2021年1月14日木曜日

条件と状態

自然を見て歩くのが好きです。毎日違う発見があります。


私は作業が無い日は毎日森を歩く。
家で仕事をしてると、通勤が無いから、
切り返し難いってこともあるけど、
何より日々の自然の変化を日常で感じる
方が好きだから。
今年は去年と違うとか、昨日と違うとか、
当たり前だけど条件と状態が違うから
結果も変わってくる。
自然を相手に仕事をするって言うことは
そういうことだと思う。

今シーズンはモモンガに出会う事が多い。
今年に入ってからはほぼ100%
エサとして狙うヤツが増えると
今後はフクロウが増える。
よく彼らと出会うために「巣の場所だけ教えてくれ」って言われる事が多い。
まあ、場所だけ教えちゃうと、そこに怪しい人間が群がるから、嘘を教えたりするけど、場所だけ知ってどうするのかね?

イメージとして樹洞からひょこっと顔を出す姿が象徴的だから、それを見たいと思うのか?それしか知らないからか?
そういう所が見たいのかもしれないが、それは逆に大変だと思う。
あの場所の広場に行けばミッキーマウスと会える、って事と同じ感じで、人間が人工的に作った場所で誰かに会おうというのと全然違うからね。
そんなんなら開園時間の動物園に行った方が良い。それと一緒だから。
スターが登場するのを裏口で何時間も出待ちするほどヒマじゃない。

だいたい「巣」ではない。「寝ぐら」だからね。巣と寝ぐらは、全然違う。
夜間の方が外敵に狙われる確立が低いんで、夜に盛んに食い物を探して飛び回る。
そして夜が明けると、慌てて近くの穴に逃げ込む。だから大きくて目立つ穴に複数個体が入ってる事が多い。逆にそこにいろんな遺伝子を持った個体が集まるんで、カップルが成立して、2頭で巣に向う。いわゆる合コン会場だ。お持ち帰りする穴だ。

まあそこで待っていれば、何時かは出てくるんで、出る時外の様子を伺うんで、可愛らしく穴からちょこっと顔を出してみる。
でもその瞬間を何時間も待つ程ヒマじゃ無いんでスルーするんだが、何処から聞いたか、穴の前ででっかいバツーカ砲を構えてる人間が何人も居る。



そんな奴らを尻目に離れ、直ぐ隣でも、
その時期にイイ樹があったりすると、
ソコに居るもんね。
動いてエサを喰う仕草は可愛いね。

狙われる猛禽に警戒しながらも、
コッチがジッと動かないで観てたら
あまり意識されないから、
盛んに動いて掴んでムシャムシャ。

この時期は繁殖前で喰い走ってるから
陽が高い青空の明るい時間に
良い感じで観察できるもんね。

寒そうにすぐ横の穴の前で
ず〜っと待ってる人間の気が知れない。
野生を観察するなら、対象の生態をよく知らないと。
生態を知らなくても、条件と状態を見極めなきゃ。
次にどうするとか、周りの環境の状態とか、前日の状況はどうだったとか、どっちに風が吹いてるとか、今偏食してるモノは何かとか、、、まあ色々有るんだけど、私は今年になってから森に入るたびに出会える。

だから穴を見てても、時間がかかって、寒くて、辛くて、疲れる。
そんな無駄はしたくない。
疲れて辛い作業をするくらいなら、楽で効率良く時間がかからない方が好きだな。

自然を見るのが好きだから、何かに出会うワクワクがあるから森に入る。そして当然鳥や動物出会えない日もある。
いつも同じ結果が得られる訳ではなく、鳥や動物に出会えなくても、フロスト状の霧氷を見たり、春に向けて膨らみつつある冬芽や雪が積もった木々の美しさに感動する。自然相手に遊ぶことが楽しいから、一様の結果なんてない。
例えばここに行けばワカサギが◯匹釣れるってことを、売り物にして客を集める自然を喰い潰すような消費型のアクティビティにはウンザリだ。数を売り文句にするなよ。いつも結果が得られるのは人工物だけにして欲しい。
条件と状態を見極めて楽しめよ。楽しめる自分に成れよ。
そうやって北海道の自然をダメにするなよ。
条件と状態を知れば、もっと良い結果が待ってるよ。

木を伐るんでも、相手の条件と状態を知れば、セーフティに効率良く作業できるよ。
生き物じゃなく、木だから、もっと簡単だよ。少し勉強すれば効率は上がるよ。
相手が自然だからね。

条件と状態を鑑みて、的確に判断して、戦略を組立てる。
ツリーワークと一緒だよ。

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