2020年3月18日水曜日
豊平館強剪定
札幌の街中の中島公園で
倒れたら重要文化財の建物を
傷める恐れがある。
ということで、
ニセアカシアの
強剪定を行った。
恐らく名の知れた庭師とか凄腕の木こりとか、いろんな業者に問い合わせたのだろうけど、作業中に倒れてしまったら「ぶつかる」とか「危ない」とか言われて強剪定になったのだろう。
確かに建物と近いし、
反対側は日本庭園だし、
下には回廊の手すりや竹垣も
あるし立派なマツもある。
しかも重心が建物側で
建物に向って1m程の
段差と言うか斜面。
ちょっと見た目にはヘタすると倒れてきそうなので、地上からバッサリいくには難しいし、クレーンや高所作業車も入らないし、ハシゴや脚立で対処できるコトではないし、今までのヤリ方だったら危ないと思う。
私の見積もりだと、降ろせる幅はあるし、面倒だけど有効なシステムを使って、吊って・移動させて・降ろせば、時間はかかるがそう難しくない。でも強剪定ということならばスパーも使えないし、リギングアンカーも今イチ信用できないし、柔くて粘ってでもパキンッと折れるニセアカなんで、複数アンカーでバックアップを多用しなきゃならん。メンドクセー!
ニセアカだから本当は倒しちゃった方がよっぽどラクに短期で仕上げられる。けど、何の看板も無い私の言うことなんか信用も無い。
プランも戦略も持ってない、
男らしい命がけの職人や、
トッピングカットしか知らない
似非アーボリストには手に負えないだろう。
ドスン!バタン!
なんでんかんでんバッサバサ!
っちゅうヤツらにはどうしようもない。
と思う。
まさにアーボリカルチャーの
ツリーケアの腕の見せ所って感じの現場。
でもその分工期もたっぷり貰え、普段ヤラ無いような戦略を試用できたし、10m以上・150kgくらいの大物をロードトランスファーでスタティックリギングとか出来たし、作業中にレスキュープラクティスもできたし、自分的には最高に愉しかった。
まあ作業に余裕ができたので、
途中にはエアリアルレスキューの基本。
刻々と変わる状況、
それに対処する方法の選択、
角度と重力の関係、
スナッチの難しさ、
準備するのは道具じゃなく、
知識と実践プラクティス、
色々考えなきゃならなかったり
勉強もしなきゃならないけど
最初から2系統の方が良いよ。
ってことが、伝わったかな?
やっぱり天辺はバットヒッチに
なっちゃうけど、
リギングアンカーを隣にして
ピーク力を分散して、
クライミングアンカーには
極力エネルギーが伝わらない。
タグをチップで結んで
トラッキングで制御する。
これなら切り手も安心だし
万が一にも怪我は無い。
何でもかんでも立派で高額な道具を使うんじゃなく、ベーシックの組み合わせや、知識の引き出しを多く持つことが成功の秘訣だと思うんだけどな〜。
まあ手っ取り早くコトを完了しようとしたり、知ってるコトだけで無理矢理やったり、その浅はかさが死を招くんだけどなぁ。
以前ノット強度の話をした時「じゃあ、どの結びが一番良いんだ』なんて言ってた人が居たが、それは自分が完璧にT.D.S.を遂行している前提でしょ!ロープの太さとか素材とか編み方とか、いろんなファクターがあるからケースバイケースで結びは使い分けるということをせず、「何がイイんだ」ってどんだけアホなんだ。
私の知ってる限りここ日本では、研究資料でノット強度を意識するべくちゃんとT.D.S.できてる人なんか、片手で足りる人数しか居ない。それ以前に自分の根拠を意識していればそんなアホな質問でないと思う。
救助も1つの都合の良い方法を一度やっただけでレスキュートレーニングしてる!みたいな人が多く存在してるが、チャンチャラ可笑しいぜ。
監督やグランドワーカーは、絶えずクライマーの危険を予測して助言したり、注意喚起したり、そして今のクライマーの状態で救助になった時に自分はどう動くか?とか、じゃあどういう道具を用意しておく必要があるか?とか考えていなきゃならんのよ。
プランも戦略も共有せずに、クライマーが勝手に伐って、グランドワーカーは修正も危険予測も助言できない関係だと、もうチームじゃないからね。監督もへったくれも無い、基本的に監督は優秀なレスキュアーじゃないとね。
クライマーは自分の危険を見つけてくれるグランドワーカーをリスペクトしなきゃイケナイし、グランドワーカーはクライマーができる限り楽に、そして危険少なく作業を進められるように動く必要がある。
あー登った、そこに結ぶんだ、あー伐った、あー吊られた、あー降りてきた、引っ掛かるけど無理矢理引っ張ろう、なかなか結びが解けない、みたいな作業をしている人たちが居る。クライマーが動いてるときはグランドは見てるだけ、グランドが動いてるときはクライマーは見てるだけ、1人づつしか動いてない。それじゃ時間もかかるよね。
正面から見るとあんまり
変わんないけど、
右側の屋根越しのトップが
無くなった、だけ、
やっぱりもっと伐った方が
安心だけどな。
なんにせよ、今回のように工期に余裕を持って、クライマーとグランドワーカーがプランと戦略を共有し、短く軽い対象から、ちょっと難しいしシステムにトライして、プラクティスを繰り返し、知識の引き出しを増やして行く。そしたら難しく長く重い対象もイチかバチかの危うさが無い、結果が読める作業が出来るようになるぜ。
そしてそういう人たちが育ちつつある。疲れず、楽に、愉しく、動荷重にならず、危険少ない作業ができる人たちが増えてきたら、仕事も安全に寄ってくるし、今までのヤンチャな事をヤル人たちが淘汰されるんじゃないかな。凄く嬉しいゼ。
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