
これでもかというほど結実し、秋に熟しまた鳥たちの貴重な餌になる。
酸っぱくてとても食えたものではなかったが、見て嗅いで鳥の声を聞いて
味わってもちろん触って五感を楽しませていただいていた。



倒され玉切りされた幹の周りに、まだいっぱい真っ赤な実がついている。
血の色だ。痛々しい。

自分の所有物でもないし、自分で管理しているわけでもないので、
勝手な了見だけど「なぜ?」という感情がこみ上げる。

旺盛な木だったので、林内の奥の方の人目につかない日当たりの良い
ところへ枝を持っていき、ここで再び育ってくれれば...と
そんな簡単なものじゃないだろうけど....

同じように切られたシラカバやヤマグワは他にたくさんあるから
そんなに心が痛まないっていうのも、本当に身勝手ないやらしい考えだけど
この辺りでは1本だけだったのでよく観察していたし、
思い入れがいっぱいあった。





こんなにいっぱい花を咲かせていたのに。


こんなにたくさん
実を付けていたのに。

鳥たちがいっぱい
やってきていたのに。

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