見積りで、施主の条件が、ゴミだしはせず、鋪内にまばらにバラして、断幹剪定。
しかし鋪内は斜面だし、総重量30t位ありそうだし、民地に転がったらオシマイだし、高さ3mのフェンスも邪魔だし、手作業で行うには無理がある。
これは、2車線の高速道の片側潰して誘導して50tクラスのラフタークレーンを入れれば、2日で出来るよ。
その方が速くて危険少ないのがハッキリしてる。
しかし施主は「登って出来るんだろ?」ってな感じで、登る方が良いって言う。
一旦は、時間も作業員も危険も少ないってラフタープランで納得したが、事後にやっぱり登ってやってくれって言う。カネがかかっても構わないと。
そんなに面倒臭い分けない、チャッチャと登ってチャッチャと伐り落せば良いって。
その実、クライミングの作業を見てみたいって感じのようだ。
まあ、伐る事は出来るけど、その後の処理っていうか、斜面を持ち上げて鋪内にバラす伐った後の処理の方が大変だよ。人力では無理が大きい。
こういう人には、どういう方法が良いか?見せる必要がある。
全く効果的じゃないけど、見せつける必要があるのさ。
高速道と民地の緩衝地帯の斜面に立つ、
下から見上げると見通しは良いが
まず立ち上がる根元まで行くのが一苦労。
高速道の法面を10m程下がった所に
軌道鋪内を分けるフェンスが有り、
多分フェンス建築用の一瞬平地が有り、
またそこから40˚程20mの斜面が続く。
ハシゴじゃないと登れない急斜面を
荷揚げする必要がある。
雨で泥濘んだ地面は、とても滑るよ。
それだけでも大変だ。
そして対象がポプラなんでヤワい。
強度に不安がある。
真っ直ぐ立ってるとは言え
変な力がかかったら直ぐ折れる。
耐荷重アンカーを選びに登ったら、
遠く石狩平野の端の丘陵地まで見える。
斜面立ちなんで下まで45m越え。
大っきなウロが有るし、
枝って言っても胴周60cm以上あるし、
小枝多すぎるしいちいちデカいし、
山裾なんで風が四方から吹いてるぜ。
どっかんどっかん落とすには
太い幹でもとても耐えられそうにない。
プランとしては、ラフターが一番楽だけどクライミングなんで、トッピングカットなんてヤンチャな方法やったら、幹が左右に揺れていつ事故が起きるか判らない。出来るだけ幹を揺らさず落下エネルギーを生まないチップタイリフトか、縦の重力方向に相殺してゆっくり降ろすしかない。
距離を取ったダイアゴナルテンションラインで、タグラインとコントロールラインで鋪内の中間地点に集材するのがベストかな?
ベースになる方法は
ダイアゴナルテンションラインで
やりながら方法を変更模索して
取っ掛かったけど、、デカい。
20本くらいの樹が一株になったような
高さ30m弱、ボトムは円周5m越え。
ボトムアンカー台付けが届かない。
リギングラインでW4P3のSRT
クライマーは所々にアンカーとって
まるでリードクライミングの完全2系統。
ワークポジショニングだって駆使し
場合によっては3〜4系統。
この距離感。高いデカいヤワい。
ちょっと枝払っただけで、
高いからもの凄いエネルギー。
片手で持てる10kg程の枝でも
地面に着いたら2トン位の衝撃よ。
離れてください!って言っても
そんなに飛ばないと思ってた
担当者もびっくり!
4m程の長い枝が粉々に砕ける。
そうなんだよ。
あんたが出来るって言ってた作業は
登って伐る事は出来ても
落とすとモノ凄く危険なんだよ。
砕けなかったら転がるんだよ。
フェンス際でヘタに落とすと
高速道に跳ねるか、民家に転がる。
基本的に高い他の枝が多いから、交互にシステムチェンジして、クライミングの下にリギングトップアンカーを移動設置して、対象には重心以上の所でチップタイで、グラウンドは出来るだけ平地でAZTEK作業しやすいようにCDかけて、受けすぎず追いすぎずノッチの形も工夫して内側受けのリフト。
クライマーはあまり上下しなくても済むように、セッターとカッターの分業。
お互いのチェックも出来るし、縛りに行く人と伐る人の絶妙なコンビネーション。
グラウンドは、追う前まで2人でAZTEK操作。
対象が300kg近くても、AZTEKとポータラップで揺らさず制御できるよ。
離れたらタガーとラッパーに分かれて、ラッパーは一気に進ませる下降と、タガーとクライマーに指示してロープを振らしたり少しづつゆっくり降ろしたり操作を指示して、タグラインで上向いてる下枝にも引っ掛からずに、ラッパーは対象が踊らないように、集材はテンションラインで移動できるよ。
でも最後は上にアンカー無いんだから、
トップカットしかないよ。
落下係数2は辛いね。
それでもタグラインで出来るだけ、
落下エネルギーを生まないよう、
クライマーを揺らさないよう、
対象を制御する。
クライマーの危険回避を最優先して、
動きやすいポジションでサイズを決めて
グラウンドがそれに従い巻き数を決める。
なんと素晴らしいチームだ。
フェンス際でヘタに落とすと高速道に跳ねるか、民家に転がる。
落とせない・跳ねさせない・デカい・長い・ヤワいという
久しぶりにハードなツリーケア。
人間はラフターと同程度の事が出来る。ラフターは人間がもっと楽に便利にって考えて作った道具だからね。でもラフターの方が危険が少ないならそっちを選べば良い。選べる知識を持てば良い。
正直全くの素人が2年でここまで出来るようになるとは思っていなかった。
道具の特性やシステムの条件を正確に理解して、大きなリギングも、最初は小さく軽く短い対象で基本に忠実に行えば誰でも出来るよ。
真摯に基本に忠実にだよ。
テキトーに有る物使ってはできないよ。
そういうコトを伝えてるよ。
そういう積み重ねで徐々にサイズアップしていけば良い。違うシステムを勉強して行けば良い。便利で楽な道具なんて無いよ。自分が効率良く作業をこなすための選択が出来るかどうかだよ。それには時間とカネがかかるけど、出来れば良いって仕事してたら消耗するだけだよ。そのうち身体が言う事訊かなくなるよ。それで無理したら事故るよ。
いきなり大きい仕事はできないよ。小さな物から時間がかかっても基本に忠実に積み重ねていくんだよ。出来ないのは、基本を判ってないからだよ。だからいい加減な見積りしか出来ないんだよ。手間をかけず儲けようとしても疲れるだけだよ。
経験だけではリスクが曖昧になるし、そもそも基本を判って無いヤツの経験なんて屁の突っ張りにもならない。消耗するだけだよ。チームが殺伐となるだけだよ。
立派な資格やプロモーション活動だけでは、良い仕事はできないよ。
クライマーは各々2系統でカッターとセッター、
グラウンドはタガーとラッパーがどんなダンスも巧くリードしてやるゼ!
勝手に伐ってドカンドカン落とすだけの特殊伐採のクライマーや、グラウンドの役割を判ってない特殊伐採のアホ監督に見習って欲しいぜ!
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