2020年12月6日日曜日

楽で早い>危険回避

昔は、枝払いだってハシゴを架けて木を伐っていた。
でもハシゴはグラグラするし、倒れるし、片手しか使えないし、体勢だって限定される。

危ない。

高所作業車で作業を行えば
それが安全になっているのかなぁ?
手っ取り早く、楽に、ってだけ
じゃないのかなぁ?
安全ってそういうこと?

危険回避では無い。

MEWP高所作業車って、
昔はそんなに数も無いし
一台借りるのも相当費用がかかった。
でも今はかなり安く借りられる。
レンタル業者も過当競争になっている。
安く借りられるし、
車両自体も安くなってるんで
大きな企業は購入できる。
それで仕事の幅が広がる?
しかしそれは危険の回避に
繋がってるの?
? ? ?
電力系の作業員だって昔は安全帯と保持器具で電柱登ってたよね。今はそんな危ない道具で電柱に登る人なんて居ない。もっと安全な高所作業車?を使う。
? ? ?
安全帯と保持器具よりも高所作業車って安全なのか?
手っ取り早く、安く、出来るから皆使うのだろう。
危険回避では無いと思う。
理屈が、早い安いで在って、危険回避には無い。
危険回避は人が法規に準拠すれば成せる。
その機器を導入する意味が、危険回避には無い。

チェンソーだって、昔は斧と手ノコで、大きいのになるとノコのデカいヤツで。
チェンソーが出てきたら、それはそれは作業が楽に早くなった。
手ノコで手を切る確率より、遥かにチェンソーの方が重大な怪我に繋がりやすい。
「安全」になった訳じゃなく、早く、楽になっただけ。
チェンソーだって、昔は高かったけど、今はホームセンターで買える。
危険回避では無い。

例えば、ハシゴ登って手ノコで枝を切ってた人は、これはどうも調子が悪い。
グラグラな状態でチェンソー使うのもどうも調子が悪い。
何か最近ロープを登って木を伐る奴らが居る。
アレは便利そうだ。
片手でハシゴ押さえて、片手でチェンソー作業するより、なんか楽そうじゃ無いか?
って目的でロープクライミングを取り入れる人が多いと思う。
危険回避ではなく、早くて楽な方法。

道具の理屈もレギュレーションも無いまま、
道具として、今までの作業の延長線上にロープが存在する。
極端に言うとハシゴの変わりにロープを使う。

だからロープなんて、何のロープでも良い。
アウトドアショップに行かなくてもホームセンターで売ってる。
でもちょっと心配だから、アウトドアショップに行こう!
まあそれはイイとして、
アウトドアショップに行ったら、比較的安いとかロッククライミングみたいだからって理由だけで、ダイナミックロープを買う。

少なからずそういう方向でダイナミックロープを買った人いると思うよ。
もしくは知らないでポチッた人もいると思う。
そこにこだわり無いから、ぴかぴかデバイス買って使ってる人いると思うよ。
ダイナミックロープは伸びる→ってことはロープ径が変わる→ってことは調子悪い。
っていうアルゴリズムの人結構居るんじゃないかな。

全てが「早く」「楽に」儲かるように向う。

だからみんな楽に登ってるように見える動画で、そういうデバイスに興味津々。
CEなんちゃらとか、なんちゃらモーションには直ぐ飛びつく。
自己顕示欲を満たしても、危険は回避はできないからね。
車のナンバーや、乗ってる車種で、運転している人は評価できないからね。
BMW乗ってても、運転が巧くも早くもない人がいっぱいいるよ。
ただBMW持ってるって言うだけだから。自己欲求を満たしてるだけだから。

* * * * *

ロープは確かにハシゴよりも安全かもしれない。手ノコの危険とチェンソーの危険は別物だという事と同じように、ハシゴの危険とロープの危険は別物だよ。

高所作業車では、ハシゴで出来なかった身を乗り出すってことができるようになる。
乗り出す事が出来るからやるのか?
それは仕事が早く楽になっただけではなく、同以上のリスクも抱え込む事になる。
落ちるってリスクに関してはそんなに変わらないんじゃ無いの?
落ちにくい領域が少し広がっただけで落ちなくなった訳じゃないだろ。
80%程の危なさが、60%位に低下しただけだろ。
20%程リスクが低下したとしても、ハシゴより高い所まで行けるし自由度が高いから、
新たな高所作業車のリスクが30%増えたら、より危険に近づくんじゃないのか?

手ノコだって「痛てっ!」って手の動きを止められるから大した事が無い怪我でも、チェンソーはエンジンで廻ってるからね。そしてエンジンの回転モーメントとか回転する刃がキックバックする恐れが有るからね。基本は両足で地面に踏ん張り、正しい姿勢で両手でハンドルを持って、それでもキックバックするのに。更に我々のようにロープで登ってたら、ロープを切っちゃう事も有るからね。カッティングとエスケープのポジションとってないと、木の揺れや風なんかで身体が揺れちゃったら、ロープ切っちゃうからね。
それを、軽くて片手で持てるって理由でトップハンドル使っちゃってるからね。
例えば斜面に片足で立って、トップハンドルを片手で延ばして揺れてる枝を伐ってみろよ、どういう事か判るから。

ある仕事で、ロープを使って出来るか?って問い合わせがあり、現場を見に行ったら、クレーン入れるから、これはもうクレーンの仕事だった。クライミングじゃなくラフターでやるって言ったら、ソレならオレにも出来るって言われた。
じゃあやってくださいよ!
少々下のモノがぶっ壊れても、伐った対象が斜面を転がっても跳ねても、落ちたヤツを運ぶときユニック使えば良いし、チルホールで引っ張っておけば、トップハンドルで手を伸ばせば片手で出来るし、自由落下でバンバン落とす、っていう施工らしい。
じゃあやってくださいよ!
何で出来るんなら俺らに頼むの?って疑問しか無い。

我々がやってるロープを使ったヤリ方は、危険回避を第一に考えるので、時間かかるし、人数居るし、ってことを説明すると、そんなの一人で出来るっしょ!とか、倒れるかもしれないから出来るだけ静かに揺れないようにヤリたいって言ったら、倒れないかもしれないっしょ!って言われた。

具体的にこういう場合は落ちたら跳ねて、斜面を落ちる可能性があるって言ったら→大丈夫だよって、伐ってるとき動いたら制御できないかもしれない→大丈夫だよって、落ちる時の重力加速度で制御できないエネルギーが生まれる→大丈夫だよって、根が浅いから最悪倒壊の恐れも有るんで幹を揺らしたくない→大丈夫だよって、姿勢制御のために他方向にセットするんで時間がかかる→大丈夫だよ片手チェンソー使えば届くよって、ブレードの長さが足りないからポジション取り直さなきゃならない→大丈夫だよ、下の物をぶっ壊すかもしれない→大丈夫だよ、巧くやれよ。ツベコベ煩ぇんだよ。
オレならそんなこと関係なく出来るよ!って。
やっぱり特殊伐採は凄い。
お前らロープ使ってるんだから、もっと凄い事出来るんだろ!って感じ。

道具にはそれぞれメリットもデメリットも有って、それに合わせた条件や施工方法やコンポーネントの決まりが有る。何でもかんでも安全って言葉だけで危険をボカシて、出来きてしまうことをこだわり無くやるんだったら、そりゃ誰でも出来ると思う。
手ノコでも、チェンソーでも、ハシゴでも、高所作業車でも、ロープでも、
道具が有れば出来る仕事は、出来きてしまう人がやれば良い。

もう何から何まで、合意点が無い。見積もりの意味が無い。
安全操業という冠で、危ない仕事をやる業者に任せれば良いのに。

でもそういう業者が出来ないって言ってるから、オレに話し回ってきたんだろ。
始めっから「出来る!」ってヤリ方が有るなら他所にやってもらえよ!
その間に、オレは勉強するよ。
そうやって命削ってる人は、どんどん出来きてしまうヤリ方を実践してくれ。
そして早く居なくなってくれ。
オレに話持ってくるんじゃないよ!って、思いました。

* * * * *

ワシらはどうやったら恐くないか?とか、回りの人や自然にとってローインパクトか?とかを考えて作業するけど、相変わらず命がけの作業に酔ってる人たちが居る。
命がけの遊びなのか?アルパインクライミングの知識や技術を使って出来るだけ少ない道具で他が真似を出来ないような凄技を繰り広げるワークじゃなくスポーツなのか?

明日も同じ作業が繰り返し出来るように、今日失敗しないようにするのが仕事だと思う。 スポーツっていう言い方はよく無いかもしれないが、イチかバチかの作業は、今日ケガして明日出来なくなるかもしれない。
仕事ならその危機感を持って取組まないとね。
事故はたまたまちょっとミスしただけ、なんてあり得ない。
今まで出来てしまって、たまたま上手くいってた偶然なだけ。
失敗する事が前提で取組まないと、いつかはラッキーが尽きて明日は無くなる。
もしくはそういう感覚が麻痺して、命をかける事が仕事だって思ってる人も居る。
今日も命がけ、明日も命がけ、これからずうっと命がけ。
そんな強靭な精神力持ってる人は居ないと思うし、居ても長くは続かない。

私の講習やワークショップで、手っ取り早く登り方だけ教えろとか、面倒臭い事は要らネェから早く楽に登れる道具を教えろとか、楽に早く登ろうとする人がいる。
それに対して、ちゃんと地面に向って足を踏むとか身体を鉛直線上に向けるとか言う。
多くはそうじゃ無くて早く楽な方法だよって言う。
だ・か・ら、真っ直ぐ登ることが一番楽で早い!って言ってもピンときてない。
自分では出来てるつもりだもんもんね。
それには、ザックリとした物理を理解した方が早いし楽だよって言っても、そういう学びは必要無くて、エイヤッて力でねじ伏せる。アーアー
そして楽で早くないのは道具のせいだってことになる。
直ぐ道具に走る。
道具は自分の出来ることを効率良くするモノだから、
出来ないコトを効率良くしても変化が無いよ。
そしてこの道具が良くない的な事になる。
道具売ってるショップは、いらっしゃいませ〜って、良いカモだから儲かるから良いけど、いつまで経っても自分を効率良くしないと楽にも早くもならないよ。
己を知る事だよ。

私は講習やワークショップでも、知ってるけど出来ない、見せられない技術が有る。
出来ないって正直に言う。もしくは出来る人を呼んできて見せてもらう。
逆にそんなに凄技を今から習得したいの?習得できるの?っていう疑問もある。
いきなり凄技を習得するより、時間がかかるかもしれないけどもっと簡単に近い効果が得られる方法だって有るよという、ベーシックな積み重ねの上に凄技が存在するとも思う。
作業は1つの成功だけじゃ無いという事を伝えている。

私には出来そうも無い、高所作業車から身を乗り出して片手チェンソーで作業できる人は、来ないでください。
仮にロープを使ったとしても、その先には展望が無いと思います。
命がけの作業がよりシビアになるだけです。

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