2021年1月4日月曜日

自分の作業負荷制限

最近機器にはMBSと共にWLLが表示されてることがある。
モノによってはWLLしか無かったりする。
まあこれをベースに作業計画や機器の適合性を組立てるので、
自分の作業に適切か?を考えないとイケナイ。強度不足は論外だよ。
ある講習で使ってたとか、流行ってるからとか、誰かが使ってるって理由で、自分の作業に当てはめるのは危険だよ。


作業負荷制限を何に持ってくるかに依って
そのタスクの機器選択に繋がるし、
あるタスクを遂行するために
必要な作業負荷制限を換える場合もある。

ただ単にWLL値が高いモノ選びは、
逆に必要以上の強度になり、
オーバースペックで重くなり作業が滞る。

自分が行うタスクに合わせないで
いつも使ってるからっていう理由で
機器を使うと、操作性も良くないし、
作業が増えるし、遅くなるし、
危険が増すよ。
16mmのリギングロープは、重いしカサ張るし、その強度が必要な時だけにしないと、要らない力を使うことになり、疲れるよ。

先日あるグループで「みんな自分の作業負荷制限はどのくらいでやってる?」っていう質問があり、世界中の作業者が、自分たちはエリアで制限されてるとか、ウチの会社は〇〇だよとか、国の基準は〇〇だけど会社では〇〇で、チームでは最低〇〇でも自分では〇〇で行ってるとか、会社で行うタスクごとに分けて考えてるなど様々な回答があった。

国家の基準と会社の基準とチームの基準と個人の基準が全部別々で考えてる人もいる。

更にタスクごとに分けている会社っていうのは、スタティックリギングでリフトでSF5、ロードトランスファーでチップならSF10、バットヒッチならSF25、30cmを超えて下がるダイナミックならx3で考えてるらしい。 30cmを超えて下がるダイナミックって、殆どそのくらい下がるって考えられるんじゃないか?そしたら全て3倍にするって、最悪のシナリオでトップカットなら75倍の安全率を適用するってこと。

ロープ強度がMBS35kNのシリウス12mmでも、ハーフ+ランブーで21kNになる。するってぇと対象が30cm以上落ちるバットヒッチのトッピングなら安全率を75:1にするなら0.28kN以下の落下エネルギーに抑える。ってぇことは対象を約28kg以下に抑えなきゃならない。って会社のレギュレーションとして考えてるらしい。 会社としての作業負荷制限が、約28kgって、トッピングカットはそれほど大きなエネルギーを生む最悪のシナリオだってことだ。

恐らくこのくらいの対象しか扱わないってことは、ポータラップの操作も多くて0.75巻きくらいでないとロープが流れないんで、余計難しくなるんじゃないか?って聞いたところ「会社のレギュレーションだから、個人の作業負荷制限としては50:1で考えてる。」という応えが返ってきた。

公式にMBSとかWLLとか出てるけど、最小破壊強度(MBS)を安全率(SF)で割った数値Safety Working Limit (SWL) を自分でチームで会社で独自に設定している。
自分でSWLを決めるっていう。

そう国家の基準も会社の基準もあるけど、最終的には経験値を加味して個人の基準を活かしてるってことらしい。ダイナミックバットヒッチならx2で考えてるってことらしい。
対象を短く軽くして回数が増えると作業が増えてしまうんで、実用範囲として約42kgという安全率を考えて時間を半分程度にしている。
もちろんフォールファクター2で落下距離が30cm程度ならだけど、個人的にチームや自分の組み立てが出来ている!インディビディアリストな世界。


ある疑問があり、
このハーフ+ランブーなら
21kNという数値は
何が根拠なのと聞くと、

ロープを買ったとき
こういうシールが張ってて
作業仕様によっての
MBSが表示されてるらしい。
そんなの常識でしょって言わんばかりに画像だけ見せてくれた。
詳しく訊いてはいないけど、メーカーや販売店ではこの根拠をいちいち提示し始めてるらしい。メーカーとしても製品のMBSだけでは、作業負荷をギリギリで考える奴がいるんで苦慮した上の表示なんだろう。
まったく同じ製品でも「これまで良し」と考えてたことが、時間経過によって改変が有るってことだろう。だからロープを新しくしたら毎回マニュアルをチェックしないと、辻褄が合わなくなる。

新製品に飛びつくだけじゃなく、情報は絶えず新しく変わる可能性がある。
以前のマニュアルの紙は変わらないけど、その情報の中身は変化する。

メーカーは絶えず研究開発やそのデータを蓄積してるんだろう。
そしてその情報をユーザーに提示している。
メーカーが情報を変えるってことは、何かのトラブルがあったってことだろうからね。
最近ENだってナンバーの後に2016とか年号が入っている。

そして機器に表示されているMBSやWLLには、マニュアル提示の条件や状態がある。角度やシステムの制限がある。ハーフ+ランブーなら表示のWLLより低下した作業負荷宣言があり、それに合わせた自分の作業負荷制限を自分で設定しないとね。

モノが売れれば後はどうなっても知らんぜっていう販売店が、過去の情報を元に組立てただけで最新の講習とか、これこそ正しいやり方なんてやってるけど、ツリーワーク自体がまだまだ過渡期なんで、それはある時の情報を元にしてるってことを個人で知ってないと、新しい機器には適合しないかもしれない。
YouTubeで眺めた方法なんて、条件も状態も全く判らんからね。
やり方だけ学んで、1つのメソッドしか知らないのはとても危険だよ。


スパーあるあるなんだけど、モノを買って嬉しくて、これ見よがしにスパーを逆の脚に着けた写真を投稿してる奴がいるけど、外側にギャフが有ってどうやってソレで登るんだ!って、登り方も知らんでとりあえず買うっていうヤカラはどうにもならんね。
道具はタスクの必要性があって、出来る作業を効率良く仕上げるために機器を手に入れるものだからね。カッコ悪い。それじゃあトレーニングすら出来ないけどね。

スパーとかトッピングカットは、過去には出来ないことが出来るようになった凄げぇ技術だけど、それは全体の1%有るか無いかのニッチで危険な方法だから、最悪のシナリオだから、逆に今は出来る限り使わない方法になってるから。
作業全体の1%以下のトッピングカットの為に、スパーなんて高い道具を買ってペイするには、そうとう数をこなさなきゃならんよ。そのうち機器の破棄基準になっちゃうよ。
国民の税金で、年度末で予算が余ったからとりあえず買うって道具じゃないからね。
そう言うおかしな奴らのおかしな情報に流されないでね。

それより汎用性の高い繊維製品を、絶えず新しくアップデートしてカタログ表記の強度基準に近づけた方が自分の身のためだ。個人が考える自分の作業負荷制限になると思うよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿