2020年11月27日金曜日

当たり前の危険回避

世界的に承認されたセオリーで、当たり前に根拠ある危険回避を行う普通のロープ高所作業をツリーワークと呼んでいる。
私はその特性を揶揄する意味で、特殊な思考回路の人が、根拠なく俺は凄いだろっ!って行う危なっかしい特別な作業を、特殊伐採と呼んでいる。
ヤリ方の根拠が通常考えられない特殊な方法って意味でも使ってる。

バットヒッチングでトッピングカットは
ツリーワークのほんの一部だからね。
どうしても出来ない場合にのみ
ダイナミックに落とすしかない。

でも落下係数2で落とすから、
そのロープはもはや破棄基準だからね。

その落下係数のピーク力を
ロープ操作でエネルギーを相殺して
フォースを減衰させて
確実に止める技術が必要だからね。

他に方法があれば危険回避するのが
ツリーワーカーだからね。
これだってトッピングじゃないよ。

でも「客に特殊伐採と言ったら、聞こえがイイ」っていう人も居る。
特殊って言った方がカネが貰いやすいって。
特殊能力がある人みたいなイメージだけど、
特殊なニンゲンの命がけのアホ作業だからね。
まあ客に聞こえがいいならそれでもイイけど、そういう客にもちゃんと説明できないと、危険回避が当たり前の根拠ある伐採作業だってことを明確に伝えないと。
未来はないよ。
私は言い方だけでも換えたいと、
ツリーワーカーと特殊伐採の違いをしつこく言ってるね。

どっか地方に呼ばれて作業してると、地元の造園とか木こりがどこからか聞きつけて見学させてくれって言われる事が多いけど、やってる作業は淡々と地味なスタティックな伐りや吊りだから、緊張しないように和気藹々と声を掛け合い、なんか拍子抜けっていうか、もっと派手なドッカ〜ンって作業を期待しているようだ。
その作業は実に危なげなく、大きく動かない作業だから、素人が見ていてもこれなら安心して見てられるって、一体どんな特殊で派手なことをすると思っていたんだろう。
F1の観客は少なからず事故を期待しているらしいが、そんな感じか?
ドッスンバッタンって派手なパフォーマンスが無い仕事を見たら、俺は何十年も林業をやってるってヤツが「簡単そうだな」って言ったりするけど、ソリャそうだよ簡単だよ。
誰でも出来るよ。だから特殊伐採じゃないんだよ。

そういう鼻息粗い人には、セオリー通りやればそんな難しくないですよ。って言うようにしてる。危険回避できるならその方が良いでしょ。
その為のプラクティスや研究は惜しまないけどね。
おっしゃる通りですよ。特殊伐採じゃないからね。

誰でも出来る作業だよ。力が無く小さな小デブのジジィでも出来る。
海外ではもっと身軽な女性アーボリストが増えているよ。
女ってだけで聞こえが良いから看板娘でお飾りで監督さんやってる訳じゃないよ。
チームで適切な計画してシステム組んでチェンソー持って必要となればレスキューできるフィメイルアーボリストがいっぱい居るよ。

大きなチェンソー持って力でねじ伏せるような、自然に生き物に敬意を評さない、伐るだけの殺して倒すだけの派手なパフォーマンスする人じゃないよ。
そりゃぁ高さ30mの杉を樹間幅1mの所へ見事に倒す木こりは凄いと思うけど、凄い技術だと思うけど、そういうのじゃない。
以前に、そんなにゆっくり倒したら架かり枝になる。って言われたことがあったけど、架からないように力でねじ伏せるんじゃなく、架からないようにシステムを組むんだよ。力で命をねじ伏せる、息の根を止める人の先にあるロープ高所作業じゃない。
伐倒もあるけど、倒せないから登るだけ。倒すスペースが無かったり障害物があるから、登って、チマチマ伐って軽くして、ゆっくり静かに降ろすのがツリーワーカーだからね。一人じゃ出来ないから、臆病で慎重で根拠をしっかり持った、ツリーワーカーだからね。 特殊伐採じゃないよ。

でもそういう凄腕の木こりがすぐに登りたがるんだよね。
登り方だけ判れば、あとは教えられなくても出来るって、木を伐るのはもう何十年もやってるからお手の物だって。

貴方は地面に立ってるでしょ。片足でフラフラしながら同じことが出来るの?
ガッチリ両足て踏ん張れるでしょ。根張りを見ていろんな方向からチェックできるでしょ。結ばなくて良いでしょ。吊り上げて移動しないでしょ。走って逃げる所あるでしょ。降ろしてから片付けないでしょ玉切りだけでしょ。
それと同じことが、ロープにぶら下がって出来るの?重心を考慮して枝先まで動けるの?伐り口を全方向からチェック出来るの?無理な体勢で結べるの?結びに行けるの?吊れるの?必要に応じてあらぬ方向に動かせるの?エスケープポジション採れるの?

そういうコトです。
木こりや電柱登りが特殊伐採ということは、力技でしょ。
それも道具の安全率に頼るだけのヤリ方でしょ。
自然のセオリーを利用して、無理しないで、静かにゆっくり降ろす、なんてしなくても出来るのが特殊伐採でしょ。

上部にアンカーが採れない場合に、やむを得ずしょうがないからバットヒッチでトッピングするだけです。これが最も危険で派手でYouTubeに良く見るヤツです。
最も危険だから注目を集めてるだけでしょ。
スタティックリギングは絵にならないもん。
これは全作業の1%有るか無いかです。最も危険だから基本的にヤリません。
そのほんの1%以下のタスクが取り上げられ、それが全てと思われがちで、これが出来れば特殊伐採的な言われ方をする。とりあえず道具を買って、しかもPPEの整合性無しに、やってみたら出来るからそれで良いって思ってる人が何と多いことでしょう。
例えば伐り方も結び方も手順も知らずに、ポータラップは落ちないように止めるだけで、エイヤッて落とす。ベクターもフォースもピーク力も無くただ落とす。
そんな特殊伐採が事故が多いの当たり前だ。

そんな事故が多い危険な特殊伐採と違いをつけたいよ。
そのうちに特殊伐採の人がドンドン事故を起こして、まだ死亡事故が無いからイイけど、死んだら世間も注目する。その時にツリーワークとの違いを明確にしておきたい。
今も一般に特殊伐採が危険だって思われているけど、ツリーワークは危険じゃ無いから。 ツリーワークが危険回避を基本に考えてることを広めたいよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿