2020年9月25日金曜日

業界の基準は、法令じゃない hooray

日本の企業がヨーロッパでも商売するなら [CE] を取らなきゃならないから、もちろんEN規格に準拠する必要がある。これは製品として販売する目的ならマストで、素材の提供であれば何の問題もなく輸出できる。あとは製品として販売する所がENに準拠すれば良い。
合成繊維のメーカーでは、デュポンとかハニーウェルとか色々あるが、ロープ等のストランドのヤーンのファイバーって最小単位の素材は、製品の性能に直接関わってくるので、高性能の素材が良い。安くて強いファイバーの方が需要がある。だから日本の東洋紡や東レなどの日本メーカーの高い技術力が評価されている。

でも日本では、そういうロープを作らないよね。

シルキーって刃物屋さんのノコは、どうしてSUGOIとかTSURUGIとかラジカルな名前の製品が多いのかな?って思ってたら、海外向けに作ってるからそういう商品名が多かったそうで、実は日本にもアーボな需要だってあるのに、ターゲットとしては日本じゃなかったからってかなり寂しいね。東洋紡も東レもそんな感じなんだろうな。残念だな。

海外の特にENなんかのスタンダード(基準)って、
一般の疑問や問題を、試験やシミュレーションで洗い出し「オレたちはコウやる!」って方針を出して、それをランダム対照群と比較し民間非営利の団体で揉んで指針として発表する。それを政府や国が採用するって流れで「規格」になっていく。
日本は問題が起きてから、それに対処するように、
御用有識者や一流企業のステークホルダーが集まって、ロビイ活動や根回しで自分たちが「損」しないように法令を作るって構造が、まるで変わらないから、いつまで経っても庶民のための法令は出来無いんじゃないの?

それに日本の法令は、明治時代から作り方も変わって無し、時代に合わせて改善されることも少ないので、甲が乙が...って相変わらずなので、非常に判りづらい。
〇〇によっては、第○条の第○項の第○号…みたいなって、判りづらく複雑な構成で 「正式な文章」かも知れないが、それによって幾らでも拡大解釈できるし、だから過去の判例に頼るんだろうけど、一般で流通してない言葉って、存在意義自体が感じられない。法規は国民が遵守するべき事項かもしれないが、言葉が解りづらいから守ろうとしても???ってなっちゃう気がする。意図が伝わらなきゃそんなモン意味が無いんじゃないの?
言葉だって時代によって変化するし解釈だって変わるのに、一度作った法令は時代に合わせないのかね?
時代や言葉に合わせて判りやすくなったら、儲からなくなるヤツが居るからかな?

デザインは、装飾的なコトって勘違いしている人が多い。ファッションデザインのように、煌びやかで装飾的なデザインも有るけど、一般に平易化するって言うか、目的の機能を果たすだったり、掴みやすかったり、判りやすくしたりするのもデザインだから、その法令だってデザインし直す必要があると思うが、
ハッとする切口だったり、馴染みやすかったり、目を引きやすいっていう手法にばかりに注目されがちだが、目的というかそのロジック自体がデザインで、それを判りやすく平易にすることも大切なデザインです。

だから私の考えるデザインは
「より納得しやすく、見やすく、伝わりやすい」コトです。欲しいモノやコトを、欲しい人に伝える仕事だと思ってます。翻訳に近いんじゃないかな?

グーグル翻訳みたいに、古くさい日本語を現代風に訳してもらえる翻訳って無いのかな?そしたら日本の法規も判りやすくなると思うけど。そうしたら御用有識者や行政書士なんかのステークホルダーが儲からなくなっちゃうからかな?

グーグル翻訳は、話し言葉だったりスラングは、とてもトンチンカンチンな訳になって、判りづらいんだけど、EN規格なんかは、これも英語の法規として堅い文章なんで、逆にグーグル翻訳は噛み砕くのは難しいけど、内容が真逆に成りづらく、よ〜く読むと理解しやすい。そういう堅い文章でも、日本の法規より遥かに判りやすい。

ロープは19.0kNの引張強度でも破断しなければ良い。
カラビナは11.5kN、スリングは15.0kNの引張強度でも破断しなければ良い。
身体保持器具は、垂直面用ハーネスは11.5kN、傾斜面用ハーネスのバックサイドベルト?15.0kN、らしい。

引張強度って何よ?、おおよそは最低破断強度のことだろうが、例えばロープには構造も動的伸びも静的伸びも落下停止回数もピーク力もサンプルテストの数もコンディショニングの状態も径も単位当たりの質量もズレも装置も手順もマーキングの義務もメーカーが提供する情報も何も無い。ただ11.5kNの引張強度らしい。

ってことは、日本人は11.5kNの引張強度がかかっても、ぶっ壊れないハーネスで、身体が壊れないらしい。国際的には6kNで何らかな身体的傷害が発生する可能性があるから、それに合わせていろんな基準を作ってるよ。日本人は世界の誰よりも屈強で壊れ難くそして気合と根性で11.5kNをクリアするようだ。

そしてそれらを使用することが「望ましい」らしい。
ってことは使わなくてもイイんじゃないか!
準拠しなくても良い法令って何よ!

そんな解釈の仕方で準拠しなくて良い法令より、厳密に規定された装置を使った試験で、そのデータを公表し、民間で作った基準の方がよっぽど信用できる。
その基準も「オレ達はコウやるよ」って基準だから、そして「それイイね」って政府が採用して規格に成るんだよ。
私はアーボリカルチャーアソシエーションが出した指針や、ICoPの業界標準や、ANSIのアーボリカルチャーの安全要件を信じるよ。そういった国際的な基準に適合したギアを使っているんだったら、そういった基準を信じるよ。

労働災害を防止するんじゃなく、
労働災害で企業が訴えられるのを防止する。ホーレイ。

労働安全衛生より Code of Practice(業界基準)を優先するよ。


「安全でクリーンなエナルギー」とか言ってた事業連合会も、事故の後一切そういうコトは言わず、エネルギーミックスとか言ってる。自分たちの公平性をアピールして責任を有耶無耶にしている。そんなコトを言ってる連中がオブザーバーとなって作った法令なんか、樹上作業に繋がらないよ。

メディアも都合の良い部分だけ切り取るんじゃないよ。
業界を主導する立場のヤツらが、自分たちに都合がいい、儲かる、いい加減な法令を作るんじゃないよ。


法令、ホーレイって、
hoorayみたい.

フーレイって
やんやの喝采とかのかけ声で、
利害関係者にとっては、
ヤンヤだろうが、
むりやり日本語に訳すると
「ほら」って感じらしい。
ハッとする発見とか
頭に電球が浮かぶヤツ。

でも字面だけ見るとホラね。
法螺ね、ホラ。
嘘つきなんすか?
ホーレイ=ホラなんですか?

2020年9月23日水曜日

MYCoP 私の高所樹上作業 行動規範

5月に Arboricultural AssociationのIndustry Code of Practice for Arboricultureの2nd Edition が発表され、それを踏まえて自分なりに解釈した、行動規範を作りました。
一部の皆さんにご協力いただき、ようやくまとまりました。

高所樹上作業者の革新性と創造性により、
作業をセーフティかつ効率的に管理する
際に直面する多くの課題に対処でき、
実用的な技術と管理システム、
高度に熟練した専門的な労働力を
サポートし成長を続けることが目的です。

セーフティで効率的な作業慣行を
確保するための計画手順、
リソース、要員、機器の管理、その指導を
情報提供できるように作っています。
基本となる考え方は、ICoP同等ですが、
それに独自に追加した私の考えという形で
複合しています。作業チームはもちろん、
作業管理者に是非とも周知して欲しい
内容になっています。
さらに、個々のタスクと機器に関する
詳細な技術をさらに発展させるための
基礎になればと思います。

●高所樹上作業の計画の原則と目的
●責任者、有能者、熟練オペレータの役割と責任
●剪定と自由落下解体/リギング
●予備作業現場評価
●アーボリカルチャーの一般原則
●救助計画
●高所樹上作業のトレーニングの供給
●MEWP/クレーン/足場
●個人の落下保護システム
●ムービングロープテクニック(MRT)
●ステーショナリーロープテクニック(SRT)
●樹上作業における個人用落下保護
●高所樹上作業のためのツール
●機器の選択、原則とパラメータ
●機器の性能仕様
●個人用保護具(PPE)
●機器の検査、手入れ、保管、保守
●作業機器規格

ツリーワーカーは、このような規範を知っておくべきです。

っていうか、周知していることが、樹上で作業を始める前段階の条件だと思います。

何処かのお店でロープやハーネスをポチッと買って、使い方の条件や状態や自分にフィットさせるコトすら判らないまま、単に登れる道具を買ったから木に登って、切り落とすっていう人には関係がないことです。特殊伐採じゃないです。


今までこう言った行動規範的な文言は無かったと思います。そして危険を省みない作業で事故が多発したからこそ、こういう行動規範が作られ、皆で守っていこうって言う話になったのだと思います。
何処かの誰かに教わったヤリ方をそのまま踏襲してマネしたり、YouTubeで都合の良い部分だけ勝手に使って恐い思いをして、あ〜良かった!って作業を続けてるる人も、ソレはただのラッキーで、ラッキーの種はそのうち尽きます。
そして人間は歳を取るので、慣れ合いになった頃、効率もモチベーションも落ちて、重力に引っ張られて身体も落ちます。
そういう人が世界的に多くって事故が頻発するようになり、ヨーロッパのある企業が、セーフティをテーマにした作業慣行を実践して、事故を減らす成果を上げました。そこでイギリスのHSEも本腰入れて、業界の行動規範をまとめたんだと思います。
一部、ンッ?っていうメーカーの力関係も見受けられますが、皆がパブリックコメントして、数多くの情報の中から整合性のある部分を取りまとめただけのことはあります。

偉いセンセだけが言ったことや日本で唯一認められた団体の講習では、自分の身は守れません。結局自分自身は自分で守る必要があるため自分で勉強するしか無いのです。

幸い私の周りでは、というか2年前にイチからスタートしたツリーワーカーチームが居ます。最初からシットハーネスを使わずフルボディハーネスで作業をしています。彼らに聞くとフルボディの何が邪魔なのか判らないし、今ではプライマリとバックアップの2系統で作業を続けており、最初からヨーロッパで推進されている、ヤリ方で何の不自由もないみたいです。
逆にヤンチャで根拠ないオラオラ特殊伐採は、危なくて恐いし、疲れるし、儲からない、って考えてるようです。
危険を省みない前時代的なオラオラ特殊伐採を続けて行くのも手だし、ソフトウェアを無視して好きなハードウェアを自分の都合で好きなように使うユーチューボリストも手だし、勉強するのは面倒だからバカの壁を積み上げてその中で日銭をかせぐのも手だと思います。そういう人はどうぞ死ぬまで危なく疲れる作業を続けてください。
一度身に付いた作業慣行はなかなか改善しようなんて思いませんが、せっかくこういう行動規範ができたのだから、一旦全てをチャラにするつもりで取り入れて、イチから学んで自分の危険回避を自分で構築するのも手だと思います。
キレイごとじゃなく、効率も上がります。危険も少なくなります。良いことだらけです。
でも面倒臭いです。
面倒臭いけど、これまでの考えを改めて、順を追ってイチから始めれば難しくはありません。2年でスゲェ稼げるチームにもなります。歳を取ってもある程度続けられます。
そしてこの行動規範は、雇用者側の方達にこそ知って欲しい情報です。
日銭は稼げないかもしれませんが、今からチームで始めれば、そのうちしっかり儲けることができる素晴らしいチームが作れると思います。

国が決めたお粗末な労働安全を信じるのも良いですが、効率が悪くて仕方ないです。
そんなもの守ってたら自分の身も費用もかかって仕方ないです。
だからといって安かろう悪かろうの仕事はもっといけません。
日本の山はそんな奴らに任せておけません。
なんも知らない行政の担当者も、いい加減な事業者もそのうち淘汰されます。
淘汰されてからセーフティを学んでは遅過ぎます。
今からセーフティな取組みを行っていれば、必ずモノになります。

MYCoP 私の高所樹上作業 行動規範

2020年9月17日木曜日

インラインアンカー

TG-1でレスキュー使用にする時、インラインアンカーが出てくる。
自分では緊張したロープ上にアンカーを作るのは至難の業で、ドラフトの写真では、
teufelbergerのリングループを使っていたんだけど、本当かぁ?って思ってた。
手持ちのPMIの8mmを3wrapでは、効かなかったんだよな。

運良くマルチスリングを持ってる人が居て、借りてインラインアンカーを組んだら、
できた!
シリウスならできるのか?
10mmだからできるのか?

疑問に思ってOcean10mmでやったら3wrapじゃできなかった。
不明だけどPMIの8mmでも、4wrapすると効くんだな。


結局上手くインラインアンカーが
機能したのは
●マルチスリング3wrap
●PMI 8mm 4wrap
●ロープマンとロールンロックのコンビ
●レスキューセンダー
それから●TAZ_L’OV2

インラインアンカーってどうなんよ?
って思いは変わらないが
一応使える方法とデバイスはある。
でも、インラインアンカーも、プルージックやクレムハイストなんかのノットを使う場合は、その下に必ずノットブロッキングする必要があって、
ってことは、一旦荷重を抜く必要が出てくる。

何かの目的て、自分のロープの途中にインラインアンカーを組む必要がある場合、
それも枝やランヤードで支えられてる状況なら簡単だけど、
完全に吊られて、何処にも荷重を移せない状況なら、
当然自分の荷重によってロープのテンションが掛かっているから、そんな張ってるロープにノットブロッキングなんて作れないじゃん!

ノットブロッキングを作るために、一旦荷重を抜くにしても、何処に?ってなるケースの方が多いと思う。
一度作ったインラインアンカーに荷重を移せばい良いけど、ノットブロッキングしてない インラインアンカーに荷重を載せるのは本末転倒だよね?

ってことは、バックアップのノットブロッキングが作れ無ければ、
シリウスのリングループだって、ダメじゃん!
っていうか、インラインアンカーにプルージックみたいなソフトマティリアルの結びは使えないってことにならないのかなぁ?

張ったロープにセットできる、何か他のデバイスが必要ってことだと思う。

それかバックアップロープとデバイスが有って、セカンダリのバックアップデバイスがあれば良い。

ちなみに、プライマリロープのインラインアンカーを作りたい所で、リングループなんかでセットして、
そのインラインアンカーの上に、セカンダリバックアップをセット/結着し、
バックアップデバイスの下にバタフライノットを作って、
そこにランヤードなんかを結着して荷重を移す。
そしたらプライマリの荷重が抜けるんで、インラインアンカーの下にノットブロッキングを作れる。
それじゃロープアクセスのリアンカーとかと一緒だよ。

でも、そういうコトか?

必ずバックアップロープを使えってことになると思う。
もちろんバックアップロープを使う前提だからソレで良いんだけど。

そういうコトならインラインアンカーの下にノットブロッキング作れるよ。

ツリーワーカーがそんな面倒なことするかな?
私はするけど、イケイケゴーゴーで儲け主義な人にとっては、そんな手間がかかるタスクをこなせるのかな?

ちゅーことは、やっぱりレスキューはSRTに限る!もうコレは絶対って言って良い。
そして、アーボリスト御用達のデバイスじゃなくて、リグとかの専用下降器が良い。
それならもうロープはスタティックの方が良いし、レスキュータスクにはフルボディハーネスが都合がいい。フルハーネスじゃないよ、フルボディハーネスだよ。胸や背中にアンカー点いてないと意味が無いよ。
色々やってく上で、結局ロープアクセスのレスキューになっちゃうんだな。ロープアクセスの救助ってやればやるほど、考えられてるなって実感する。効率が良くて早い。ソレ以外の方法が霞んじゃう。

だから、アクセスラインとバックアップラインをスタティックロープにして、地上からはソレで2系統で登って、樹上ではランヤードやフリップラインでシステム組んで、イザとなったらアクセス/バックアップでレスキューって言うのが最も適切かな。
でも沢山持つのはヤだし、汎用性の高いデバイスが良いな。

まあ、そこで、タズなんだけどね。

バックタイアンカー

アーボな人たちはあまり使わないが、私はバックタイアンカーが大好きだ。
角度に引っ張られて無理して動くなら、ちゃんと重力方向にアンカーを作った方が良いと思うのだが、面倒臭く見えるのか?そもそもそういう技術を知らないのか?
リディレクトとかやるクセにバックタイアンカーは作らない。

登ってって、
角度に引っ張られるけど、
ベスポジにアンカーないから
そこは漢儀で何とかする。
ってのもアリなんだけど、
良い所に小枝があるんだけど
耐荷重アンカーじゃない。
そんな時はバックタイよ!
チェンソー使う時はやっぱり
ガッチリ安定させたい。
だいたい持ってるモノで賄えるし、これは振られるなって時は少し多めにアンカー道具を持って行く。基本的にアンガーデバイスとフリップラインとプルージック。
プーリーがあれば効率的だけど、カラビナ数枚でも充分だよ。

リディレクトも同じなんだけど、荷重載せたら折れるかなぁ?とか、スッゲェ揺れるだろうな?とか、折れたらヤバいな?とか、おっかなびっくり荷重を載せるくらいなら、ちょちょっと工夫してバックタイよ。
細い小枝でも、枝張りが下向きでモーメントがヤバくても、合力の角度で反対側に引っ張ったら、信じられないほど安定するよ。

揺れて枝を折ろうとする「力」を相殺してやればよい。
そのまま重力方向に下がって作業するなら、シングルで充分。

そして小枝に作るアンカーデバイスを絡めて設置だからね。
前に枝だけバックタイして、折れて落っこちた人が居たよ。絡めないとダメだよ。

これ以上動かないように抑えるだけでも充分だけど、揺れて気持ち悪いアンカーなら、倍力組んで揺らしながら、逆にしっかりテンションも張れるし、しっかり引きつけておけば、もうそれ以上揺れなくなる。

キマった後は伸びないように固定ね。しっかりミュール+バックアップノットで結んでおく。ただしプルージックの上にバックアップしたら、揺れと一緒にプルも緩めちゃうから、プルージックに引っ掛からないように根元でね。

その枝が耐荷重アンカーじゃなくても、
そのアンカーで樹間移動したり、
いろんな方向に動く必要があったら、
ダブルっていうか「V」で組めば、
左右の動きにも耐えられるよ。

これはイコライジングで、
一方向にしかバックアップしてないけど、
プルージックを複数使えば、
横の動きが発生しても安定する。
ジャストなアンカーが小枝だったら、
間違いなくダブルかトリプルだね。

樹上で一人でも簡単に設置できるよ。
セルフイコライジングを作って、荷重を載せてみて、、、不安だったら、
プルージック1本追加して、両側固定にすれば、シェアリングのバックアップアンカーにもなる。ちょっと締めつけるの面倒だけど、Vで吊ったらめっちゃ動ける。

フリップラインがなくても、ランヤードでも構成できる。何もなければ自分の逆末端で作った事もある。アンカーデバイスがなくても、スリングとカラビナで簡易アンカーを作ったりもする。

持つべきものは、アンカーを構成できる知識と、汎用性の高いカラビナとかスリングとかプーリーだね。ディセンドデバイスにカネかけるんなら、長さ30cm刻みのスリングと、小ちゃいプーリーだよ。そういうの沢山持ってると、それだけシステムやアンカーを工夫できるよ。コンポーネントのコンビネーションに整合性がなければダメだけどね。

そして、やっぱりAZTEKだな。

バックタイアンカーじゃなくても、
なんだかんだで使える部分が多すぎる。

ちょい登りとか、荷重移動とか、
ジャマな枝をちょっと引きつけておくとか、
何かと汎用性が高い。
もちろんAZTEKだけで、
バックタイアンカーになるよ。
設置も回収も、超簡単、
シンプルシステムだね。

倍力=フィドルな人いるけど
木の上で使える前提じゃないし、
AZじゃくても簡易倍力装置は
便利な知識と汎用性の高さで、
色々使え過ぎて、もう手放せない。
耐荷重アンカーがなければ、ポジションアンカーを耐荷重にしちゃえばイイんだよ。
樹上のアイデア1つで、耐荷重アンカーは作れるのさ!

荷重テストの保証

TG-1の11.3.1
Thorough tree condition assessment and proof loading of anchors prior to committing to their use are essential to ensure sufficient load-bearing capacity is available.

十分な耐荷重能力が利用可能で
あることを確実にするためには、
アンカーの使用を確約する前に、
徹底的な樹木の状態評価と
アンカーの荷重テストの保証が不可欠です。
荷重テストの保証(proof loading)

まあ状態の現場固有の徹底的な
リスクアセスメントはもちろんの事、
荷重試験をする必要がある。

全荷重試験(Full body weight test)は、
must be carried out by applying the weight of at least two people to the anchor
アンカーに少なくとも2人の重量をかけることによって実行する必要があります。

という事だ。
さらに、

Testing should be carried out by applying full body weight steadily and gradually, not by bouncing or dynamically loading an anchor.
テストは、アンカーをバウンスしたり動的にロードしたりするのではなく、着実に徐々に体重を加えて実施する必要があります。

ってことだから、アンカーに1人でバンバン跳ねて荷重してみるってのはあまり良くないらしい。ゆっくりと徐々に荷重する。先日の耐荷重アンカーにもちょっと触れたが、樹木は揺れて当たり前で、その揺れの反作用が動荷重を相殺する可能性がある。
バンバン揺らしたら、その分のエネルギーが樹木自体に吸収されるらしい。
だから2人でゆっくり引っ張ってみて、その後システム組んで一人載ってみて、その後その1人載ってるシステムを、もう1人が掴んでゆっくり載ってみる。という感じの試験が全荷重テストってことになる。

まあ面倒くさいがそういう事だ。
一人で作業しているからそんな事出来ないって言う人は、まあいるよね。
でも技術ガイドとしては、1人で行う作業は、それはもはやアーボリカルチャーのツリーワーク高所作業ではない。ってことになってる。
だいたい1人で行ってる時に事故ったら誰が助けてくれるの?
という基本が有るから、アーボリカルチャーのツリーワーク高所作業は、救助が出来るようにシステムを組む必要があることになってる。
Technical Guide 1:Tree Climbing and Aerial Rescueってタイトルだし、
前提がレスキューなんで、必ず2人以上で作業する事ってことだ。

だから耐荷重アンカーの全荷重試験は2人で行う。

どっかの誰かが言った◯cm以上を信じて作業するのもイイけど、
その場合の全責任は自分に有って、どんな事になっても誰も助けてくれない。

根拠を◯cm以上じゃなくて、2人以上のワーカーと共有する事が重要で、ギャラが6万円で、ソレを2人で分けて半分の3万円になっても、誰かと一緒に作業する方が良いよ。
2人だと1人で行う2.5〜3倍の仕事ができるし、疲れないし、危険が少ないし、効率も上がる。お互いに知りうる情報を共有も出来る。そうやって良いバディが見つかると、イイ仕事も出来るようになるってモンだよ。

全荷重試験は、一時的にはギャラは減っても、
ゆくゆくは仕事の幅が広がる良いテストだ!

2020年9月9日水曜日

人間工学的制約

3.10.6
self-build their personal fall protection system which as a minimum should be made up of certificated components.
最低でも認定された構成要素で構成されるべき個人用落下保護システムを、自分で構築します。

ある会社では、社長が道具好きで、適合性や構成システムに関係なく次々に道具を買う。そして「コレ使えねーな」ってことになったら、でもせっかく買ったんで、社員に「お前コレ使え」って自分のオサガリを社員に渡す。制約も適合性も無視して、買ってやったんだぞって恩着せがましく渡す。社員は別に欲しい道具でもないけれど、コレ使えって渡された道具を使う。
チェンソーも社員が大事にして、絶えず刃を研いで、メンテナンスもしっかりして、戦闘可能な状態に維持していても、突然社長が持って行って、土や砂を噛もうが水であろうがいい加減に使って返される。社員は「勘弁してくれよ」って言っても「うるせぇオレが買ってやったんだぞ」ってヒデぇ話だ。


PPEは自分で構築するってことは、
自分に合わせて、サイズ感や、快適性を
確かめてみる必要があるってことだ。

YouTube見て、ポチっても、
自分のサイズ感や、長時間快適に作業が
出来るとは限らない。
でもせっかく買ったんだから、
ムリして使う。
まあ本人が都合悪いってことに、
気がつかない程度のワーカーなら、
本人の問題だから勝手でいいけど、
同じ道具でもこの太った人と瘦せた人の
操作性や適合性や快適さの違いに
気がつかない人は、問題あると思うな。

快適性って作業効率に大きく関わるぜ!

上の画を見てそれほど大きな快適性の差は見えないと思う。
でもシステムを目の前で操作するか?頭の上で操作するか?って、
通算の作業時間を考えると、快適性の大きな差に繋がる。
ブリッジの長さやシステムの高さって、即快適性に繋がる。
だから私はシステムやカラビナ1枚のサイズにもこだわる。
やっぱり疲れない方がイイからね。

登って作業している人を見てる時、
一段落したら、直ぐハーネスのウエストの所いじる人が居る。
多分、痛いとか苦しいとかなんだろうけど、
痛くないですか?って聞くと、大概、痛くありませんよ、って言う。
そういう人に、ちょっと試しに履き替えてみたら..って言って
他のハーネスを履いてもらったら、
これ全然痛くない!って、
やっぱり痛かったんじゃねーか!

快適性って作業効率に大きく関わるぜ!

無理して、快適性が損なわれて、辛そうに見えてるだけなら良いけど、
その作業効率に関わるってことは、おめぇ遅せぇんだよ。ってことになる。
延いては、リスクが高まって、ヤバい。
頼むから、皆がセーフティに作業できるように、快適なものにしてくれよ。
チームにも迷惑かけてるんだゼ!

せっかく手に入れた素晴らしい製品でも、自分に合っていなかったら、
ソレはただの苦痛を招くイヤな道具になっちゃう。
無理して作業したら危ないよ。

ICoP業界の行動規範でも、ソコの項目がしつこく出てくる。
やっぱり無理して不快で作業してると、事故を招いたり、怪我したり、
皆を危険にしたりするんだろうな。

快適性って作業効率に大きく関わるぜ!

独り親方で樹上作業している人に多い。
そりゃそうだよ。せっかく買ったんだから、これダメ、次のヤツ!
って言う風にはなかなかいかない。

そういうコトも含めて、適切な道具選びって凄い大事よ。
講習やってると、自分の道具を持ってくる人が多いんだけど、
道具が無けりゃ何にも出来ないと思っている人か、
道具を買ったんだけど巧く出来ないって人が多い。

ソリャそうだよ。自分でどういう作業を目指しているのかで道具は変わってくるからね。

どっかのショップで、最低限これだけ揃えて..みたいな話になって、
な〜んも判らんから、言うなりで買って、
それで全てマカタ出来るなんて、都合の良い話は無いよ。

講習では、何にも持ってなくても大丈夫よ!って言っている。
何をやりたいのか?が重要で、それだけで良い。
具体的な自分の将来のビジョン。これが一番だね。
ベーシックなことは一通りやるけど、個人に合わせて内容もカスタマイズするし、
それに必要な道具も紹介して、試せるよ。
PPEは特に、荷重してみて試して、フィッティングしてから買えば良い。
その方が無駄な出費も無いし、辛い想いもしないゼ。
逆に怪しい道具持ってこられても、根拠が判らないこともあって、困る。

快適性って作業効率に大きく関わるぜ!

2020年9月4日金曜日

耐荷重アンカー

耐荷重アンカー(loadbearing anchor)

基本は2人荷重を受け持つ事が出来ると予想されるアンカーのこと。だと思う。


何cm以上なら大丈夫ですか?とか
聞かれても、
まあ何cm以上とかの基準は意味が無い。
一概に太さだけでは判らない要因が多すぎる。

その前に目視の樹木検査をする必要があるし、
そのサイトの調査とか、環境によって
それぞれ違うリスクアセスメントが必要で…
って言う条件をすっ飛ばして、
一概に何cm以上とか言ってるのは愚の骨頂だ。

そりゃ太い方がイイんだけど
そして太さは一時的な目安になるけど
太さだけで耐荷重アンカーを
判断するべきじゃない。

私は太いドロより細いミズナラを選ぶね。
細くても強く、太くても弱いヤツは有る。

いろんな考えの人がいて、その私見した人たち10人が全員大丈夫って言ったら、バックアップと共に登れるかもしれない。でも危ないかもしれない。
ってことを考えながら、登るのが普通なんで、何cm以上なら大丈夫なんてない。

荷重テストを行うことも重要だ。一旦架かったアンカーにしっかり荷重してみる。全荷重試験(Full body weight test)と呼ばれる。
そのフルボディウェイトテストを行こなって、荷重試験の保証(proof loading)を信用する。ダメかもしれないけど。
だからプライマリ/バックアップのシステムになるんだな。

木は絶えず揺れてるし、揺れる事でエネルギーを抜きながら相殺して柔軟に立ち上がっている。だから荷重テストって感じで引っ張ってみて、これは揺れるから危ない!って言うのじゃなく、揺れるのは当たり前で、揺れない木は逆に怖い。
揺れる事より、おかしな揺れがないかをチェックする。
自分の感覚では、大きく風で揺れるようにゆっくりした揺れは問題なく、揺れの振れ幅の最後にプルプルって微動するヤツは危ない。
あと、大丈夫って言って、登り始めたら、前記のプルプルが始まるヤツはヤバい。直ぐ降りて何らかの対策を採る必要がある。

それよっか木の股に2本通して、プライマリ/バックアップにしている人が居るけど、アレの方がイヤだね。それは共有アンカーだから、単独の固有アンカーじゃないからね。

耐荷重アンカーは一部の人たちで、ボムプルーフアンカーって呼ばれてたりする。
爆弾を落としてもぶっ壊れないような強力なアンカーの事。
でも「そのアンカーはボムか?」なんて使い方する人居るけど、ボムって爆弾だからね。そのアンカーは爆弾か?って聞いてるようなもの。逆に危ないアンカーみたい。

そこで荷重テストの件は後ほど。

発売後の改変

3.10.4 F Aftermarket alterations, additions, modifications or repairs
発売後の変更・追加・修正・修理の警告。

昔、私の履いてるセコイヤSRTを見て、これと同じの買えばイイんだ!って思って買った人が居て、早速買ったあとにわざわざソレを見せに来たんだけど、見たら違うのよ。
そして「コレ私のと違うよ。セコイヤだよ。SRTじゃないよ」って言ったら、
びっくりして「あれ、そうなの?違うの?」って
すぐさま販売店に取り替えてもらう!って行こうとしたから、

ちょっと待って、コレもう1回使ってるでしょ。中古でしょ!
それに、メーカーで認めた[適合の証拠や警告]のタグが切り取られていた。
「ここに点いてたタグはどうしたの?」って聞くと、
ハサミで切って捨てたってこと。
「ソレはメーカーで認めた警告を無視した変更に当たるよ」
「だから、もう保証は無いよ」って言ったんだけど、
「そんなモンっすかねぇ?」って、疑っていた。
昨日買ったばかりだとしても、正規の使用以外だったり、一度でも使ったら、
もう中古だからね。返品や交換は効かないよ。

それでもその方は、人の話を聞かない人だし、納得いかなかったみたいで、
直接販売店に行って文句を言ったらしい(文句っていっても自分で間違えたんだけどね)
販売店の方にも、私と同じように「そんなモンっすよ!」って、言われたらしい。

事前に販売店の人にも、マニュアルも読まないで、切り取っちゃいけない警告タグも切って捨てて、一度使った商品を新品だって言う、訳の判らんヤツが返品か交換しろ!って行くかもしれないから、追い返してね!ってチクっておいたんだけど、、



何か自分に都合良く、
タグ取っちゃうとか、
デバイスに穴空けて
ポッチ付けるとか、
アルマイト加工しちゃうとか、
ヤスリで削るとか、
長さ変えちゃうとか、
マジックで名前書くとか、
ダメだからね。

その場合の責任は
全部自分だからね。

外しちゃだめなタグもあるからね。

そうです。ハーネスやデバイスは、改変したら保証なくなるからね。
それに付いてる警告は、取っただけでも保証ないからね。
もう取っちゃった人は、保証期間内でも保証は受けられないからね。
販売店に取り替えろ!とか無茶言ったらダメだからね。
しょうがないから、
保証が無いという事を了解して命がけで作業するしかない。
もっともそんなアホはそもそも命がけだから、
保証なんて関係ないけどね。
勝手に改変する前に、ちゃんと説明書を読んでね。

発売後の変更・追加・修正・修理の警告。

みんな気をつけた方が良いよ。
残念!