2020年4月18日土曜日

特殊な伐採じゃないツリーケア


先日良い機会があって、
まだ樹上作業に手慣れていない方々と一緒に
ツリーケアの基本というか、
軽く・短く・危険の少ない現場を行った。
基本に忠実に、アドバイスしながら、
地球の力を巧く使って、
予想通りの動きを体感することで、
ツリーケアの良いプラクティスになった。
こういう機会を与えてくださった、
親方や施主に感謝です。

スゲェ作業をやった事なくたって、
立派な看板がある一流じゃなくたって、
数々の危うい現場をこなしてなくたって、
経験豊富な手慣れでなくたって、
最初はみんな、軽く短く危険の少ない
簡単な作業から始めるとイイよ。

どういう訳か、ど素人の輩ほど
しっかりと理屈を学ばなかったり、
いきなりオオモノを扱ったり、
数少ない知識を無理矢理当てはめたり、
名の知れた一流の手法をマネしたがるよね。
それでたまたまセーフだったら
その手法を繰り返す。不思議ですね。

農道にはみ出した枝を、
伐り方でゆっくり頭下げたり、
重心よりチップに出来るなら
角度考えて吊ったり、
引く方向をタグで変えたり、
トラッキング使ったり、
もちろん自由落下もアリで、
スマートなツリーケアの
基本をみんなで学んだ。

翌日は、ちょっと難易度が上がり、
一方は屋根にかかり、一方は電線があり、
一方は他の立木が邪魔になり、
結構タイトに考えないと、ヤバイやつ。

普段から一緒に作業していなくても、
基本が一緒だと考えてることが共有できて
2人で登って、次々に吊って降ろして
スマートに作業が進みます。

これ地面に立ってるようだけど
屋根より遥かに高い位置だから。
そこでどれだけ安定したワーク
ポジショニングをとれるかだから。
安定姿勢だから地面に立ってるみたい。


YouTubeや、
何だか訳の解らない怪しい樹上作業テキストなんかを眺めて行う
危険な特殊伐採とは違い、
(あのテキストと講習を受けて何でもできると思うヤツの気が知れない)

 どんな簡単な作業でも、地球の力を巧く利用して、基本に忠実にやってみる

ということの重要性を確信した。
そこに気がついたら、あとはサイズアップしていけば良い。

簡単なものは今まで通りエイヤッってやって、難しいものをいきなりやれば
それは本当に特殊な伐採だと思う。
だって理屈判ってないんだから、特殊だよね〜
判っていないで「男祭じゃぁ」ってやるから、特殊だよね〜
海外では女性のアーボリストも沢山いるよ。男祭じゃないよ。

まず、ろくに段取りも決めずとりあえず登って、
無理なポジションでもチェンソーさえ届けば、枝の動きも、自分の回避も考えず、
目の前のヤツを適当に手っ取り早く伐ろうとする。
でも練習してないし安定してないから、結びにもシステムにも時間がかかる。
グラウンドもその間ポカ〜ンと見てる。
そうじゃなかったら、人の道具をじろじろ見てる。
伐り方ダサイから、思わぬ方向に動く。
後手後手でシステムが複雑になる。
そんな特殊な伐採が多いよね。

命がけの特殊な伐採ではなく、アーボリストのツリーケアは
危険を予測し回避しするために、チーム全員で地面で段取りを済ませて、
登ってからも微妙な修正を共有するから、登ってからが早いよ〜、スマートだよ。
その分、結びとか力学とか、日々の勉強は怠らないからね。

私はツリーケアを特殊伐採と呼ぶ人が嫌いです。
俺は命を張って危険なコトをやってんだゼ!的なダッサイ心意気で、
自分を特別な人間だみたいに「トクバツ」と呼ぶ輩がおぞましい。

現場に入る前に、システムの勉強をしているのは当たり前。
そのシステムによる作業工程を全員が承知している。
当然のように結びは練習している。
いざ現場に入ったら、プランを共有する。
樹上で細かな修正をする。
その行程に必要なポジショニングは手間を惜しまない。
そしたら作業はとてもスムーズで疲れないし早く終わるよ。

今回は自分も含めて、みんなとても勉強になったと思う。
ツリーケアは、始めるスタート地点が「トクバツ」とは違うから。
それが判らない人は、命をかけてトクバツすればヨシ!!
仕事に命をかけることがカッコいいって思ってる人は
どんどんトクバツをやってください。
脳ミソを筋肉にして、気合と根性で鍛錬して進めてください。
そうしてもらった方が、ゆくゆくコッチに仕事が廻ってくるから。

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