2021年1月13日水曜日

キンク

私はキンクが嫌いだ。
それは著しく作業を面倒臭くさせるから。

結構な重さの対象木のリギング操作で、落下のピーク力を巧く減衰させ、動きを制御して「やった~」って喜んで、後は降ろすだけって下げてる途中で、リギングロープがキンクしててポータラップにクチャクチャって絡み着いた時、もう最悪。
無理矢理なんとかしようとしても、重過ぎてどうにもならない。
その間にズルズル下がってポータラップが抜き差しならない状態になる。
一旦確保して、倍力でリフトして、絡み解消してから降ろすっていうタスクが増える。
時間がかかる。余計な力を使う。変な動きになる。こんな無駄な作業はしたくない。

これはオペレーションが始まる前に、グラウンダーがチェックしておく項目だが、その他の作業で忘れちゃうとか、たいしたことないだろうと甘く予測していた結果だ。
ポータラップは酷くキンクするからね。

それじゃなくてもキンクは良いことが無い。
登ってても身体が廻っちゃうことがあるし、バックアップと絡んじゃうし、変な力がかかってるってことは、それこそ強度低下しちゃう。



キンク[kink]って、
ネジレとか絡みとか身悶えとか、
作業としては芳しくない状態だけど、
性質としてはノットとそう変わらない。

ノットは、
バイトとループとラウンドターンの
組み合わせで出来てる構成なので、
いわゆるキンクさせて
引っ掛ける場所を作ったり、
キンクさせて締めつけて止めたり
っていう方法のひとつ。
キンクとノットは親戚みたいなもの。

一方はとても有効だけど、
一方はとっても厄介だね。
ノットは作業にとても有効だけど、必要の無いところには絶対に要らない。
短いロープを繫いで、突然現れたノットパスほど要らない。

キンクを解消することは、ツリーワーカーっていうか、ロープワーカーにとって作業を円滑に恙無く遂行するためにとっても重要なことだと思う。
ロープをバックから繰り出している時に、一緒にバッグごと付いてくるってイラッとするでしょ。鬱陶しいでしょ。それをさもひとりでにバッグの中で絡んだように扱う人居るけど、それは使用者本人がメンテナンスしてないからだからね。
突然の雨や日暮れによって慌てて回収して収納する場合もあるけど、あ〜酷い雨だったねとか言ってそのまま翌日使ってるからでしょ。
濡れたロープはメモリー効果も相まって、キンクしやすいよ。
そうなったら夜に明るくて雨の当たらないガレージとかで、一度バッグから出してキンクを解消して改めて収納する日常のメンテナンスをしてないからでしょ!
出来れば陰干しした方が良いよ。そして連続翌日に使わない方が良いよ。
一度荷重が載ったロープは、アンカーから降ろす前に、振ればイイよ。
振れば少しだけロープの堪ったエネルギーが抜けるよ。
そしたらあまりキンクせずに収納できるよ。
使い終わったロープは一度全部バッグから出して、巻かずに8の字で収納すると、キンクしないよ。次に使うときスムーズに引き出せるよ。

日々のメンテナンスだよ。
そういう基本を疎かにする人多いね。

スローラインがキューブの中でコタコタに成ってるのイヤでしょ。
作業前には一旦スローラインを真っ直ぐに延ばしてからの方が良いよ。
キューブの中でメモリー効果が働いて直に絡むからね。

ロープを扱う仕事をしているのに、
バッグの中でコタコタにキンクした奴がいるけど、信じられない。
手の中でアレッ、今キンクしてたなって思うだけで、イヤな気持ちになる。
だから人のロープは借りたくないんだぁ!ってことになる。

アーボリストロープは、派手な色が多い。
樹間で複数のロープを使う場合に、判りやすいように、タスク中に判断しやすいように、視認性が高い色合いが都合がいい。
それから他の産業用ロープにはあまり観られないが、結構の模様っていうか、ストランドの色を変えたパターンが多い。
これはキンクが判りやすいように、気付きやすいように、キンクを解消しやすいように、 いろんなカラーストランドのパターンがある。

みんな大好きタキオンなんかは、何色あるんだろう?
メーカーによって販売店によってそれぞれ特徴を持ったパターンや色がある。
どれもキンクが判りやすい構成だ。
レクリエーションで使う16st.のロープなんかは、縦に長く色替えしてあることが多い。 スリーノットシステムなどの、トラディショナルクライミングでは、キンクがとても厄介になる。24st.のヒッチコードシステムでも、降りるとき均一な動きに成らない時は、大体キンクしてる。

ロープのキンクは、末端まで延ばしてやればほとんど抜ける。
使う所だけじゃなく、必ず一旦ロープバックから全て出して末端に向って延ばしてやる。できれば広い場所で真っ直ぐに延ばしてやるといい。
スローラインなんかも、アレはホローブレイドなんで、使い終わった後に広い所で爪でシゴキながら真っ直ぐに延ばしてやる。
それだけのことで次の作業はスムーズになるよ。

キンクが起きてなくても、私は作業が終わったら、降りてきたら、荷重が抜けたロープを左右に振ったり、揺すってロープに蓄積されたエネルギーを抜いてあげてから、バッグにしまうよ。作業性も上がるけど、ロープが長持ちするよ。
キンクを放っておいてバッグにしまうと、バックの中でネジレや絡みが記憶させられる。メモリー効果ってヤツで、これはロープの寿命にも関わる。

ギリギリ暗くなるまで仕事してるから、早く帰りたいから、そんなメンテナンスをしない人間が多いけど、バッグの中でコタコタが記憶され、そして次に使うときコタコタのまま使ったら、どんどんキンクが進んでいく。そして寿命も短くなる。
まあメンテナンスしない人間は仕事も遅くなって、まさに悪循環だね。

簡単なメンテナンスで寿命も長くなり作業性も上がるなら、そんな良いことはないよ。

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