2020年5月10日日曜日

日々是勉強さ



私の趣味のひとつに
小鳥を観るコトがある。
単純に見るだけだ。

ただ見るだけだけど、
それが何という名なのか?
どういう鳥なのか?
いつも居るのだろうか?
何処に行くのだろうか?
どんどん深く興味が続く。
昔は何も興味が無かったが、最初は知り合いに連れられて、宮島沼にマガンのねぐら立ちを見に行ったときからだ。あの圧倒的なパワーに震えた。
マガンが去った後の沼には静寂の日常がやってきて、マガンは一瞬にして居なくなったので、朝4時半に、ん〜終わった。って思ったが、
時間もあるし師匠と一緒に、その他の小鳥達を探すことになった。
沼残ったヒドリガモやオナガガモやキンクロハジロ。
周囲の農耕地では、ハクセキレイやヒバリ。
薮では、アオジやシジュウカラ。
空には、トビやノスリ。

ん〜、意識してみるといろんな小鳥が居た。
意識してなかっただけだった。

そして師匠は「あそこにゴジュウカラが居る」って言われても、探せなかった。自分の持ってた双眼鏡で探すけど、動くし、焦点が合わないし、見つけられない。
そこで師匠が「まず肉眼で探すんだよ。そして頭を動かさず、ゆっくりと双眼鏡を構えるんだよ。そしてその双眼鏡は良くないよ」って言われて、双眼鏡を借りて言われた通りにやってみると...見つかった。感動!

自分で持ってた双眼鏡は、高倍率だから視野も狭いし、暗いし、ひとみ径も小さく、重かった。性能的には申し分ないけど、自分の性能と合っていなかった。

借りた双眼鏡は、標準的な8倍で明るくひとみ径も大きいし軽い。
「始めは実視界と変わらないくらいで、ちょっと大きく見える程度が見つけやすいよ」って言われて初めて気がついた。
闇雲し高性能のプロ仕様的なものは、素人には扱えないって当たり前のことに気がついた。これも意識していなかったことだ。
道具はちゃんとやり方が判れば、ちゃんと使える。そしてスペックだけ一流でも、目的に合ってないと機能は果たさない。

本当に基本的な使い方って言うかセオリーはマニュアルに出てるんだけど、読んでもなかなか伝わらないし、そんな簡単なことはヤってるよ!って思っているだけで、全く出来ていなかったことに気がつく。双眼鏡なんて安くて高いスペックのモノが良いだろうって、勝手に思っていただけで、使い方や自分のレベルで武器にもなるし、邪魔にもなる。そういうことに気をつけるコトを教えてもらった。
まあ鳥見の話だけど、一流の人が使っているモノをシロウトが持っても、それこそ宝の持ち腐れ。最初はビギナー向けの優しいモノで、自分の頭を徐々に対応させて、以後自分の使い方や目的の方法に合わせてバージョンアップしていくことで真っ当な機能を果たす。

自分の脳ミソが対応してない道具は、役に立たないんだよ。

そして自分は珍しい鳥を見に行くより、自分の身の回りで日常を観察することが好きだということも判った。だから今でも8倍のハンディで鳥を探してる。散歩の傍ら日々変化する近所の鳥を見つけることに生き甲斐を感じている。

そして声で判断するコトも覚えた。
そこでボイスオブホッカイドウという、カセットテープを手に入れた。これがとても素晴らしく、この辺の日常にピッタリ。毎日通勤時にしつこくウォークマンで鳥の声を聴いた。スピードラーニングじゃないけど、いつも聞いてると何となく覚える。
このカセットは制作者の声でボソッと名前を告げてから実際の鳴き声が聴こえる。そして「草原のジャズシンガー」とか詩的な表現で一言説明がある。
このカセットも師匠から教えてもらったんだけど、何も知らずテキトーに選んでいたら失敗していたと思う。
林や草原を歩くと、同じ声が聞こえたら、凄く嬉しくなるぜ!

鳴き声で何が居るか何となく判断できて、方向とか位置に近づいて、肉眼でボーッと漠然と見ていて、見つけたらやっと双眼鏡を構える。
そういう探し方が存在することすら知らなかった。

家に戻ってから、声を頼りに探した鳥を図鑑で確認する。でもオレが見たのはこれじゃない!って思ったり、どことなく違って見えたり、確証が得られない。
図鑑だってプロ向けと初心者向けがあることに気がついた。そして図鑑も数種類持つし、声だって、ヤマケイとか大鑑とかいろいろ出てるので、次々に手に入れる。
これがハマるってヤツだ。
そうやって数冊の図鑑と数枚のCDとかカセットとかが揃っても、未だに判断がつかなかったりする。でもその音源も図鑑も全て役に立っている。聴き比べたり、見比べることで核心に近づくことも出来る。

声をしっかり聞き、環境を記憶し、双眼鏡で観る。眉班とか過眼線とか初列風切りとかも覚えていく。それでも判らないことがいっぱいなので、しっかり記憶するが、見るポイントも曖昧なので、写真を撮るようにしている。あくまで確認用。
後で家に帰ってから、写真と図鑑と声を整合してみる。これで大体全う出来るが、それでも興味は尽きないのさ。日々の観察によって新しい発見が必ず有る。
もう30年近く毎日見てても、チンケな場所でも、年に数回はワクワクする出会いがある。

日々の日常でも、季節は次々に変わり、周囲の環境も変わり、渡りの途中で寄るヤツとか、毎日のように同じ場所を見ていてもちっとも飽きない。そしてたまに偶然見つける珍しい小鳥にハッとさせられる。
それから図鑑や声ではどうしようもないコトだけど、飛び方なんてのもある。鳥によって特徴的な飛び方がある。これはもう一元化できないし、有ったとしても逆に難しいかな。しかし飛び去ってしまう鳥の動きというか、何処に逃げたとか、遠くから見ても判断できるようになるのは、やはり経験かも?

私はハマったらシツコイからね。
疑問を解決しようと調べたら、そこに新しい疑問が生まれる。
新しい疑問を調べたり、師匠に聞いたりしたら、
益々疑問が生まれる。一定の満足があっても
次々に疑問が湧いてくる。

日々是勉強さ。

よく作業中でも鳥の声を聴いたら、そっちを見て探しちゃう。まあちゃんと見つけに行けないから、◯○だなって思ってるだけだけど、ボソっと口に出ちゃうこともある。そういう時「良く判りますね」とか言われるけど、日々の勉強で自力がついてきたのかな?

仕事も、自然を相手にしていれば、同じコトなんて絶対ないから、日々の興味が大切で、その興味に対して勉強するのが当たり前のコトだと思うが、
なかなかみんな簡単な積み重ねとかは勉強しないよね。

日々の蓄積に即効性は無いけれど、必ず血と肉になる。
残念。

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