2019年2月9日土曜日
アキンボー!
やってきたゼ。アキンボー!
いわゆるメカニカルヒッチの仲間で、ジグ◯グやランナーや犬の骨やジャックなどと同列。使われどこが違うがウニセンダーのツリーに特化した後継器。
ソフトマティリアルを使わないのでハイカーやレンチとはちょっと違う。
私はペツラーじゃ無いので、ジグ◯グが発売された時にもかなり懐疑的だった。イメージの中で使い難さやポジションのとり方に疑問があり、なぜ皆が期待するのか判らないし、浮き足立つ人々を見て不思議だった。
そんなに自分には合っていないし、実際凄げぇイイ!っていう人の登り方降り方を見て「楽に登れる」とか「スムーズ」なんていう言葉を聞いても、そんなに楽そうでもスムーズそうでも無いから、本当に不思議だった。
ジャックはちょっとイイと思ったけど。まぁその後周りの人が色々持ってくるので試せたが、ジグは身体の向きに追従しないし壊れるし、ランナーはスムーズだけどつぶれるし落としそうだし、犬の骨は重いし長いし、レンチにいたっては必要性を感じない。やっぱりイメージ通りというか「オレにはメカニカルヒッチは必要ないね」と思っていた。
でも、そんな懐疑的な部分がアキンボには見当たらない。コイツは良いかもな?っと思っていたので、ちょっとしたルートから手に入れることになった。
今までは自分に一番合ったのはジャックだったけど、抜いたね。
後発メーカーだけあって、SRSもMRSも使えて、ミッドラインに取付けられ、陽極酸化されたアルミニウムアロイなんで軽くて、なんと言ってもコンパクト。
小柄な小デブにはもってこいのサイズ感!
モーションとかで顔の前にターミネーションが来て、ソコから手を伸ばして上のシステムをバンザイ操作するって、ダサくない?FBIが捕まえた宇宙人みたい。システムは肘を少し曲げたくらいで目の前にあった方が良いよ。誰か教えてくれなかった?
そういう七五三のようなクライマーたまにいるよね。
コンパクトだからまあそういう人にもイイかも?
一番の欠点は、CEを取っていない。
ヨーロッパで売れないのだ。イイねぇ。
最近のデバイスはやたら注意書きが多く
読み解くのが難儀だけど、
コレには一切認証データが無く
WLL100kg/11.5≤13mmだけ。
多分そのうち認証すると思うけど。
でもそういう潔いトコ好きだなぁ。
欠点じゃないな。
何か判らずCEがイイっ!って、
ランヤードとか使っている人は、
エビデンスが無くなるから
使ってはダメですよ!
そんな理由でCEがイイって言ってる人は、他のシステムにも根拠が無いパターンが多いから、良いのかなぁ?
道具にはメリットとデメリットがあり、自分で考えて、工夫して、合わせて、、、当たり前にそうだけど、実際はそういう所いい加減で、イイ道具はイイ!とかその道のプロが使ってるから間違えないって人多いからな。欧米人並みの身体の人はいいけどね。
自分に合っていないシステムで無理なコトして、こりゃダメだって、そりゃ道具がダメじゃなく自分がダメ。ファインチューンするし、登り方だって効率的にすりゃ良いのに。
何にせよ手に入れたんで、使ってみるんだけど、その前にちゃんと読まないと、って言うか先行してマニュアルPDFがブラ下がってんで落として勉強していた。
摩擦の設定は上下のボラードの
フリクションセットで行う。
アッパー = A(-)〜G(+)で、
ロワー = 1(-)〜7(+)で、
A/1で最小の摩擦、G/7で最大の摩擦
メインアタッチメントポイントは、
オーバルのトリプルロック
(これはキャプティブ付きが無難)
チェストアタットメントポイントは、
ロックXをお勧め。
そしてしか〜し、ロープを選ぶみたい。
まあ、ダメ!っとは言っていないが、、、
WLL100kgで
サムソン/ボイジャー11.8
トイフェルベルガー/Xスタティック11.7
エール/ポイズンアイビーとブルームーン11.7
WLL130kgで
カシン/Aトラックス11.6
スターリン/シリオン・ワークプロ・HTP12.5
トイフェルベルガー/フライ11.1
トイフェルベルガー/ドレナライン11.8
エール/スキャンドレ11.7
う〜ん、この中で持ってるのはシリオンとフライだけ。HTPは7/16だし、仕方なくシリオンとフライでテスト。そしてHTP7/16とティンディルとべアールのイチョウの2種も。
ロープとの相性があるので、バウンズテストしながら、フリクションセットを行う。
これはロープの相性や、登り方のクセがあるので、個人的に対ロープのデータを取っておかないといけない。
上下のコントロールアームが接触した時に下降するなら、摩擦設定を下げる必要があり、少しスキ間が開くくらいで下降するのが理想的。
最初にロープとの相性をみて、この細かい設定がキモになり、使いやすさが変わってくる。海外のトークでもこの設定で盛り上がってるようだ。でも人の設定を鵜呑みにしても、自分の根拠にはならないからね。
最初っから摩擦強めで、上下のコントロールアームが接触する程度まで下げないと下降できないなら、それは設定ミスだ。
何か「硬ぇ〜なぁ、手が痛いよ」なんてロープの選定やセッティングを無視してレビューして、一瞬で犬の骨の方が数段イイ!なんて言っちゃう人間もいるだろな。
ステーショナリーロープシステムでは、上昇ではチェストアタットメントポイントをチェストやテザーに接続することが条件だけど、下降は外す?ムービングロープシステムでは、このチェストアタッチメントポイントは使わなくても良い。ってか、使うとどうなるんだ?って使ってみると、、、
MRSでチェストアタッチメントポイントを使うと、、邪魔なだけでした。SRSの下降時も同じ、っていうか外れるパターン。後述するが外れるように出来ている。
写真では、上下のボビンの色が若干違うのかな?って思ってたけど、これは基本的にアルマイト加工のロット差だね。作りはアメリカ製って感じで、オムニプーリーやAZTEK程の色気はない。社長が替わって....そんなことってあるかな?
マニュアルにもあるけど、「摩擦は頻繁に、そして場合によっては装置を使用しながら調整する必要がある。 登ってる間に摩擦設定を変更するには、二次アンカーでポジショニングしている間に実行する」これは、ログブックを点ける必要大だ。
「SRS→MRSの切り換えや、気温・天気・雨・雪・湿度などの条件で変化する」とも書いてあるから、ファインチューンはとても大事になる。
あと、ハンドアセンダーとの組み合わせは条件があり、フットループ付きで使うのは禁止。アッパーアームに干渉して墜落を招く恐れがある。ただMAを使う場合のみOK。
下降はもちろんセルフビレイですよね。
パニック機能が無いので、上部コントロールアームに下向きの力がかかると、墜落を招く恐れがある。そして早く降りると熱が溜まって火傷するゼ。当たり前ですね。
ライフタイム制限はないが、条件や用途によって寿命ははるかに少なくなる。 場合によっては使い捨てになることさえある。以前にテストされた設定を使用していても、上部と下部のカムは最終的に摩耗するからスリップし始める。 カムが摩耗し始めたら、摩擦設定を増やすか、ロープの直径を増やす必要がある。 機能テストに失敗した場合は、使用中止。汚れたロープでの使用を避け、長いまたは速い下降を避けることによってライフタイムは長くすることができるゼ。
そんなこんなで早速ロープをいろいろ試しで登ってみよう!
●トイフェルベルガー/フライ
まずはお勧めのヤツ。さすがにイイ感じ。
まずMRSでセット。
最大のAdjust [G7]、凄くキツい。
ロープが引けないくらいなので、
1こづつづらすが、[E5]くらいで
やっとこ動く感じ。
結局[C4]でイイ感じ。
登りは何の問題も無い、快適。
降りもアームがぶつからない程度。
フライは見た目タキオン同様だけど
カーンマントルなんで違うのか?
なぜ?フライなんだろう。
登ってからSRSにチェンジ。
普通逆だな。
ランヤで二次確保とって、、キツイ。
慣れていないせいもあるけど、
まあロープが入れ難い。
しっかりボディを伸ばさないと、開かない。
上下のアームをつなぐパンタグラフ機構で
途中で開かないようにできている。
雪が凄く深かったんでコグのも大変で
スポーツハーネスにしたんだけど、
コレはやっぱり失敗。
●スターリン/シリオン
フライよっかちょっと細身のフィール。
Adjust [E3]でイイ感じ。
これはSRSで登り降り。
上のアジャストはキツめで
下は緩めが好みかな?
試しに[E2]でやってみたが
コレくらいでも充分。
ロープ上に停まるっていうより
効率良く動くには下が緩い方が良さそう。
●*スターリン/ティンディル
ここからは未承認のロープ。
Adjust [D3]でイイ。
シリオンとそう変わらないフィールだから
設定も同様で良いのか?
ハンドアセンダーでRADSシステムで登る。
フットループを着けたいけど
それは、ダメ!なので
末端をフットアセンダーで登る。
こりゃあんまり良くない。
ハンドアセンダーと末端を掴んで
同時に動かすからメリットがあると思うが こんな面倒なことをしなくても
ロケットとフットで良いと思う。
でも、今までで一番好きかなぁ
●*トイフェルベルガー/タキオン
コレも未承認ロープ。
私の周りではタキオンを使う人が多い、が
あんまし良くない。
硬い感じかな?
設定は、結局[A1]にした。
まあ[C3]くらいで登れるんだけど、
効率良く動けそうも無い。
そして下降がモノ凄く硬くなり、
ガチっとアームがぶつかる程引かないと
降りていかない。
試しに[A1]にしたら調子良かったよ。
でもこれ以上ユルくできないから
作業中汗かいたり、雨で濡れると
メッチャ硬くてうっとうしいだろうな。
●*べアール/ビロバ
重くて持参できなかったんで、
ここから室内。家中のアンカーで登る。
メカニカルデバイス用にと作られた
ツリーワークロープ。
ちょい太く感じるけど、軟らかいんで
スムーズだわぁ。
[C2]で昇降しだか[B1]位でも良い。
緩くてイイ。ってか緩い方がイイ感じ。
最初はMRSで登る。
一応マニュアル通り、ハイドラで。
ターミネーションがアイじゃ無いので
このくらい間が空いた方が良い。
さっきはスポーツハーネスの
ビレイループに2枚ビナかけたけど
でも、ハイドラ好きじゃね〜し。
●*スターリン/HTP7/16
最後は今までとはちょっと異質の
セミスタティック7/16。
このロープめっちゃ好きなんです。
アジャスタは[D5]
何となく、設定がキツめユルめの真ん中が
いろんな場合に対応できそうで良い。
っと思っていたが、正にこの設定[D5]
そしてMRSはどうしたものかと
コングのブレブを使ってみると
相当良い。
MRS←→SRSの切り換えも、
ノット干渉問題も解決する。
ロープの特性上ちょっと扁平になるが、
非常に安定していて、今のところコレだ!
って感じのロープが見つかった。
未承認だけどね。
更に、SRS専用のセミスタだから
今まではフリクションヒッチでもMRSは
出来なかったが、コレなら両方行ける。
セミスタティックを使って
SRSでサクッと登って、MRSで作業。
正に理想的。
あとはアイ問題だな。
HTPアイ加工はファクトリースプライス
しか無いもんな。
ベーシックアンカー作りに登る時とか
慣れたシステムでチョイチョイって
でもCE取ってないしな。
まだファーストインプレッションだが、幾つかロープを試してみて、また幾つか登り方も変えてみたが、アキンボーは私が理想としていたメカニカルデバイスにかなり近いんじゃないかい!という結論になった。
コンパクトで操作性も良く、極端な動きではあるけれどユルユルで使える。ロープ上に停まる為のモノというより、効率良く動く為のモノで、動く時にFF0.3以上にならないように絶えず張っておくクセがついていれば、ユルユルの方が良い。相当武器になる。ランヤとしても有りだし、セカンドシステムとしても有用性を感じる。
チェストアタッチメントの穴は、当初シャックルが着いていたが、軽量化やキャンセルの容易さから、荷重がかかると抜けるように故意に重さに耐えられないように設計変更。下向きの力がかかると強制的に解放する仕組み、コレが素晴らしい。欲を言えば向きというか90˚ずらしてヨコ向きにして欲しかったかな。ってかRockXより直接テザーを掛ける方が良いかな。今回は35cmのスリングをテザーとして使って見たが、ジャンプコード的な方が良いかも?
その他感じたことは、ロープセットが慣れるまでちょっと面倒。新しいIDとかもそうだけど、簡単にスルッとは入らない。
氷点下10˚以下の時には、グローブ履いてないとヤバい。ツルツルの表面に肌を持って行かれる。ロープセット時に慣れなくて、グローブ外して持ったとたんに手に乾っ付いた。
コングのブレブがめっちゃイイ。SRSからMRSに切り替えて作業する時には、もってこい!ケビングやキャニオニングでエイドの長さ調節とかで使う道具で、本来の使い方じゃ無いからNGだけどコレが便利。(UIAAでもENでも使い方が違うので保証は無いのでマネしちゃダメ)でも今はもう販売してないんだなぁ。
それから、スポーツハーネスで、腹筋プルプルしながら、揺れ回転しながら、逆さま近くなって、変則的な姿勢で写真を撮るのはツライ。何かこう広角のカメラだな。やっぱヘルメットカメラかドローンかな?
今ギンコを人に貸してるんで
テストしてないが、
何か感じとしてギンコがかなり良さそう。
早くテストしたい。
一応メーカーが確認している
ロープの中では、
スターリン/シリオンが最も好き、
未承認はスターリンのHTPの7/16
本当はコレが一番好き。
良いではなく好きだからね。
くれぐれも、私感ですからね。
楽しいおもちゃを手に入れた
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2 件のコメント:
はじめまして
岡山県で樵してますhaseと申します。
いつも拝見しています。Akimboの到着を待っています。
気になるのはロープとの相性で、私はタキオンメインでやっており
文中にもありましたが、「タキオンでは使えない!」
という動画を見て焦り、ドレナラインをHBに注文しました。
この記事は非常に参考になりました。ありがとうございます。
タキオンは使えない、ではないです。
私は確保が欲しいときだけ効いてくれれば良いので[A1]でも滑りにくいのは
ちょっと好きじゃ無いというだけです。普段はズルズル滑るぐらいが好きなので。
講習をやってると、商売ベースのショップに踊らされたり、誰それがイイって言ってたからって、
道具を手に入れるのはどうか?と思うんで、小柄で小デブな自分の登り方には合わないってだけです。
ドレナラインは使ったこと無いけど、カタログデータだけでもタキオンより太いし、
個人の使い方で違うから、色々試してからロープを決めた方が良いですよ。
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