2020年4月23日木曜日

私の根拠

私はその時点で自分が知っていることを伝える講習をやっています。
コンタクトしてくれた方に、何を知りたいか?どんな希望があるか?を伺ってから、
スタンダードはあるものの、希望に合わせて随時講習を行っています。
例えば私の作業を見て、ソレを教えて欲しいという方々に対して行っています。
簡単じゃありません。それでもシツコク取組めば誰にでも出来ます。
そしてその講習は、何の保証もありません。その講習を受けたという修了証のみです。
だから、日本のロープ高所作業の法規には準拠していません。するつもりもありません。
私はこのような法規で作業者の危険回避が担保されるとは思っていないからです。
そういう証や免罪符が欲しいなら、他所に幾らでも在るので勝手に手に入れてください。

私の根拠は自分です。
自然で仕事をするんだから自然から学んで理にかなった自分の根拠を持つことです。
有名な組織でもないし、立派な看板などはありません。
だから、そんなコト言っても誰も信用してくれません。でも受講の希望が来ます。
私は優れた実践の為に、いろんな師匠に師事して経験を積み、実践して失敗して、
自分で自分なりに再構築しています。
またリソースとしては、大まかにRR 668 に有ります。
ただしコレは2008年の公開情報を元にしていますから、
その後Tree Work News や Arb News などで情報をアップデートして
AFAG401/308/402 や INDG401/174/317 などを根拠にしています。
基本的に一般にも情報を公開するイギリスの HSE が大元です。
最近はICoPという、作業者の指針が出てるので、それを参考にしたりしています。
(これが近々アップデートするらしく期待大!世界では2本使いが常識となりつつある)
実際作業していて危険を感じたから、産業用ロープアクセスの知識も知りたくって
その筋の師匠に聞きまくって、一緒に繰り返していたプラクティスが活かせる!
一流のアーボリストでも、モーションはフルボディに出来ないゼ。

RR668は主要な結論を網羅しているとは言えまだまだ発展途上で、
今後のトピックに注目するべきとあります。
だから日々そのようなトピックに敏感に反応し、考慮し、
必要があれば自分で実践して、自分なりの感想やデータを補完します。

アーボリカルチャーの中のごく一部のツリーケアに関してだけでも
RR668以外にも相当な分量があり、
●使用される作業慣行と評価
●現在のリギングと解体作業の評価
●ツリークライミングオペレーション
●トップハンドルチェンソー
●エアリアルツリーレスキュー
●カラビナセーフティ
●仕事上のPPE
●リフティング機器
●チェンソーワーク
●高所での作業…..etc
興味深く、少しでも危険回避に繋がる情報に溢れています。
ツリーケアに特化した実験データの公開部分だけでも山ほどあります。
そういう世界的にみても有益な情報を根拠にしています。
(とは言っても英語が出来ないんで、基本Google翻訳頼みですが…それでも)
ほんの数時間で終了する、道具に終始するような概要だけの、
寝ててもイイ日本の特別教育とはワケが違います。

例えば、全体の目的として、
#解体/リギング作業を行う前のリスク評価の実施
#リギング作業の計画と組織化
#リスクを軽減/最小化し、事故を防止できる手段
#適切な作業機器の選択と構成
#さまざまなリギングシナリオでの安全係数の評価
などが挙げられています。
リギング技術とそれに関連する知識体系の認識が発展し続けていることを考慮して、
アーボリストの為のベストプラクティスの実践に役立つ出版物を開発するための
出発点として提案されています。


私は自分の根拠としての
ベタープラクティスを
satoc books として
提案してます。
ベストじゃなく、ベターです。
そして前挙の絶えず更新される情報もあるので、その都度アップデートできるしまうまプリントで提供しているだけです。
これば、正しい手法だったり、
儲かる技術だったり、
成功の秘訣ではありません。
単純に私が噛み砕いた上で、
これって良いかもしれない?っていう私の考えです。

私個人として、日本のいろんなロープ作業の講習を受けた訳でもないし、
日本の法規に準拠した樹上伐採を教えてくれる(ホントか?)団体だったり、
国際的なソーシャル団体の会員という看板を利用して稼ぐ奴だったり、
道具を売る為の手段として一部のソフトウエアを提供するネットショップだったり、
安全管理がマニュアル化されてる画期的な方法を紹介する組織だったり、
YouTubeの情報をアマゾン交えて紹介する集団だったり、、、、
そういうのじゃありません。

私が利用する HSE RR688 リソースでは、
潜在的な危険を承知した上で、安全なリギング戦略とシステムを選択します。
作戦の選択は、効率や儲けではありません。クレーンが入るならクレーンです。
足場か組めるなら足場を組みます。でもロープはハシゴより安全です。
何も危うい方法を使う必要はありません。
そして登る必要があれば、勿論それまでにはオフサイト/オンサイトの準備、
危険の症状/構造上の安定性/腐朽菌など視覚的な診断、等が求められ、
自由落下なのか否か?
対象上にリギングアンカーを構築できるか否か?
降ろす場所を確保できるか否か?
によってリギング方法を選択します。そして

クレイドル

ロードトランスファー

ロードトランスファー(ドリフト)

リディレクト

リディレクト/バットロープ

部分リフト

スピードライン(ドリフト)

チップロープ

フローティングリフト

スナッチ/バットロープ

というように出来るだけ安全性の高い方法から選択の可能性を鑑みて
様々な要因からシンプルな方法が無理なら徐々にテクニックの難易度を上げて行く。
難易度が上がれば、複雑な公式も理解してより正確な見積もりが必要で、
シビアな器材選択になり、行動計画をチーム全体で共有して、
最悪の事態を想定した救助計画を見積もり、
やっと登る。
登った後も荷重方向や角度をチェックして、上下でプランを確認し修正して、
シミュレーションチェックして、やっと作業になる。


実際はある部分はしょったり、
経験則に頼る部分もあるが、
実際にこうやって
作業している人が
何れだけ居るだろうか?
上図のような公式を用いて
耐荷重を計算している人が
何れだけ居るだろうか?

それだけリギングは難しいのである。
それだけのことを管理者は淡々と行って、しかもチームで共有する。
場合によって管理者はレスキューを行える知識と技術を習得している必要がある。
だからリギングの戦略でスナッチ/バットロープなんて一番難しいのよ。
じゃないとトッピングカットなんて出来ないはずだ。

かくゆう私も上記の公式なんて使ってない。出来ない。意味が判んない。
だから出来るだけ落下させない。落下係数は0.3を超えないように考える。
超える場合はリダンダントシステムになる。
冗長系でファクターを多めに見積もる。
でも多めに見積もったら、グラウンダーの操作が難しくなる。
だから軽く短いものから体感的な経験則を蓄積する。
それにドスンバタンとやる方法は道具にとっても良くない。
1,000回使えるロープでも、
トップカットの落下係数2のショックロードを繰り返すことで、
すぐにエネルギーが堪って破棄基準になる。
ロープが2〜3回で破棄基準に達するようなもったいないこと出来ないもんね。
そういう作業を繰り返している人は、道具の破棄基準の意識すらない。
まだ買ったばかりとか、キレイなら良いみたいな、幻想がある。
以前に見た目でコアがどうにかなってるロープを使ってる人がいて、
ダメよって言ったら、これ買ったばかりだから大丈夫だ!って言ってたモサが居るけど、
そういう意識で安全を担保出来るはずが無いもんネ。

簡単に出来る作業でも、知ってるコトでも、セオリーを一度分解して再構築できないと、
そして最初から多様な戦略を承知していないと
イザって時に使えませんよ。何でもトッピングになるよ。
昔ハイラインは一番難しいからコレさえ覚えていれば何んでも出来る!
って言い切った人が居たが、そんな感じなのか?
有益で危険の少ない方法があればそれを選択した方が楽だし効率も上がる。
そして最悪の事態は何時でも起こりうるから、作業は全員がシステムを理解して、
登らないで計画見積もりして全体を見るオフィサーは
レスキューだけ考えていて、何時でも行けるようにしておくんだよ。

こうやって作業を組み立てれば、肉体的に厳しく危険性が高い作業も、
安全なリギング戦略とシステムで適切なリギング手法の選択できる。
知識が全てとは言わないが、知識が無ければ危険度が増すなら
バカだけど勉強するよ。そしてフォースとテクノロジーを有効利用するよ。

最近はスマホで関数電卓もあるし、手書きの公式に変数を代入することも出来る。
カメラで角度や荷重割合を測るアプリもある。
ネットで調べれば水分量や係数も判る。割りと正確に見積もれる。
YouTubeじゃなくてこういう所にスマホを活かせるよ。
より危険が少なく肉体的にも厳しくないやり方は直ぐそこに存在するんだよ!

高校で数学は3年間赤点の高卒でも、学ぶ姿勢とザックリとした力学とスマホがあって、
覚えようとする意思があれば、私はそんなに難しいコトじゃないと思っている。
名前だけの大学なんて出なくても十分だ。
もうジジイになってる人が、この方は〇〇大学出身だ!って言ったって、
18歳以降一切学ばず勉強もしてないって宣言してるようなモンだよ。
バカな自分でも理解できた方法で、しかも本来デザイナーだから、
それを判りやすい絵や図で解説しながら伝える初心者向け講習をやります。

私もまだまだ最初の数歩なんで、伝える扱う対象も小さいです。
1トンを超えるような大物をどうにかするようなことも実際にはやりますが、
目的は凄技を広めることじゃなく、危険を取り除く作業です。誰でも取組める知識です。
1/2インチロープと3/8インチ台付けで扱える作戦を提案します。
100kg1回で降ろすなら、
50kg2回の方が、
30kg3回の方が、より知識は深まると思います。
リフトだって100kg程度ならGRCSとかポータブルウインチとかのマシンは必要ないので
プーリーとAZTEKで十分です。
基本は軽くても同じ動きなんで、サイズアップは後々自分で組み立ててください。
軽く短いモノが確実に扱えればサイズアップは難しくありません。
少しずつ基本を積み上げて行ければ、難しい技術も習得できると思ってます。

凄技をマネするんじゃなく、手っ取り早く作業を終わらせるんじゃなく、
軽く短い対象で、ポジションや伐りを失敗して、それから学ぶために、
繰り返しプラクティスするために、
まずは、理にかなった自分の根拠を持つことです。


*文中の「アーボリスト」「ツリークライミング」は商標登録されている日本の権利を侵害するものではなく、世界的に流通する語句の、Arborist, tree climbingを和訳した一般名詞です。

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