2011年8月30日火曜日

青森でリギング

3日だけお手伝いにと向かった津軽はJRで意外に近かった。
雨にやられてなかなか作業が進められず足止め。
ヤキモキしてもしょうがないが、
こんな機会はあまりないから非常に悔しい思いだ。
右側は直接落としていけるが
左側はリギングしないと
建物を傷めることになる。
周りを囲んでいる複数の木に
アンカーを取る。
高さもさることながら
角度が大きく、モーメント
アームが伸び、アンカーまで
20m近くロープがでる。


アンカーが上にあり、
角度がなければそんなに
難しい動きはしないが、
それでも「枝」の認識を
覆す太さにビビる。


あそこに自分が居たなら...
シミュレーションするが、
師に問うて初めて意識できる
動きが数多くあった。
私の作業位置から見ると
シンジラレナイほどのスケール。


登ると空間を意識しやすいが
引き出しが空っぽだと短絡的な発想になると思う。
グランドでお手伝いしていると
結構落ち着いて周りが見えるし気が付きやすいこともある。
グランドだって引き出しを一杯にしておかないと
やっぱり単細胞な動きになる。
物量によってラインやアンカーを
常に意識して考えるのだけど
シンプルに組み立てられないと
動きもかえって複雑になる。
現場の修正や直しも重要。
トラブルになりそうなとき
頼りになるのは理屈の知識と
チームの目の的確な判断だろう。


対象が大きく、複数アンカーで
角度もあり、出るロープも長い、
ラインの伸びもハンパない。
リフティングといえど
引き上げる感じではなく
その場に留まるスタティック。
カッコイイ!


どうも目一杯張っているラインを見ると、
そっちの方に引かれる印象がある。
でも重力方向は違うんだよなぁ。

重力方向とベクトルが違い、まして長いモーメントアーム。
対象を含めて全てがオーバースケールなので、
動きはある程度読めるが、延びや方向を都合良く解釈してしまう。
まだまだ像結できずに空想になる。
ピカピカな道具に目を奪われて
具体的にイメージできないと
イマジネーションとゴッタになる
自分の力以上のコトが出来る?
空想ではケガをすると思う。
道具は使い方で換わる。
手先になればこんなに
役に立つ武器はない。
GRCS恐るべし!


レクリエーションとワークは違う!とか言うけど、
そうやって並列に考えていること自体とんちんかんなことで、
ましてやレクを根拠に作業できると思っているお気楽な考えはすぐ破綻する。
目線が道具の使い方や身のこなしに行って、
動きやモーメントアームや延びを都合良く解釈していたり...
それらは経験でカバー出来る!?...
そういうヒトもいるかも知れないが、オレには出来るワケがないっと思った。
失敗して先細りになるか、ケガをしたときにはもう遅い。

安全が仕事のベースになり、安全を繰り返すことで信頼も勝ち得る。
安全に出来ることプラスアルファのトライアルを積み重ねたい。
なかなか実のある方向性が見いだせたし、
同じように考えている向きもあり、エキサイティングで有意義な現場だった。

2 件のコメント:

  1. 青森ではお疲れ様でした。
    面白かったと言えば語弊を生むかもしれませんが、順調に、計画通りに進んだ仕事は面白いと表現するほか、私は術をしりません。

    今回の松は非常に大きく、重量もヘビーなものでしたが、基本に忠実でさえあれば、何の問題もありません。
    リギングは力学の応用ですが、方向ベクトルや重力、モーメントアームによる円運動、ロープの伸びなどを総合的に判断しながらシステムを構築することが重要になります。
    重量計算はあくまでも道具の選択や重量コントロールの指標として用いるだけです。計算がいくらできても、重量コントロールができなければただの数字にすぎません。

    今回若手の一人が、スケールの大きさに圧倒され忘我したことにより、基礎的な知識や理屈をすっかり忘れてしまい、経験してきたことによる認識でなんとかことを済ませようとしました。とても稚拙で恥ずかしい行為に、目を覆いたくなりました。パニックになると我を忘れるといいますが、まさにこの時がそうだったのだと思います。後でみっちりお灸を据えましたが、どんな時も基礎を忘れないことが重要であることを身をもって理解したと思います。

    リギングはどんな時もチーム作業。一人の作業者の経験はチーム全員の経験ではありません。ですから経験を頼りにことを進めようとするとチームでの仕事はほぼ不可能になってしまいます。チームでことをするためには、全員が共通した知識や認識、そして理屈を理解することが大切になります。
    経験を頼りにする人は、個人プレイ以外の何ものでもありません。リギング作業において個人プレイで可能なことは本当に限られます。今回のように重量500キロを越えるようなリギングは、チームによるリギングシステム以外に対処の方法がないと思います。
    先ずは基礎知識の履修。経験がある程度必要になるのはそれからだと思います。

    今回は、最後まで見ていただけなかったのが残念ですが、次回また一緒に仕事をしましょう。
    ありがとうございました。

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  2. コメントありがとうございます。
    スタンスは違えど同じ方を向いている人たちと一緒にいると、いろいろ得るものも多く、本当に面白い時間でした。
    今回お手伝いして思ったのは、以前におっしゃっていた、答えはひとつということを改めて実感しました。
    考えられる方向は幾つもあるけど、仕事として成功は1つの方法になる。
    仕事をどう捉えているかにもよりますが、安全に高効率で仕上げるのは確かに1つなんだなぁと意識できました。
    大丈夫の根拠が予想ではなく基本にあり、そんなに難しいことではないと思いつつも、スケールに圧倒されました。そしてミスを修正するためにも、基礎が重要なことも感じました。....でもやっぱり、パニックになっちまうと思います。
    道具は扱える重量が決まっていますが、複合的なシステムで重量をコントロールするために、個人の都合は関係ないので、そういう部分を共有できないとチームが成り立たないし、物量が大きくなればなるほど危険も大きくなる。
    理屈を理解することが重要だと言うことを巧く表現できないんだよなぁ。

    今はとにかく基礎を忠実に再現性のある仕事を繰り返し、プラスアルファのトライアルで幅を広げたいと切実に思います。
    また機会を作りますので、ご一緒させてください。よろしくお願いします。

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