2020年7月10日金曜日

新しいENの予感

凄げぇ今さらだけど、
先日仲間内で「なんだかんだ言ってジグ◯グは何の規格に準拠してるんだ!」って話になって、製品にもマニュアルにも明記が無いという事実に突き当たった。
アルテリアのウェブサイトでは、製品情報の下降器のページに紹介されていて、認証の項目にはCEしか無い。聞いても、どうも歯切れが悪く、
ロープ径(EN1891-A)に対して明確に準拠しているが、その他はEN 12841のタイプCの要件と試験には対応していて…ムニャムニャって感じらしい。


ジグ◯グ持ってないし、
ノーマークだったけど、
CEマークを取得するために、
EN 12841:2006の関連記事を
考慮に入れて、
2016/425規制の必須要件を
満たすことが認定されている。
らしいが、
製品にもマニュアルにも
明記が無いね。

う〜ん、ツリーケア用として「従来式のプルージックプーリーシステムを用いて樹冠内で移動することが可能」とあるが、それはムニャムニャなのか。

そこで、本家の.comを調べてみると、Tech tips>Tech tips by activity>tree careに、
認証の項目があり、読んでみると、、、
There is no standard in existence that precisely addresses a device like the ZIG◯AG.
ジグ◯グのようなデバイスを正確に指定する標準は存在しません。
The standard that comes closest is EN 12841
最も近い標準はEN 12841です。

ってことらしい。

まあ、ヒッチコードのクライミングシステムとかは、規格が存在しないのは理解できるが、いわゆる一流のメーカーの、一流の製品にだって存在しない。ってことですね。

一流のクライマーが使っている道具、それは彼らが様々な研鑽を積み重ねて、自分に合ったスタイルを確立して、運用して、障害をチェックして、リソースを改めて、手法も改善して、いるから出来るコトなんだなぁ、って理解できる。
私も講習で「システムから手を離して!」って、よく叫ぶんだけど、ワークポジショニングの要件を理解していない人に限って、枝の上に立とうとするし、荷重ずらして!って言うと、おっかなびっくりなんでシステムを掴んでるよね。
樹間でビビるから藁をも掴む感じでロープやデバイスを握るのは、自分のシステムを信頼していない証拠だからね。そんな奴らにメカニカルフリクションデバイスは、使って欲しくないね。だって掴んだら落ちるんだもん。

まあとにかく最初はワークポジショニングの有効性を理解してないから、ビビって掴むのは判るけど、そのクセが着いちゃうと、もうその領域から抜け出せなくなるから、最初からポジショニング三角を意識して動くプラクティスを繰り返した方が良いよ。
いつもビビって掴んでると、結局良好なポジショニングも取れなくなし、そしたら動きがアヤフヤになって、そんな姿勢で無理に作業すると危ないよ。

前に見た人は、絶えずデバイス握って、もう一方の手を伸ばして片手でトップハンドルを使っていた。何と命知らずなことか!
登れれば何でもできるって人は、ポジショニングの重要性を理解しないで、でもビビりながら無理矢理作業する。知らないってそういうことだよ。
だから樹上作業は危険とか言っちゃうんだろうな。

この類いのPPEは、システムは手を離したら、自動で落下を停止するフェイルセーフ機能を有効にする必要があり、フリクションコードの場合は絶えずのドレッシングだし、デバイスはその手間を省けるから、便利なんだよ。システムやデバイスから手を離して移動するプラクティスを繰り返さないと、道具だけ一流でも、知識とプラクティスが、脳ミソと身体に伝わってない。それじゃぁデバイスも可哀想ですね。
いくら素晴らしいデバイスでも、そいつを直ちに持ち込んで、一流なんだから間違いない!って思う、危ない思考だね。

ジグ◯グが発売されたばかりの頃、周りの人々が色めき立ち、飛びついていた。
そのとき丁度ツリーマジナーズの人に会う良い機会があり、ジグ◯グってどうなの?って聞いてみた。
彼は「単純に好きじゃない」って言ってたが、
意地悪くシツコク絵を描いて、オレはどうもココが懐疑的なんだ?って聞くと、発売前のテストでドイツで障害があったらしく、私はゼロか100の道具はイヤだね。ソフトマティリアルの方が性に合ってるって聞き出せた。
まあ、他所のメーカーのデメリットはあまり大きな声で言えない立場なのだろうけど、スゴク共感した記憶がある。

使ったことのある人に、シツコク話を聞くってのは、イイね。
そこから、得られるものは大きいね。
宣伝や動画の美辞麗句は、ウソ臭いね。
実際自分と同じ事を思ってる人がいても、そういうヒトと話す機会はあまりないからなぁ。
そういう人と上手くつながれれば良いのにって思うけど、すぐYouTube信じちゃうもな。
見るのは良いけど、それを自分に合わせて再構築するとか、
そこから自分が得られるものや、取組める姿勢を自分で構築するって発想が無いのかね?
とにかく派手にビュンビュン動く(それも下降だけどね)ところやスルスル素早く楽そうに登る動画とか見て、オレもああ成れるってどうして思うかね?

ジグ◯グはそんなことないけど、後発の似たようなデバイスは、とにかく紹介動画がビュンビュンスルスル派手だね。
そりゃプロダクトメーカーは悪いことは言わないよ。
まあ、それに乗っかってモノが売れれば、メーカーも新しいR&Dに予算をかけられて、より善きモノが検討されるんで、コッチとしてはありがたいが。
でも間違っても、イケイケオラオラで、使い倒すだけじゃユーザエクスペリエンスにならないからね。

なんか調べてみるといろいろなことが、判るね。

メカニカルフリクションデバイスって、ロープ径の制限や使用荷重は大体表記されていても、Hitch Hiker2も、Rope Runnerも、Akimboも、Unicenderも、特にアメリカ系のCEを取らなくてもいいヤツは、認証って無いのね。
下降器でも登行器でも確保器でも無い。
落下を防止/抑止しないから、落下保護でもない。
ソレってどうよ。
メカニカルフリクションデバイスって、まあ、あんまり好きじゃ無いからイイけど、
メカニカルフリクションデバイス自体が新しい機器なので、ANSI Z133とかAFAG401でも、フリクションヒッチシステムじゃない上昇下降器の明確に定義付けされた項目は、知らないだけかもしれないが、無いと思う。

例えば、ヨーロッパ系はやっぱり、ヨーロッパで発売するために、CEだけは取得している。 ZigZagは、CEだけだし、CE 0123は、Body controlling the manufacturing of this PPEだから、基本的にPPEを制御する関係のCEだし、
唯一、SpiderJack 2も SpiderJack 3も、EN 358ワークポジショニングランヤードの安全要件を満たしている。
そしてPositioner 2 は、EN 567, EN 358, ANSI Z133-2017なんだな。そしてレスキューユースの2人荷重OKって、どんな試験をしてるんだろう?
あのクイッキーなテコの動きで、大丈夫なのか?

ロープ調整器具って、今まではワークポジショニング用の規格だと思っていたが、ここへ来てメカニカルフリクションデバイスが色々台頭してきたから、EN 358の規格じゃ、間に合わなくなってきてる感じがする。

これだけ注目を集めるメカニカルフリクションデバイスが有るんだから、業界のベストプラクティスも変わってくるんじゃないか?
そのうち新しい規格として、ロープアクセスのEN 12841のような、個人用落下保護具のロープ調整装置みたいな規格ができる予感がするなぁ。
また新しく勉強しなきゃならんな、わくわくするぜ。

でもやっぱ、楽に登れるのはラプターだよ。エンジンだよ。

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