事故が起こった時、樹上もしくは地上から、ビクティムの意識レベルを評価します。主に声を掛けて反応を評価しますが、多くの場合「大丈夫かぁ!」って声を掛けますよね。
そうすると多くは「大丈夫です!」って応える。
自分のチョンボだとか、
たまたま間違ってしまったとか、
風が吹いたとか、、色々だけど
「大丈夫かぁ?」って
聞いたら、ダメです。
「今助けに行くよ」です。
行くことが前提です。
助けに行く!って聞いたビクティムは、
要らないとか、お願いとか、
正常な判断をくだせると思います。
「大丈夫かぁ?」って聞いたら、
〔大丈夫だぁ!」って応えます。
要らないの場合はセルフレスキューですが、リーダーはソレを客体的に判断します。
客観的じゃなく客体的です。
リーダーは同じ状況がもし自分なら「大丈夫」って応えるだろうなということを予想して、でもちっとも大丈夫じゃないんだよなって判断する必要がある。
ビクティムの大丈夫は信じません。これは抵抗フェーズの症状の可能性があるので、チームの各々がそれぞれ客体的に評価する必要があります。
同時にチームはレスキューセットの確認をして、レスキュアーはレスキューに備えてもう行動していなくてはなりません。
正常のコミュニケーションが取れる状態でファーストエイドでカバーできる症状であればビクティム自身がセルフレスキューに移行します。
例えば傷口を押さえている出血(片手しか使えない)状態ではセルフレスキューは不可能なので、直ちにレスキュー計画に移行します。
あまり知られていないですが、ビクティムの状態には幾つかのフェーズかあります。
■ショック・警戒フェーズ (Shock or Alarm Phase)
代謝機能の減速、反射応答、利用可能なエネルギーの活性化、ストレスホルモンの生産(アドレナリンなど)、呼吸・循環・筋肉のシステム・代謝が刺激される。具体的には歯を食いしばり、黙るような状態。
■抵抗フェーズ (Resistance Phase)
ストレス状況が続き、体が反応エネルギーを一致させようとします。ストレスの要因に対する抵抗であり、ストレスから逃避したいという願望のため「大丈夫」と自分に言い聞かせている状態。
■困憊フェーズ (Exhaustion phase)
疲労や疾患につながる状態。現実的にはアラームモードのままですが、胃痛・喘息・頭痛などの症状が見られます。
リーダーは正確にこの状況を判断して、対策タスクをとる必要があります。
作業タスク中に、伐った対象に挟まって身動きが取れないとかなら、コミュニケーション確認以前にレスキュアーは動いている必要があり、コトが起こってから「あの道具とこの道具を持って、誰か行く?」とか言っていたのでは遅過ぎます。
具体的には、グッとこらえて黙ってる状態はショックフェーズですが、「大丈夫だぁ」って声を出したら、もう抵抗フェーズの可能性があるので、救助に向います。これは仮に本当に大丈夫でも良い訓練になるじゃないですか!
その時チームが適切に動けるかどうかの確認が出来るじゃないですか!
ダメならまたプラクティスすれば良いじゃないですか!
私は作業中によく「助けて〜」って声を出します。
その時にチームがどう動くかを見ています。
チームがポカンとしてたらもうダメです。
Aerial rescue must be practised (both scheduled and impromptu) at least once every 6 months, so that all members of the team, including ground-based operators, are familiar with the techniques.
救助は、地上のオペレーターを含むチームの全てのメンバーが、技術に精通するように少なくとも6か月に1回(予定された訓練と予告なしの両方で)実行する必要があります。
日々そういう想定を考えていなくては、実際には対応できません。
救助訓練をやったことがある、とか、一つの方法だけでをとことん訓練じゃだめです。
小学校の火災訓練のような予定調和では、現場で救助は出来ませんよ〜。
訓練じゃなくてプラクティスです。
成功を確認するんでなく、間違えを正すための演習です。
状況が整った時に事故は起きませんからねぇ。
バカみたいに、同じ想定を繰り返し早くできるように訓練するのでは、緊急事態に対応できません。小学校でも何月何日何時から火災訓練をするって発表しては何にもならない。百歩譲って日程を決めていても時間を決めちゃだめだね。
そして予定していたシナリオ以外の一つ二つをぶっ込む必要がある。
先生が生徒を誘導せずに自分が我先に逃げるとか、誰かが階段から落ちるとか、並んで逃げる時誰かを押すとか、走るとか、他を押しのけて自分だけ逃げるとか。そういう緊急の対応を状況に合わせてどういう動くかが訓練じゃ無いの?
大丈夫だぁって、周りや自分を安心させても何にも徳が無いよ。
誰かが言ってる「安心・安全」なんて、自分の安心安全じゃないからね。
まして行政や雇用主が言ってる安心安全なんて、逆にこれは本当は危険なコトなんだなぁって認識した方が良い。
安心安全なんて本当はヤバいからそれを感じさせないように
マヤカシを掛ける呪文だからね。
もし本当にヤバくなったら「想定外」とか言うんだよ。
どんな想定だよ!って思うけど、予定調和だから想定になっちゃうんだねぇ。
同じ想定を訓練したって、緊急事態には対応できそうもない。
だから現場でいきなり「助けて〜」って言ったり、
ワークショップで可能性を検証するんだよ。
他の想定や考えを皆で検証しないと、そういう仲間が居ないと、
チーズの穴は埋まらないよ。
立派な肩書きとか、根拠を知らない誰かの真似とか、当人の大丈夫は信用しない。
自分が痛い目に遭うよ。
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