2020年10月16日金曜日

 MEWP

日本の高所作業車運転者特別教育はどうやってるか知らない。でもカゴから身を乗り出して作業していいという事は無いだろう。

ICoPのモバイル昇降作業プラットフォームの要件の最初に、3.8.3 In circumstances where an operator is working from the platform of a MEWP, the use of a work restraint system (personal fall prevention) may be required.An operator using personal fall protection equipment such as harness and lanyard would be prevented from reaching an area where there is a risk of a fall
MEWPから作業している状況では、基本的にバケットから身をを乗り出して作業はできません。ハーネスやランヤードなどの個人用落下保護装置を使用して落下の危険性のあるエリアでは、フォールアレストシステムを使用する。
MEWPとは、Mobile Elevating Work Platform (モバイル昇降作業プラットフォーム)一般には、いわゆる高所作業車のこと。

とにかくゴンドラに入って
作業に邪魔な枝があれば
枯れていようが活きていようが
おかまいなしに落として広げれば良い。
下なんて確認しなくても大丈夫だし
声を掛けるなんて面倒くさいし
落ちた枝に当たる方がマヌケだし

落ちるなんてマヌケなことやんね〜から
幾らでも身を乗り出すし
かかと引っ掛ければ落ちねぇし。

行政の担当者や官庁の役人や
監督する人なんて煩いから要らないし
居ない方が作業が進むし。
そんな感じかな?
監督的には、高所作業車を利用すれば出来る仕事。
作業員には、チェンソーやフルハーネスやロープ高所作業や高所作業車運転者の特別教育も受けさせている。みんな日本の国家資格を持っている。
雇用主的には、必要な身体保持器具などの道具も買い与えている。
国がマストだ!って言ってる事は100%守っている。
何の問題も無い。

作業員的には、
フルハーネスなんて重いし動きにくいし、
チェンソーは片手で使えるトップハンドルが扱いやすいし、
身体保持器具だって邪魔で使えねぇ。
第一あんなもの着けてたら仕事が遅れて作業になんねぇ。
いちいちゴンドラにフック点けてたら、身体の自由が効かねぇし、チェンソー延ばしても届かねぇから、外して身体を延ばすんだよ!
そうしねぇと工期間に合わないだろ!
ってのが理由だと思う。

ある作業の競争入札がある。
  ↓ ↓ ↓
安く仕上げないと他所に取られる。
  ↓ ↓ ↓
雇用主は仕事を取られないように安くする必要がある。
  ↓ ↓ ↓
だからその期間内に終わらせるようなヤリ方になる。
  ↓ ↓ ↓
凄腕のヤツに任せれば何とかなるかもしれない。
  ↓ ↓ ↓
国民の財産だろうが何だろうが、今後どうなろうが関係ないから、
とにかく安く仕上げないと他所に仕事取られるから出来るだけ安く見積もる。
  ↓ ↓ ↓
ウチの作業員はヤレっていったら、何でも出来るヤツが居る。
  ↓ ↓ ↓
工期を短くして安く仕上げるようにして入札を落とす。
  ↓ ↓ ↓
この仕事は3日で仕上げろ!って作業員に言う。
  ↓ ↓ ↓
作業員は「どう見ても3日じゃ終わんネェよ」
  ↓ ↓ ↓
何処かで時間を稼がないと終わんネェ。
  ↓ ↓ ↓
身体保持器具やフルハーネスは重くて動きにくいから使わねぇ。それにこんなもん着けて確保とかしてたら届く手も届かねぇよ。ショックアブソーバーだって重いし邪魔だし要らねぇよ。時間を稼ぐとしたら、こういう使いにくい物を使わないのがてっとり早い。
  ↓ ↓ ↓
大丈夫だよ。特別教育は受けたし資格持ってるし、担当者も監督も居ネェから、装備だってちゃんと持ってるし、使わなくたって誰にも判んねぇ。
  ↓ ↓ ↓
大丈夫だよ。オレは何時もやってるからそんなモン使わなくたって落ちネェよ。

ってのが主なアルゴリズムだと思う。

[住民] 国有林の樹の枝がウチの土地にはみ出して落ち葉が鬱陶しい!とか、枯れてきたから越境している枝を払え!とか、酷いのになると、外壁直そうと思うんだけど足場組むのに樹が邪魔だ!とか、町内会長から地元の議員を通して役所を恫喝する。
というのが発端で、
役所の担当者は、文句を言われたら言われた本人の言ってる事に黙って従う。
担当の官公庁に連絡して、何とかしてくれって言う。
大きな事例になると、環境アセスメントとか評価が伴うが、民地はみ出し国有林などは、そんな調査が入る訳でもなく、現場を見に行って、見ても判んないから、誰か枝払い出来る?って知り合いの業者や馴染みの業者に声を掛け、儲けたい業者は少々難しくても高所入れれば何とかなるって勝手に思う。この時点でその辺り一帯が今後どうなろうが関係なくなって、仕事として金額だけの話になる。一定の金額になる場合は競争入札になる。

[国] 作業に従事する者は、もれなく「ロープ高所作業の業務」に関する特別教育を修了することが義務付けられている。しかしそれは寝てても貰える国家資格だ。
資格さえ持っていれば入札にも作業にも従事できる。
  ↓ ↓ ↓
[発注者] 仕事の内容とか難易度とか、今後の環境がどうなろうが、知ったこっちゃねぇ。
「管理」は管理なんだから、文句を言われた所を片付けて、ちゃんと見えればイイ。
出来れば安くやってくれる業者がいれば良い。
  ↓ ↓ ↓
[受注業者] ウチには凄腕の職人が居る。ヤツに頼めば難しくても短期間で仕上げられる。
  ↓ ↓ ↓
[作業員] 社長が言うことは絶対だから、これ以上ギャラ下げられたらたまんねぇから、
少々危なくても、暫く休んでない連日の作業でも、大丈夫!オレはデキるヤツだから!

そんな具合に日本の森は一時的な都合で伐採されている。

現場の作業員がチョンボして怪我でもしたら、
担当者は面倒臭そうに、安全指導は行っていたか?とか、会社としての安全対策は講じていたか?とか、特別教育は実施されていたか?とか、今後に向けて改善策を書面で出せ!とか、自分や行政や国に落ち度が無かったという証明を要求する。
業者には安全指導を徹底するように!って指導が入り、業者は従業員に気を引き締めろ!二度とこのような事故が起きないようにって指導が入る。
従業員は自分のミスで会社に迷惑をかけたって、オレが悪い皆んなゴメンね。今後から気をつけるって、
そんな図式で事故が無くなる訳が無い。

誰がババを引くかって話のようだ。
オレだけはババを引かないようにしよう。ってことだ。
そんな図式で事故が無くなる訳が無い。

作業員の人的要因はキッカケに成ってるけど、構造的には、
住民(勝手なことを言うなよ)も
国(成功例を踏襲するだけの資格なんて作るなよ)も
行政(資格を持ってるかどうかで判断するなよ)も
発注者(少なくとも現場見て優良な方法を判断しろよ)も
受注企業(そろばん弾いただけで仕事決めんなよ)も
これは一番根底にある組織の要因だ。
住民も国も行政も発注者も受注企業も全てが事故を誘発していて、それが自分じゃなければイイって言う勝手な理屈だ。

国も行政も発注者も受注企業も悪い!!なぁんて正論を言っても始まらないから、
作業員は自分で自分の身を守る必要があるよ。
作業員だって、ロープ高所作業特別教育とかチェンソー安全講習とかフルハーネス特別教育とか、だいたい寝てても貰える資格なんて、そんなモンで事故が無くなる訳が無いと思ってるでしょ。
アテに成らないヤツらの言うことや、嘘くさい法規に準拠していては、
結局自分の首を絞める。
首が絞まる前に、自分だけでも始めないと死ぬかもしれないよ。
理想論かもしれないが、出来ない事は出来ないって言った方が良いし、
危ないって思う事は危ないから出来ないと、自分で決めれば良い。
そういうヤバい仕事は、出来るヤツに任せておけば良い。
その間に明日も続けられる危険回避を身に付けよう。
自分の中にレギュレーションを設けないと、
いつまでも国や組織や雇用主に蝕まれるだけだよ。
それでも日銭を稼ぎたい人は、命をかけて奉公してください。

実際に作業してるのは作業員なんだから、自分の身は自分で守るように考えた方が、そう考える人が増えれば実際作業は廻んないんだし、そしたら作業時間だって増えると思うよ。
そうしていかなければ未来は無いよ。使い捨ての労働力だよ。
使えなくなったら捨てられるだけだよ。
丁稚奉公で親方だけ肥えるよ。
そういう親方を肥やしてる国や行政だけが潤うよ。

まずは自分で、行動規範を持って、作業慣行を学び、難しくても時間がかかっても、危険回避のプラクティスを繰り返し、少しづつ良き方向に向おうよ。

最初から100%の力を発揮しようとせず、
先行者の真似だけで何とかしようとせず、
幾つかの例を自分が判断して良きモノを選ぼうよ。
きっと自分に合った取組み方が有るよ。
始めっから全部やろうとせずに、自分が出来る部分から始めようよ。

持ってる道具を自分の身体に合わせるとか、
道具のマニュアル読むとか、手入れするとか、
結びだけは、短期間にとことん練習して身につけるとか、
夜酒飲みながらでも良いから力や方向の本でも読もうよ。
地面に立って伐り方の練習するとか、
現場で少しづつポジショニングの姿勢を確かめるとか、
現場に少し早い時間に着いて投げる練習しようよ。

そうしているうちに、いつの間にか自力が就いてるよ。
危険を回避しながら、効率良くて、身体が楽になってるよ。
鍛えて脳ミソまで筋肉化したらダメだよ。

私はそうやってきたよ。
レクリエーションで樹を登りたい!から始まって、
天才じゃ無いから徐々にコツコツ学んだよ。
だから誰でも取組めると思うよ、
誰でも取組める危険回避のツリーワークを伝えてるよ。

行政や組織なんて、ステークホルダーとしか動かネェから。
利益に関わらない奴らと面倒臭い事をやりたがらネェから。
そんな事に時間を使ってるうちに、ドンドン世界的な考えは進化するし、
それに合わせて道具も進化するし、
道具の進化は危険回避に繋がってるし、

上を向いててもなかなか変わらないから、
下の現場っていうか、作業員が自分で考えて
自分の危険回避の為に自分で方法も道具も選べる知識と技術を身につけるべきだよ。
その現場で使える考えを選べる自分を作った方が良いよ。
そういうコトをワークショップで伝えてるよ。
自分の危険回避を、自分で通ってきた道のりをワークショップで伝えてるよ。

完成形を作ったとしても、その完成形が出来上がった時点でもう過去の物だよ。
100%の完成なんて無いよ。
だからその時々で、臨機応変にヒョーヒョーと自分のメソッドやロジックを変更した方が良いよ。日々考察を深めて自分の危険回避をアップデートした方が良いよ。

そうしていかないと、
100%を目指して鍛錬していたら、直ぐ歳を取って身体が動かなくなるよ。
人生は短すぎるよ。

0 件のコメント: